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がん検診に引っかかった話

昨年の秋、子宮頸がんの定期健診に引っかかった。
タイトルでビビらせておいたので、結論から言うと、大きい病院で精密検査を受けたところ、無事陰性だった。今日もどうってことない日常を続けている。

ただ、次はあなたや、あなたの大事な人の番かもしれない、なんて、月並みながらも覚えていてほしい。


夏も終わるころ、愚かな失恋を引っ提げていること以外、さしたる考えもなく検診を受けた。
一週間で結果出ますよ~、とのことで、通年はちゃんと一週間ほどで婦人科に足を運んでいたが、今年に限って行くのが先延ばしになっていた。
一か月程経った頃、病院からの電話でヤベッと思った。
「検査の結果を聞きに来てほしい」とのこと。
病院側から催促されたので、まさか、まさかな?なんて思いつつ。慌てて再診の予約を入れた。
話を聞いた母が、同行してくれるとのこと(ここがミスったポイントである)

結果は、まあ、陽性の疑いがあるとのこと。

まず初めて抱いた心象は、「ん-、まあ生きてりゃそういうことくらいあるか!」
婦人科の先生の話を聞く。珍しいことではないこと。月に何人も精密検査の紹介状を書いていることの。セックスをする女性なら誰しも罹患する可能性はあるとのこと。
母親が真横にいる状態で医学的に淡々とセックスを連呼される、した事実を強調される、控えめに言って極悪地獄である。逃げてもいいかな。だめかな。じゃあ早く殺してくれ。27歳独身女性でこんな経験をするのか。エロ本を家族に見つかった高校生とかってこんな感じなのかな。ちょっと違うか。とか。

一通り説明を終え、「また紹介状を書きますので取りに来てください」とのこと。
婦人科のすぐ近くにおいしいフルーツサンドのある喫茶店がある。大好物のフルーツサンドを注文し待ちながら、母が店の外で父に電話しているのをぼんやり眺めていた。母がどんな風に説明したのか考えながら食べるフルーツサンドは、フルーツサンド史上一番味がしなかった。

大きい病院の予約は婦人科で取ってくれて、紹介状はまたもらいに行くとして。
母子手帳を確認すると、子宮頸がんのワクチンは高校生の頃3回とも接種したとのこと。そういえば婦人科の先生、ちゃんとワクチン3回受けても6分の1くらい?しか防げないとか言ってたような。というか母子手帳ってこんな年季入ってんのに高校生の頃の記録も残ってんのな。すげえな。ありがとう母。そういえば筋肉注射だったから過去一痛い注射だった記憶あるわ。

そういう手続きとか確認はさておき。
最初はへー!ふーん!程度だったものの、ショックは遅効性で。
ふと、「あー、私、このまま放っておいたら死ねるかも」と。

これから色んな治療して、お金も時間もかかっていくのだろう。
そのコストを支払ってまで、果たして生き永らえたいか?

いや、別に……全然。

かかったのが私で心底良かったと思った。もし既婚の妊活中の女性がかかったとして、子どもに恵まれるどころか子宮摘出とかなんかになった日にゃ、目も当てられない。
私は毎日死にたいと願い続けていたのだ、だからその願いが届いたのだと。

お金ややり取りが発生する前に死のうと思った。具体的な死期も目星をつけていた。
私は冬が大好きだ。この冬だけを謳歌して、暖かくなる頃には死のうかな、なんて。

一瞬でも「治るのかな?」考えがよぎった。
その後ろでもう1人の私が、「なーんだお前、まるで生きたいみたいによ」と嘲笑っていた。

私はもう、生きたくない。とっくの前に疲れ切っている。
神様が与えてくれた死ねるかもしれないチャンス、大事にしないと。



ところがどっこい!桜も咲き始めた今日、私は生きている。
冒頭の通り、ばっちり陰性だったのである。お医者さん曰く「次の検査まで、この病気のことは忘れて生きてください」とのこと。

なぁんだ、残念、なんて思った。
運命とか神様とかマジで全く信じてないから使いたくないけど、まだ死ぬには足りないらしい。きっと役割とか何もないだろうけど。
折角だと思ったのにな。私の葛藤を返せよ。

それからというものの、ギリギリのところで生にしがみついている。
まず死ぬには部屋が汚すぎる。でもこれを掃除する程の元気が微塵も湧いてこない。
これが死ねない理由の一番大きいもの。

次に大きいのが、やっぱり好きなものが多すぎる。
私は全く生きるに値しないし、前まで楽しかったものも今では楽しく感じられなくなってしまったけど、それでも好きなものはたくさんある。
サンホラの新譜が延期しちゃった、とか、大喜る人たちを生で見たい、とか、好きなラジオの公開生収録行きたい、とか、積みゲーが多すぎる、コードヴェインとかゴーストワイヤートーキョーとかデスストとかアサクリとかFFとか。これに関してはもっとある気がする。あと、多肉ちゃん達の成長を見届けたい、とかも。

日常は急にひっくり返らない。
相変わらずこのほとんど臥せっている日々に、何の意味も意義も見いだせない。死のうという気持ちは消えない。
お布団で臥せっている間、たいがい悪夢にうなされていたり、普段の息の仕方が急に分からなくなってめちゃくちゃ息苦しくなったり、希望のない将来のことを考えて吐き気がしたりで、心が休まる時間はない。

好きなものは多いのに、なんの気力も湧かない。積んでるだけのゲームや漫画を消化したいのに、一ミリも指が動かない。ただ寝て起きて食べて、たまに病院に行くだけの生活だ。
眠剤はもう効かない体になってしまい、いよいよ処方されなくなった。
明日も絶望しか待ってないと知っていながら、また寝られる訳もないのに目を閉じる。
明日も多分、今日死ななかったことを後悔するし、きっと明後日になると明日死ななかったことを後悔する。

あーあ。ここまで書いてみるとやっぱり死んどいた方が世のためだったような気がしてきたな。ミスったな。

まあ、これからもなんとか、糸が切れるまで足掻き続けようと思う。
今日もいつも通り、朝日がカーテンの隙間から差し込み始めたのを横目に。
完全に夜を明かした時点で今日もなんかダメそうな気はするけど、無理せず頑張ろう。
睡眠障害が酷いのだから、それ以外のところはせめて健康でいよう。

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