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自分が作詞した曲のイメージ香水をつくった

2024年1月、現代は推し活ブームの真っただ中。
世の中にはわがままなオタクたちの願望をかなえるアイテムやサービスが溢れています。そのなかでよく話題に上がるものと言えば、「推しイメージ香水」でしょう。

現代では「推し香水を見つけられる・作れる場所」が多く存在し、そこに多くのオタクが押し寄せています。
既存の香水の中からイメージに近いものを選んでもらえるCeles推し活や、オーダーシートに書いた推しの解釈に沿って調香してもらえるScentlyなどがその代表と言えるでしょうか。

わたしもそんな推し香水やらイメージ香水やらの類が結構好きなんですが、そんな中で今回行くことにしたのがこのお店でした。

元浅草に店舗を構えるD.Andaさんです!!!


D.Andaさんは「体験型香水店」と銘打ち、自らで好きな香りを選び調香することができるお店。たくさんの香料の中から好きなものをひとつひとつ選んで、好きな香水を作ることができるのです。

このお店は別に推し香水屋さんと言うわけではないようなので、「推し香水作ったよ」というオタク的なレポはあまり多くありませんでした。
実際にXとかで調べてみると、香水好きな人が「自分の好きな香りを作りました!」と報告している例のほうが多く見つかったような気がします。あれですあれ、調香アトリエというやつです。

オタクくんたちってさあ、作品とか推しに対する「自分の解釈」へのこだわりがめっちゃめちゃ強い生き物じゃないですか。むしろこだわりがないとオタクできないまである。
そんなこだわりぬいた解釈をさ、イメージに合う香料を自分で全部選んで香水にできるってヤバくないですか? 解釈一致確定コース、幸せにならんオタクいないですよ。

ということで、この記事は調香アトリエ・D.Andaさんで実際に香水を作ってきた報告を兼ねたレポです。
推し概念の香りに飢えてる方の参考になれば幸いです!


作る香水について

D.Andaさんは完全予約制。公式サイトから日付を指定して名前とメールアドレスを伝えると、予約完了メールが届きます。届いたメールにはこんな記載がありました。

なるほど。事前に香りのイメージを固めておいた方がいいということなので、まずはどんな香水にするかイメージを固めていきます。

今回テーマにするのは、以前わたしが作詞した楽曲「Room 420,」です。

「Room 420,」は2019年頃に國分。さん秋刀魚@秋Pさんと合作した曲。「アングラ」をテーマにしたコンピレーションアルバムに向けて作ったもので、短い言葉の中に可能な限り自分の好きなアングラを詰め込むぞ!と気合いを入れて作詞しました。
最終的にわたしの性癖のすべてを煮詰めた地獄のような歌詞になったわけですが、今になって「イメージ香水作ったるか!」と思い立つくらいにはお気に入りです。

歌詞そのものや当時のメモなどを眺めつつ、どんな香りにするのが適しているかを考え込みます。結果、こんな感じの方向性にしようと決めたのが以下の内容です。

・テーマ:都会の路地裏にある危ういホテル / 睡眠

・メイン:雲/夢のようなワードが思い浮かぶ、ふわふわしたイメージ。ミルクのようなやや甘い印象(だけどわたしが甘すぎるの好きじゃないので抑え気味に)。

・サブ:危ない感じの香りを入れたい(詳細は未定)。布団の中に自ら入ってぬくぬく寝るというよりは、睡眠薬とか飲まされて意識が遠のくみたいなネガティブなイメージ

・ラブホテルのイメージで歌詞を書いたけど、大人なセクシーさというよりは背伸びした子どものイメージ。歌ってるの杼景くんだし……。

iPhoneのメモ帳に残していたもの・原文ママ

これ伝わるんかな……!?

でもまあ一応「ミルクのような」みたいに香りの方向性もあるわけですし、何もないよりはましでしょう。というかお店で香りを選んでいくのだから、むしろこれくらいフワッとしている方が柔軟にできていいのでは?
とりあえずこのメモを持って、実際にお店へ行くこととします。

いざ、調香

1月4日。
わたしはひとりマンションの前に立っていました。

お店のストリートビュー
同じビル内にLUUPステーションがついてたのでめっちゃ便利でした
お店の郵便受け

……マンション!!!!!!!

マジか、思ってたより普通のマンションだった。周囲もマンションっぽいビルが立ち並ぶ普通の路地という感じで香水のお店があるような雰囲気ではない……のですが、郵便受けにD.Andaさんの名前書かれてるしお店があるのは間違いないんやろなあ。ともかく凸!

たのも~~~~~~!!!!!!!!!

(勢いよくドアを開ける音)

……

ワ、ワア!!(ちいかわ)

テーブルにはずらっと香料のサンプル!お店の中はふんわりといい匂いがしました。間違いなく香水屋さんだ……。

伝説的香水・シャネル「N°5」の絵。香水屋さんだ……
オリジナル香水のお店だけどトムフォードの瓶とかも飾られててエモかった

お店の中でキョロキョロしていると調香師さんがやってきて、オーダーシートに自分の名前・香水の名前(!)・香りのイメージを書くように言われました。
このシートに書いた内容をベースに、使う香料を決めていくみたいです。

……って、香水の名前……!?!?

