なあなあ、行武家の教育の何が良かったと思う?のB面
異性姉弟の行武家。
今の彼らを育てた行武父母の教育について語ってもらいました。
一人っ子とは異なる家庭環境や、2人が自身の子供に伝えたいことについても聞きました。
(聞き手:シオン)
不器用な父
シ:今回は、全体的にウチと似てるところ多いなーという印象でした。門限や麦茶、お金のかけ方など。
僕と行武姉弟は10年も年齢が離れてるのに、親の教育が似ていてびっくりです。
一番おもしろかったのは、不器用なお父さんの存在。
お父さんが小学生に政治の話をするって言ってましたけど、かなりユニークですよね笑
弟:「お前も知っとるやろ?」みたいなテンションで来てた笑
一同:笑
シ:いやいや、知らんわそんなん笑
(思わず父にツッコミをいれるシオン)
シ:おもしろいなぁ。子供じゃなく、一人の人間として接するあたりがアドラー心理学っぽいっていうか......いや違うか。
姉:結果的によかったとは思うけど、そんな高尚な考え方はなかっただろうね。
シ:ただ不器用だったってことか笑
姉:不器用なんだけど、本も好きだし、物知りだし、芸術とかアート方面も好きだから、知識は父親からもらうことの方が多かった気がするな。強制的に背伸びさせられるみたいな。
弟:そうだね。その辺に関しては懇切丁寧に教えてもらったっていうより、背中を見て育ってったって感じ。
本はあるし、映画は休みの日に見てるから、「つまんな」と思いながら後ろから見てた。
シ:子供は親の言うことは聞かないけど、やってることは見ますもんね。それに近いような気がする。
姉弟:うんうん。
弟:だから音楽のエピソードでも言ったけど、例えばボサノヴァとかジャズとかって父親が聴いてて、大学生くらいになってから「そういえばこれウチで流れてたな」ってことがある。
未来世紀ブラジルとか2001年宇宙の旅とかもそうやし。
姉:そうだね。レベル高いものをそのままのぶつけてくるから子どもはびっくりするよね。
弟:そうそう、全然噛み砕かん。
一同:笑
姉:で、「なんでわからんの?」みたいな感じでくるからね笑
シ:不器用だけど面白い育ち方をしますよね、そうなると。
姉:思い返すとセンスいいんだよね。
弟:だからもっと小さい頃に能動的に吸収しとけば良かったなーって思う。
姉:それは本当に思うね。父親の方が大人になった時に良かったなと思うことを、母親は今どうするかみたいなのを教えてくれた感じ。
そこは結構バランスが取れてたかな。母親は全然ジャズとか聴かないし韓流大好き。
弟:めっちゃミーハー。
シ:なるほど。だからバランスが取れたんでしょうね。
姉弟と一人っ子の違い
シ:姉弟と一人っ子の違いは、PDCA回せることだと思うんですけど、 姉から見て、PDCA回せてるなーって思ったことありました?
姉:姉はやっぱりほぼ一人っ子みたいなもんやん。参考にするものがないから。
だから、二人とも経験していないものは、先にタイミング来ちゃうから体当たりしなきゃいけないよね。
シ:その場合の姉の失敗を活かして、弟がもっといい結果を出したことはあったんですか?
姉:あったんですか?笑
弟:そういうことで言ったら「姉がこれで怒られたから、自分はやらんとこ」みたいなコスいのはいくらでもあるかな〜
姉:PDCAってそういうことやで笑
弟:あるある。具体例は分からんけど、小さいのはめちゃくちゃあったんやろな。
シ:へー、弟目線でのPDCAがあるんですね!
僕は親目線でのPDCAのつもりだったんですけど、「姉ちゃんこうしとったから俺はこうしよう」があるのか笑
弟:結構ちっちゃいことやで。怒られんようにとかそういうこと。
逆に、親側ってなんかあるんかな?
姉:「多少雑でも死なん」みたいなのはあるんちゃう。
弟:それはあるかも。性別の違いはあるけど、どっちが目をかけられてたかっていうと姉ちゃんのほうがかけられてた。
姉:そりゃそうやろ、アルバムの冊数が違うもん。
弟:確かに!
