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何がクールなのか、インバウンド目線の大切さ

クールジャパン大阪パークのプレ公演で考え込んでしまいました。クールジャパンって何だろう?

このプレ公演は、KERENとのタイトルで歌舞伎などの「けれん」に由来しているそうです。要は、普通ではなくカブいている、常識人によってはちょっと眉をひそめる人もありうるが、エッジが効いて滅茶苦茶面白い、という感性が語源のようです。

KERENは70分ほどのライブでしたが、とにかくテンポと変化が速く、かつコンテンツがてんこ盛り、あっという間に終わってしまいました。剣劇とタップダンス、津軽三味線と現代音楽、日舞とブロードウェイのダンス、妖怪、満員電車の通勤地獄、芸伎さんの水芸、阪神タイガース、神社仏閣、たこ焼き屋、江戸時代と現在の大阪が交錯して、歌と踊り、アクロバチックな運動が融合しています。さりとて、大河ドラマのイ〇テンよりずっと分かり易く、自然にノッテいけました。一つには、ライブの臨場感とテレビ桟敷との違いがあるのでしょう。

それにしても。KERENは私にとっては一種のデジャヴューでした。まるで昭和時代の西部劇に登場する日本みたいなイメージなのです。純粋に日本人が体感している日常や歴史をはかなり違う。そもそも江戸時代にタップダンスはなかったでしょうし、歌舞伎の隈取りで殺陣の立ち回りを演じたり、映画フラッシュダンスの練習風景みたいな場面設定も、純日本とはかけ離れています。でも端的に楽しめる。面白い。

そうなんです。外国人目線のいかにも「クール」な日本のイメージなんです。ディテールに拘った時代考証や文化史的な視点から見ると、ある意味ハチャメチャなんでしょうが、これをショーとして見れば、日本人の私も引き込まれる。That's entertainment!と言えるのです。

この前日、やはり非常に面白い出し物を鑑賞する機会がありました。サンマさん主演で吉本新喜劇仕立ての『花の駐在さん』です。これはもう純粋に日本。いや、大阪でした(部分的に関東人の私にはわからないギャグもありました)観客が総員で笑いこけていましたが、これは外国人には無理だったでしょう。翻訳、吹き替えはほとんど不可能だし、そもそも笑いのツボが、日本(特に関西地方)に生まれ育たなければ理解不能。本来的なクールジャパンはこちらなのです。

でも、クールジャパンに不可欠なのが外国人の視点、感性、切り口です。いくら「これこそがクールな日本だ。あれは偽物、それはまがい物」みたいに言っても、海外に通用しなければあまり意味はない。

もちろん、本来的なクールジャパンを粘り強く広げていく努力は大切です。しかし、これをビジネス、それも外国人にターゲットを定めたビジネス、と考えると、KERENがその有力な答えを示してくれているなあ、と強く感じています。

クールジャパン戦略が新しいステージに入ってきたような印象を持ちました。


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