オーダーシートの内容

ゆこなる「香水の名前……決めてないっス!あとででいいっスか!?」
調香師さん「香料決めて調香した後とかでも全然いいですよ」
ゆこなる「っしゃ来たオラ」

名前は決めていなかったのでいったん空欄の状態でオーダーシート記入。調香師さんとカウンセリングを行い、どういう方向性で行くかすり合わせを行ってから香料選びがはじまります。

香料めっちゃいろいろある

香水には、香りの下地として最後まで残り続けるベースノート・メインとなるミドルノート・香水をつけた時最初に香るトップノートの3つの香りがあります。これらを自分の好みや作りたい方向性に沿って選んでいくことになります。

香料は「ベース用」「ミドル用」「トップ用」と分けられていて、それらを順に数種類ずつ選んで決めていく……という形でした。
調香師さんとイメージを共有しているのもあり、「この香りにはこういうのを組み合わせればいいのでは?」などとイメージにそった提案をしていただけたのがとても助かりました。

ゆこなる「これは……?」
調香師さん「コーヒー豆です。鼻が疲れたら嗅いでくださいね」
ゆこなる「ほえ〜!」

選んだ香料からどれをメインの香りに据えるか決め、配分などもざっくりと相談していきます。最終的に決まった内容はどんどんオーダーシートに書いていき、確定。調香に移ります。


調香師さん「香料はこれで確定でいいですか?」
ゆこなる「はい!これでいきます!」
調香師さん「わかりました。んじゃ今から配合量伝えるんで、シートにメモってってくださいね
ゆこなる「は~い! えっ?

この配合量というのは、調香の際にその香料をどのくらいの量ぶちこんで混ぜるかという量……つまりレシピのようなもの。香料決めの様子をつきっきりで見ていただいたとはいえ、香料確定の瞬間にはレシピが決まっていたので衝撃的でした。調香師さんってガチですごい……。

調香のしかたはシンプルで、調香師さんから指示された量の香料をスポイトでコツコツとビーカーに入れていくのみ。香料の瓶をさわるので、帰るころには手のひらから非常にいい香りがして良かったです。
最後はできた香水を香水瓶に移していただき、ラベルを貼って完成!

できた~!

最終的にできた香水が、こちら!

わー!

香水の量はプランによって変わってきますが、今回は30mlのものをひとつ作りました。瓶の形がシンプルでキュートです。

そして香水の名前は「うたかたの部屋」に。
曲のタイトルをそのまま借りるのはなんとなく申し訳ない気持ちになったので、歌詞のイメージから新たに名前を決めました。

決めた名前は瓶に記載され、日付も入るので特別感が凄いです。大事にしよう。

選んだ香料はこんな感じ。

香料こんな感じのを選びましたの図

そのうちメイン香料となった「ホワイトワイン(トップ)」「ココナッツ(ミドル)」「サンダルウッド(ベース)」は瓶にも記載されています。すげ~。香水っぽい。

メモに残していたメインの「ふわふわしたイメージ」は、メインのココナッツやベースのバニラなどミルクっぽい香りを取り入れることで表現できたらな……と考えました。
そこにサブの要素としてヤバさを足すにはどうしようと悩み、結果シナモンをぶちこんだりしています。ジャスミンサンバックは今日初めて知った香料でしたが、香りを認識した瞬間に「これ入れたらエッチになるじゃん!」と感じたので衝動的に加えました。
最終的には大人っぽくも子どもっぽくもあるような、スッとした甘さのある香水になったかなと思います。

とにかくめ~~~~~~~っちゃ良い香りになった。マジ良い。これがわたしの性癖によって生まれたんだと考えると、実は結構すごい良い趣味してるんじゃないかと思えてきます。
國分さん、あきさん、いい曲作ってくれてありがとうございました。5年後のわたしはその曲の歌詞で香水作ってます。いや何言ってるんだ?

感想

シンプルに楽しかったです!!!!! 行ってよかった。
自分で好きな香りを決めて作れますし、調香師さんもついてくださるので間違って変なことになる可能性もほとんどないと思います。自分の解釈と近い香りがみるみるうちに出来上がっていくのは、一介のオタクとして非常に興奮する経験でした。
調香後に香料の量を修正して香りを調整することもできるので、解釈違いのリスクをほぼ確実に回避できるのも良いです。

配合量を記入したあのオーダーシートはお店側で保管することになっていて、また同じ内容の香水が作りたくなった時に再現することが可能なのだそうです。世界に一本しかない香水だからと遠慮せず、ガンガン使って行けるのは非常にありがたいですよね!

わたしは今回一人で行ったんですが、複数人(4人までのグループで予約できます)でわいわいやるのも絶対楽しいんじゃないかと思いました。

ということで香水づくりのレポでした! 自作香水、大事に使うぞ。

記念撮影

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