姉:肩の力が抜けるんじゃないかな弟の方が。
シ:それ面白いなあ。そうか、比較してしまうのか。僕は絶対値でしか知らないから。
その他に姉弟と一人っ子の違いとしてよくあるのは、2人目は1人目から教えてもらえるから、情報が早いことですかね。
周りはコロコロコミックやのに、一足早く週刊少年ジャンプ読み始めてるとか。
僕はコロコロコミックすら小6まで読んだことなかったですし、なんか遅れてましたね笑
一同:笑
姉:うちは異性の兄弟やん?でもあんたコロコロ割と早く読んどったやんか。あれってよっちゃん(姉の幼なじみ)の家行っとったからかね?
弟:姉ちゃんの同級生と話す機会があるのは、アドバンテージではあるよな。
シ:てことは、長女も一人っ子と同じポジションなんで、情報には遅かったんですかね?
姉:たぶんお姉ちゃんがいたらもっと化粧するとか、ファッションに目覚めるとか早かったんじゃないかな。
けどいないからこそ、トレンドに飛びつくんじゃなくて、自分の好きなものが見つかったってのはあるかも。
シ弟:なるほど。
姉:正直周りの子達もSMAP×SMAPとかのテレビ見る人多かったけど、私あんまり興味なかったから、余力が全部バレエに入ってた感はあるかな。
(シオンが小6で聴き始めたHELP)
シ:それ僕もありますね。小6でビートルズを聴き始めたんですよ。皆がJ-POPとか聴いてたときに、家にあったビートルズのCDを小6ぐらいで聴き始めました。
だから、周りに流されないみたいなのはやっぱりありそうですね。
弟:確かに、小6でビートルズは早い。
シ:家にビートルズとか桑田佳祐とかがあって。
姉:それはどっちの趣味?
シ:これはお父さんの趣味ですね。B'zも桑田もめちゃくちゃミーハーというか王道なので。
姉:小6でビートルズと桑田佳祐は渋いな〜
シ:みんなは流行りの大塚愛とかHYとか聴いてたけど笑
兄弟喧嘩のやり方がわからない
シ:兄弟がいないから、喧嘩のやり方がわからないっていう記事を書いたことがあるんですよ。
姉:あれはいい記事。兄弟喧嘩をしたことがないから甘噛みの方法がわからないって書いてたよね。うちらは姉弟喧嘩しとったっけ?
弟:マジで最後いつやっけって感じよね。
姉:そういえば幼稚園の頃、一生懸命作った工作のヨットをあっちゃん(弟)に壊されたことがあったんよね。
「一生懸命作ったのに〜」って恨み言を言ってるホームビデオが残っとる笑
弟:あー!めっちゃ覚えとる!そのビデオ!
姉:弟も悪気があるわけじゃないんだけど、「後から生まれたからって許されると思うなよ」って思った。
弟:好き勝手やってんなよっていう笑
姉:友達の家に行こうと思っても、自分ひとりで行きたいのについてきたり。
弟:まりちゃん(姉の幼なじみ)家とかね笑
姉:なんでいつもついてくんのって思ってたな〜
シ:何でついていったんですか笑
弟:遊び相手が家にいなかったから笑
姉:まりちゃん家はすごくよくしてくれるからね。おやつくれたり。
まりちゃんはお兄ちゃんしかいなかったから、ちっちゃい子が遊びに来たら面倒見てくれるやさしい女の子だったね。
弟:でもな、マジ申し訳ないけど、弟的にもまりちゃん家はそこまで魅力的ではなかったと思う。
姉:えーーーー
弟:母からしたら「まとめとけばええか」っていう感じやったんかな。別に楽しんでたけど、「俺も自分の友達と遊びたいし」ってのはあったんよ。
姉の楽しみを奪っておきながらあれやけど笑
姉:ほんまやで。
弟:俺が喧嘩で覚えてるのは、小学生のとき。
2人でスーファミしてたら、姉ちゃんが負けて「このゲームつまらん」って言って消したんよね。それにブチギレたんを覚えてる。
一同:笑
弟:自分が負けたからって「ゲームがつまらんってなんや」と。俺が大好きなこのゲームをつまらんて言うなってブチ切れたのは覚えてる。
それ以外にはっきり覚えてる喧嘩は無いよね。
姉:確かに確かに。
弟:多分中学とか高校の時も、ちょっとした口喧嘩ぐらいはあると思うんやけど、「何でや!」ってめちゃくちゃ怒ったんはそん時くらいかな。
シ:あんまり喧嘩しなかったんですね。大人になるのが早いっていうか。
姉:もちろん泣いたりとかはあるけど。反抗期の男の子にありがちな部屋の壁に穴が空いたとかってのはないよね。
弟:そうそうそう。
姉:多少枕を投げるとかはあったか知らんけど。物を壊すとかはなかったかな。
弟:それやったら終わりやろみたいな、あったよな。ダメでしょみたいな。
シ:なんか大人ですね。
姉:ちょっと育ちがいいのかもしれないね。
弟:それな。
シ:自画自賛する姉弟笑
一同:笑
自分が親ならどうする?
