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なぜ天候に関わらず外で遊ぶのか?

 週2日、親子参加スタイルの森のようちえんの活動をしています。森のようちえんは、野外での体験活動を柱にした幼児教育で、晴れの日も雨の日も雪の日も、基本は外に出かけます。
 ぼくたちが天候に関わらず子どもと野外で活動するねらいは、大きくは2つあります。

(1)適応する力を身に付ける

 天候は、人間の力で変えることはできません。だから野外で活動するときは、天候に合わせて、私たちが服装を調節するのです。雨の日でも、カッパを着てタオルや着替えをしっかり持って行けば、野外でもしっかり遊ぶことができます。寒い冬の日でも、重ね着をし防寒着に身をくるみ、温かい飲み物を持って行けば、元気に遊べます。
 社会の中で生活していく上では、自分が思い通りにできることばかりではありません。おやつをいつでも食べられるわけではないし、学校の先生を自分で選ぶこともできません。希望通りの進路を実現することができないこともあるでしょう。しかし、そういうことにいちいち腹を立てたり悲しんだりしていても、充実した人生は送れないと思います。
 与えられた環境下で、自分でコントロールできることに集中し前向きに生きていく、そんな資質を身に付けてほしいと思っています。

(2)自然に対する畏敬の念を持つ

 一方で、環境への適応といっても限界があります。暴風雨で警報が出ているようなときには、もちろん野外での活動は控えますし、大雪で車が動かないときに活動をお休みにしたこともあります。いくらがんばってみても、結局は自然には敵わないのです。
 森のようちえんや自然体験活動などの指導に関わるうえで、「自然は教材である」という見方ができます。実際、そのように捉えてその特性を指導者が理解することで、子どもたちの学びが高まるという側面もあると思います。しかし、「自然は単なる道具ではない」ということを忘れてはいけません。自然は私たちが望む生活を実現するために存在しているものではなく、健全な自然があるから私たちが生活を営むことができているのです。人間の活動によって様々な環境問題が地球規模で起こる今、持続可能な社会を実現するためには、そうした自然観に基づいて生活を組み立てることが求められています。
 荒れた天候で外で遊べない日は、室内から外の激しい様子を見て、自然の力強さや怖さというものを感じてほしいと思います。

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