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青江さんと248日目(『ザ・ビートルズ Get Back: ルーフトップ・コンサート』とわたくしとモーリン・コックスさん)

こんばんは。ユースムースアヴェニュー青江です。

『ザ・ビートルズ Get Back: ルーフトップ・コンサート』を見てきました、というお話。
内容はディズニー+で配信されている「Get Back」の冒頭(ビートルズのそれまでの歩みをダイジェストで説明するシーン)に、ラストのアップルビル屋上でのライブノーカット版をくっつけたもの。
ディズニー+の方は年末年始で全部見ました。

余談ですが、その配信を見る前に書いた全4回の「Get Back」というか映画「Let It Be」にまつわる青江の思い出話がこちらです(笑)

このあと実際に「Get Back」見ました。感慨深い…そして長い(笑)8時間弱。

この配信された「Get Back」も最後のルーフトップライブはノーカットなので、内容はもう全部知っている状態。それでも映画館で爆音で見れるのならば、と勇んで出かけたわけですよ。

感想としてはとても良かった。それはもう爆音でアレしてましたし、実はIMAX自体が初体験だったのですが画面はデカくてアレしてますので、トータルで大満足のアレでした。公開日が限定5日間で上映回数少なめなのはこれからブルーレイとかを売ってくための販促かな、とか思ったり。

で、今回のルーフトップを見て8時間弱の「Get Back」を見た時とは違う感想を持ったので記しておこうと思います。

こちらはアルバム「Let It Be」に収録されている「Get Back」です。この曲のエンディング(2:55あたり)は実際のルーフトップライブの音で、当時のリンゴ・スターの奥さんモーリン・コックスが「いえー!」と嬉しそうに雄たけびをあげ拍手喝采し、ポールが「サンクス、モー(モーリンの愛称)」と応える微笑ましいやりとりがあります。今回の映画でも実際のシーンが見れましたね。

で、不肖青江、恥ずかしながらモーリン・コックスが現在のリンゴの奥さんのバーバラ・バックとごっちゃになってたようで、配信版の「Get Back」を見た後に、改めてネットで調べてみました。するとなんと…

モーリンがキャヴァーン・クラブの常連だった頃、しばしばビートルズが演奏を行った。彼女は、ビートルズの新しいドラマー、リンゴに熱を上げ、サインを得たが、モーリンがリンゴの注意を引くまで3週間かかった。その後は休みの間も一緒に過ごす仲となった。

キャバーン・クラブ時代ということは、ビートルズの大ブレイク前、つまり彼女は無名時代からのファンと言っても過言ではないわけです。
そもそもこの「Get Back」セッション、そしてそれを元に1970年に発表された映画「LET I T BE」のあらすじというか事のあらましは

・過酷なツアー、過激なファン、マスコミに嫌気がさしてライブ活動を辞めたビートルズ

・レコーディングに凝り、成果を出すがメンバーそれぞれにやりたいことが出来てバンドがバラバラになりかける

・ライブ活動を再開して、バンドとしての原点に戻ろう、新曲のみのライブ盤を作ろう、なんかコロッセウムとかとんでもないところでライブやろう、と決める

・映画スタジオでリハーサルを始めるが、曲も演奏も上手くまとまらない、周りに取り巻きや関係者がいっぱいいて滅入る。スタジオ広くて寒い。カメラでめっちゃ撮られる。ジョージがバンド辞めそうになる。

・自社ビルの地下に場所を移して、曲も演奏もいい感じになる。スタジオ寒くない。でももうライブはやんなくてよくない?となりかけたけど、映画も撮ってるのでハイライトシーンが必要となり屋上で演奏する。警官に怒られる。

・原点回帰(Get Back)の目論見は屋上ライブのみで発展せず、バンドはなすがまま(Let It Be)に解散の道へ

です(個人的見解です)。わりと悲しい結末。

でも、なんかね、モーリン・コックスがあの現場にいたことによってビートルズは全員救われたんじゃないかなあと思ったんですよ。
売れに売れて巨大な存在になったビートルズが目指した「Get Back」って別にコロッセウムとか変わった場所や世界中でライブをやる事じゃなくて、キャバーンクラブに出演して、好きなロックンロールを延々演奏している頃の自分たちを再確認する事だったんじゃないかなと。もし違う未来があって、ビートルズがライブツアーを再開してたとしても、それは結局「あのビートルズ様がライブをするぞ!」みたいな大きなお金の動くビジネスなわけですよ。しんどいですよ。

で、諸々のライブ計画をいったんやめた後の屋上ライブのシーン。もちろん現場には変わらず撮影クルーや関係者、とんでもない人数がいました。ビル前の道端で屋上見上げて喜んでる人、怒ってる人、沢山いました。でも、あそこにいた人の中でキャバーンクラブの頃のビートルズを知っているのはメンバー以外ではたぶんモーリンだけなんですよね。彼女にとっては世界にその名が轟くビートルズではなく、リクエスト曲を演奏してくれたりする、身近でイケてるちょいワルの可愛い4人組。

そう思うと、あの屋上のラストのモーリンとポールのやりとりは本当に心温まるというか、まさにあの頃にGet Backした瞬間だったんじゃないかなと。おじさんはちょっと泣けたわけです。まさに、サンクス、モー。
ライブ後、ミキシングルームで録音した演奏を聴きながら楽しそうにしてるメンバーもまた良いんですよね。カメラに映ってるのはほぼメンバー4人とその恋人や妻だけ。世界にその凄さを知らしめるための音楽ではなく、仲間や家族と笑いながら楽しむ音楽。これもまた束の間ながは、原点にGet Backする事に成功した美しくも儚いシーンだったと思います。

いやー、ビートルズって、ほんとうに素晴らしいですね…と水野晴郎風に締めたいところですが、モーリン以外にももう一人キーマンがいます。

言わずと知れたキーボーディストのビリー・プレストンです。

そもそも彼のGet Backセッションへの貢献は当時から語られていますし、今回の映画でさらにそれがハッキリとわかったわけですが…
彼はビートルズが毎晩8時間もクラブで演奏していたハンブルグ時代から親交があった人物だそうです。ビリーが参加して場が和んだというのは彼の人柄だけでなく、モーリンと同じく「当時の彼ら」を知る人物だったのも大きいんじゃないかなと。

なのでGet Backプロジェクトは失敗だったわけではなく、ビリーの参加とモーリンの声援だけで大成功だったと青江は思います。その直後に製作を開始したアルバム「Abbey Road」の完成度の高さ、構成に見る世界一のバンドとしての責任の引き受け方を見ても間違いないといっ…てもいいですかね(笑)

そんなこんなの、青江なりの新説「Get Back」でございました。ご清聴ありがとうございました。

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