シ:最後は、Ep-17で100万円を渡すっていう話も聞きましたけど、自分の子供にはどうする?っていう話をお聞きしたいです。
温さんがアンケートに書いてくれた「押し付けが少ないのは受け継ぎたい、テストの点数にもそこまで関心しない、芸術やスポーツにはいっぱい触れさせたい」ってのはいいですね。
弟:さっき話したもう少し能動的に学んどけばよかったなーっていうのに関連してる。父よりは噛み砕いてもええかなと思うけど。
あとは基本的なことつながりやと、挨拶とかありがとうとごめんなさいが言えんのは嫌やな。
姉:それが身についたことで、結果生きやすくなったかもね。自分から人を嫌な気持ちにさせない。
弟:生きやすい。軋轢が少ないっていうのかな。
姉:できるだけ広く付き合える人が増えるみたいな。
シ:コミュニケーション能力みたいなところですかね。
姉:どっちかって言うと、能動的なコミュニケーションというより守りを堅くする感じがする。
弟:だから育ちの良さ。育ちの良さをいかに「育ちのよさ」とか言わずに発するか。言っちゃってるからダメなんやろうけど笑
姉:そうそう育ちのよさ。出ちゃうよねえ。
(すぐ自画自賛する姉弟)
シ:じゃあ、一ヶ月後に自分が死ぬとして、子供に何を教えますか?
年齢は高校生だとして、ある程度のことは知ってる状態。箸の持ち方とかを教えるんじゃなくって、もっと生き方みたいな。
姉:私は「実物に触れなさい」だね。想像でしゃべるんじゃなくて、実際に触ったり見たり聞いたりしなさいって言う気がする。
シ:おぉー。温さんはどうしますか?
弟:他人の期待にムリに応えようとせんでいいよ、かな。
オランダに行く前に母親に言われた「多分あんたのことやから、なんか成し遂げないかんとか思ってるか知らんけど、別に辛くなったらいつでも辞めて帰って来ればええよ」っていうのが凄く心に残ってて。
シ:他人の人生を生きるな、みたいな感じですかね。
弟:言い換えると「本当に自分がしたいのか、そうした方がいいと思ってるのかを立ち止まって考えた方がいいよ」って感じかな。
シ:僕がパッと思いついたのは、スパイダーマンのセリフ。ベンおじさんの「大いなる力には大いなる責任が伴う」。
弟:それもいいね笑
シ:これも死ぬ間際に言った一言なんで。
「実物に触れなさい」
「本当に自分がしたいのか、そうした方がいいと思ってるのかを立ち止まって考えた方がいいよ」
2人のこの言葉から、他人の意見に惑わされず、己の感覚に従って生きる、というメッセージを感じました。
他者からの情報だけでなく、自分の五感で判断する。そして、自分の欲に忠実か問うてみる。
僕は後者は心がけていたけど、前者はまだまだ。
自分で触れてみる、やってみるの精神で知らないことや知ってることに向き合っていかないとな、感じました。
〈取材・文=シオン(@co13n)〉
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