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何かが変わりそうな夜。

夜明けが来ないかと思うくらい、過酷な夜勤。
予断を許さない重症患者さんが多数いて、ひっきりなしのコールと、全力センサーダッシュ。
同時多発的に呼吸困難感の訴えがあって、体が足りない…!と感じた。
家路についた途端、緊張の糸が切れたよう。正直、もしかするとお預かりしている命を守り切れないかもしれないとも思い涙が出た。
大切に関わってきた患者さんの看取りへの時間、久しぶりにちゃんと悲しかった。

状態が厳しく今日が山場といわれた方を担当した。
痰が溜まれば苦しくなる。サクション自体も苦しい処置。サクションをするかしないかでものすごく悩んだ。
偶然なのか、意思疎通を図れる時間帯があり、必要時を見極めてサクションした。深夜帯に呼吸状態が悪くなり、やむなく酸素量を上限まで増量した。夜間付き添うご家族には、サクション時に手を借りて一緒にケアさせていただく。
起床時間になり、ゆるやかな意識レベルと血圧の下降を認め他のご家族を呼んだ。他のご家族も到着し、1時間後にお看取りとなった。

処置の合間に、本人がご家族にとってどんな人だったのか、看護師と本人がどんな話をしていたのか、付き添いのご家族といろんな話が出来た。
趣味や好きだった食べ物、ご家族との関係性、入院中のほっこりしたエピソードなど。
慌ただしい勤務の中でも、とても穏やかな時間が流れていた。

自己満足で終わってはいけないと思うけれど、率直に、その患者さんとご家族の関係について知れて嬉しかったと感じたし、普段私が関わらせていただいたその患者さんについて伝えられたことはよかったのかなと感じた。
看取られるその患者さんについてご家族・看護師の双方から理解を深め合える過程が、看取る前からのグリーフケアに繋がっていくのではないかと、ここ近年様々な学びを得て感じたことがあったから。
その学びをくれた人が私の周りにはたくさんいた。
そして、直感任せな部分はあったけれど、早めのタイミングで他のご家族を呼べたのは、それはそれでよかったのかなと思う。お別れの時間を持つことができた。
今回はご家族が間に合ったけれど、間に合うか間に合わないかではなく、本人・家族双方にとって良い看取りにできるか、家族・看護者含め全当事者がグリーフに気づく・感じることができるようなアプローチが大切なのだと改めて思う。

看取りに対してものすごく抵抗があって、1年のブランクにもコンプレックスがあったけれど。これという正解はないけれど。
振り返ってみてほんの、ほんの少しだけ。
自信を持てそうな気がした。

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