売れない占い師はハト以下?迷信ビジネスの罠
最近、副業占い界隈で、
「そのやり方は本当に有効なのか?」
という売り方をしている&広めている人が多いなぁと思って。
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古典的な心理学の実験で、「動物に特定の行動をすると報酬(えさ)がもらえる」ということを学習させるものがありまして。
たとえば、「レバーを押すとエサが出る」という仕掛けをしたケージにネズミを入れておくと、
ネズミは、「たまたまレバーを押したらエサが出てきた」という経験を繰り返すことで、「レバーを押す→エサが出る」という条件を学習し、最終的に「意図的にレバーを押す」ようになります。
まぁ、芸を教えるみたいなもんですよね。
で、これ、面白いのが、
「条件を間違って覚えちゃう」ということも起きてくるんですよね。
心理学界隈では知らない人はいないスキナーという人の有名な実験で、
「ハトの迷信行動」というのが知られています。
すなわち、
・仕掛けがあるケージに空腹のハトを入れる
・仕掛けは、ハトの行動とは関係なく、15秒間隔で5秒間エサが出てくる
・するとハトは、エサのない15秒の間に、特定の行動(動作)をするようになる
というもの。
特定の行動というのは、たとえば、「ぐるぐる回る」とか「頭を上げる」とかそういったものです。
たまたま、ぐるぐる回っていた時にエサが出てきたので、
ハト的には「お、ぐるぐる回るとエサがもらえるんだな」と間違った学習をして、無駄にぐるぐる回る、というメカニズムです。
本来は関係ないことなのに、たまたまその時にうまくいった体験を「うまくいくための条件だ」と、誤って信じてしまうということですね。
人間でも、「うまくいったときにたまたま青いネクタイをしていたので、それ以降、ここぞという時はいつも青いネクタイをするようになった」といったジンクス的なことってありますよね。
※ジンクスは誤った学習というか、気分の問題ではありますが…
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ビジネスでもこういうことが起きているように思うんですよね。
別にそれが直接的な原因ではないのに、たまたまうまくいったときの条件を「成功要因」だと思ってしまう、みたいな。
たとえば、占い鑑定でいうと、売り上げや成約率には、アカウントのアイコンとかプロフィール設定とか商品紹介文などなど、いろいろな要素が関わってくるわけです。
あとはサムネイルとか、キャッチコピーとか、金額とか、出品(セールス)した曜日と時刻とか、
もう本当にさまざまな要素があります。
本当に何が売り上げアップにつながるのか、ということを厳密に知るためには、本来であれば、たとえば、アイコンならアイコンだけ変えて、他の要素は一切変えずに、売れ行きを比べる必要があるわけです。
※ABテストってやつですね
ですが、現実的にはとてもじゃないけど1つ1つ精査するのは難しいので、あれもこれもいっぺんに変えて、「お、やっぱり〇〇を変えたから売り上げが上がったな」とか主観で判断するわけです。
占い鑑定のように継続的に売っている商品ならまだしも、これが、たとえば、1回きりのセールス(ローンチ)だった場合、その商品で、その訴求で、そのリストに対してのそのセールスというのは、二度とできないわけです。
なので、成約率が良かったり悪かったりしても、何がよかったか、というのは、予想の範疇でしかありません。
だから、自分なりに「今回のセールスは〇〇に気を付けてローンチしたから成功したんだ。やっぱり〇〇は大事なんだな」とか思ったとしても、本当にそうなのかどうかは確かめようもありません。
こうやって、ある種の「迷信行動」が形成されていく場合もあるのではと。
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そう考えていくと、
たとえば、副業占い界隈で、まことしやかに、「プロフィールにはこういうスピリチュアル要素を入れるといいよ」みたいな情報が流れていたとしても、
それは、本当にその要素を入れたから売れたのか、それとも、別にそのスピリチュアル要素は関係なくて、他の要素がよかったのでたまたま売れただけなのかは分からなかったりします。
※ちゃんとABテストのように検証していればまた話は別ですが。
一例でいうと、お客様はその人の「レビュー」を見て購入を決めたのに、占い師本人は「プロフィールのスピリチュアル要素がよかったから買われた」と思い込んでいる、みたいなね。
なーんかね、見てて
「それは単なる迷信なんじゃないか?」
って思うようなことを、「ここを重要視したほうがいいぞ!」って、広めてる人が結構いるなって感じるんですよね。
占いに限らずですけど、「ハトのように、無意味にぐるぐる回ってないか?」という意識は持っているといいかなと思います。
そして、できれば、何かを改善する時には、いっぺんにあれもこれも変えずに、1つずつテストしていくのが理想ではあります。
なかなか難しいことですが、知っていてやらないのと、単純に知らないのとでは、意味合いが全く違いますので。。。
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