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アリアンロッドRPGのここがいいよ

年明けからFactorioを起動する暇もないぐらいに忙しかったです。具体的には、アリアンロッドRPGのシナリオの準備をして、アリアンロッドRPGのGMをして、アリアンロッドRPGのシナリオの準備をして、アリアンロッドRPGのGMをして、その合間にアリアンロッドRPGでValheimをやった結果「やれってことだろう!」とValheimを買ってド嵌りしてるやつのワールドに家を建てりしていました。

真っ当に転職して忙しくなったのもあるのですが、仕事と睡眠以外の時間が生活とアリアンロッドRPGでまあまあ埋まっていたのは事実としてあります。

ということで、アリアンロッドRPGは良いものだよというような話をしていきます。

なお、筆者のTRPGプレイ歴はアリアンロッドRPGの他には、クトゥルフ神話TRPG、ダブルクロス、ソードワールド、ログホライズン、艦これRPGとなっています。

2024/01/20 一部の文章の細部の変更や脚注の追加を行いました。


アリアンロッドRPGってなに?

有限会社ファーイースト・アミューズメント・リサーチが製作したTRPG(テーブルトップ・ロールプレイング・ゲーム)のシステムです。

初版が2005年に発売され、その後に第二版(2E)が2011年に、第二版の改訂版が2016年に発売されています。ちゃんと調べたら本当に古のシステムで笑っています。

アリアンロッドRPGの特徴

一口にTRPGと言っても日本のインターネットにおいては一つですが様々なものがあります。アリアンロッドRPGの特徴としては以下のようなものが挙げられます。

  • エネミーとの戦闘を主体とするシステム

  • いわゆる剣と魔法のファンタジー

  • 六面ダイスを使用

なんというか特徴がないのが特徴という感じがしますね。TRPGを説明する時によくある「テレビゲームのRPGを手動でやるゲーム」で想像するものにかなり近いシステムです。

アリアンロッドRPGのここがいいよ

素直な剣と魔法のファンタジーができる

特徴がないのが特徴のアリアンロッドRPGですが、求めていたものはそれでした。こういうのがいいです。

エネミーを置くだけでとりあえずシナリオになる

エネミーと戦闘することを主体とするシステムなので、とりあえずエネミーを置けばシナリオになります。このおかげでシナリオが本当に作りやすいです。

日本のインターネットでTRPGと言った場合に指すクトゥルフ神話TRPGでは、形式的には同じように神話生物を置けばシナリオにはなりますが、通常の探索者は神話生物に勝てないので全滅して終わりになります。良いプレイ体験のためには、戦闘に依らない落とし所や倒すための方法など、考えることが多く必要になってきます。アリアンロッドRPGなら、エネミーを置いてそれをぶちのめすだけでそれなりのシナリオになります。公式から提供されているエネミーデータもそれなりの数があり、セッションのその場で戦闘を作るようなこともできなくはないレベルです。

世界が芳醇

アリアンロッドRPGの舞台であるエリンディルという架空の世界がしっかりと作り込まれています。

大陸の形や国家、都市の配置、信仰と神話などの大きなものから、人物や事件などの細かいものまで、様々な設定が公式から提供されています。この塩梅がちょうどよく、余白を埋めきるほどではないので自由に書き込む余地があり、その際にどう書き込むかのお手本や参考になるものが豊富に存在しています。これが一番いいです

キャラビルドの幅が広く楽しい

アリアンロッドRPGのキャラメイクでは、種族とメインクラスとサポートクラスを選択してそこからスキルを取得していきます。基本ルールブックの範囲だけでも、種族は六つ、メインクラスは四つ、サポート専用クラスは十以上あり、スキルは各クラスに十以上存在します。非常に多様なキャラメイクが可能で、もう5年ほどやっていますが、まだまだやりたいビルドは尽きません

堅牢な2d6ベースの判定システム

実のところここまでの良いところは「じゃあD&Dやソードワールドでよくね?」というものです。ここからアリアンロッドRPGの話です。

アリアンロッドRPGは六面ダイスを二個振った出目を合計することを判定の基本にしています。このいわゆる2d6は分散がそれなりに低く、さらに出目の最頻値である7が中央値であり平均値であるなど、安定した分布をしています。そのため、ビルドをこねながら振らぬダイスの期待値計算をして、こねているビルドの出来を、かなりの精度で測定することができます。一方でD&Dが採用している1D20は1から20の一様分布という恐ろしい分散が襲いかかってきます。

情報収集をエキサイティングにするフェイト

実のところソードワールドも2d6ベースなので「じゃあソードワールドでよくね?」という話になってきます。ここからが本当のアリアンロッドRPGの話です

アリアンロッドRPGには「フェイト」と呼ばれるリソースがあり、これを使うことで以下のようなことが出来ます。

  • 判定を振り直す

  • ダイスロールのダイス数を増やす

つまり、だらだらとダイスを振るだけになりがちな情報収集においても、リスクリターンを検討してリソースを投入するかを決定するゲーム性が生まれてきます。この点が明確にソードワールドではなくアリアンロッドRPGをやる理由になっています。

なお、ログホライズンも似たようなシステムがありますが、コスト周りの仕様が独特で単純な比較が成立しないです。

アリアンロッドRPGのここはよくないね

ここまで良いことを書いてきましたが、よくない、わるいところも当然あります。それも書いていきましょう。

公式の設定が散らばって存在する

アリアンロッドRPGはいくつものリプレイ本を出していますが、そこで知らん話がどんどん出てきます。それはもうたくさん出てきます。ルールブックやサプリに載っている設定も、大元を辿っていくとリプレイの中でプレイヤーがなんかテキトーなことを言ったのが最初なんてことがいくらでもあります。気にしなければ良いのですが、気にした瞬間に突然何冊もの文庫本が資料に積まれるので大変なことになりやすいです。あと、古いリプレイが多いのでノリが結構キツいです。

戦闘が複雑になりやすい

戦闘がメインのシステムなので当然そうはなるのですが、戦闘が複雑になりやすいです。スキル取得のコストが安いこともあって、キャラクターのレベルが上がるほど選択肢が勢いよく増えていって、一つの選択の決定に数十分の話し合いだとか、二時間やって戦闘が終わらないだとか、大変なことがちょくちょく発生します。面白くないわけではないですが、あまり良い点ではないように思います。

ダメージ計算が単純で守りが強い

オフラインでやることが前提のためにダメージ計算が非常に単純で「攻撃力 - 防御力」で計算されます。計算しやすくて良いのですが、防御力を上げると上げた分だけダメージが減るため、防御性能を積んでいくとダメージが何も通らなくなってきます。攻撃の肩代わり手段(アリアンロッドRPGでは『カバー』というルール用語で定義されます)はスキルさえ取れば(*1)非常に安いリソース消費で実行できるので、一人が攻撃性能を捨てて防御性能を高めることで、編成全体としてダメージが何も通らなくなってきます。アコライトの自動取得の《プロテクション》というスキルでお手軽にダメージ軽減ができるのもこの状況を後押しします。

この守りを抜けるような調整をすると、防御役がカバー出来なかった時に大惨事になります。が、しかし、防御役がカバーして終わる戦闘は面白みがないです。難しい調整が要求されます。

この問題の解答は一応存在していて、《プロテクション》やカバーはキャラクターの一回の行動の中で一回しか使えない縛り(*2)があるため、一回の行動の中で二回攻撃するエネミーで対策をしていきます。不健全ですね。ちなみにこの縛りはスキルによって破ることができます。本当に不健全ですね

ルールに曖昧なところがたまにある

MtGのような「書いてある通りに実行する」ルールテキストを指向しつつも徹しきれていないようなところがあり、書いてある通りに実行しようとすると、おかしなことが起きたり、そもそも動かなかったりすることが、まあまあよくあります。これが複数のルールテキストの相互作用だけではなく、ルールテキスト単体でもあったりするので困ってしまいます。質疑応答では「こう書きたかったのでこうです」というような回答が多く、ルール裁定には空気を読む力が要ります

サプリの誤字がすごい

すごいです。アリアンロッドRPG!すごい!本当にすごいんだ!

一番すごかったのはストレンジャーガイドの初版で、他の本から中身が入ったテンプレートを引っ張ってきて書き換えようとして、書き換え忘れたみたいなものがたくさんありました。

終わりに

という事で、よくないところもあるけど、アリアンロッドRPG、いいシステムだよ。「悪くないね」だと流石に嘘ので言いませんが。

脚注

*1 ややこしい日本語ですが、カバーはスキルを取らなくても高いリソース消費で実行できます。ただし、その話はアリアンロッドRPGの細かいルールの話になるので、この記事では割愛します。
*2 アリアンロッドRPGの細かいルールの話をすると、厳密には違うのですが、この記事では割愛します。

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