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【私的】2022・J1参入プレーオフ 1回戦:観戦ガイド【ファジアーノ岡山視点】

ついに2022シーズンのJ2リーグ42試合が終わった。ワールドカップがあるため例年よりかなり早い。まるでプロ野球のようだ。

ファジアーノ岡山はJ2リーグの3位で42試合を終えた。非常にエキサイティングなシーズンであったが、惜しくもJ1自動昇格はならず。しかし、エクストラステージたる「J1参入プレーオフ」の出場権(と、3位賞金500万円💰)を手に入れ、これに臨むこととなった。

この「J1参入プレーオフ」を勝ち抜けば、クラブ創設時からの悲願たる「J1昇格」がついに手中に収まることとなる。うっすらと、その影をうかがうことが出来る位置までやってきた。しかし、天上界(J1)から降りてくる、か細い蜘蛛の糸はたったの1本。これを己の手でつかみ取らぬ限り、悲願は果たされぬまま「」と終る。

この糸を自力でたぐり寄せ、上昇を果たすことができるのか。はたまた、お池の淵から覗き込むお釈迦様に、エンターテインメントを提供するだけに終わるのか。悲願を果たすならば、競合するライバルを蹴落とし、這い上がらねばならない。

レギュラーシーズンに勝るとも劣らぬ、ヒリヒリとする戦いがまた、始まろうとしている。。。。


プレーオフとは何ぞや

「J1参入プレーオフ」とは、
・J2の4チーム(3〜6位)
・J1の1チーム(16位)

…合計5チームによって、来季J1参入チームのラスト1席をめぐり争う、壮絶な争奪戦である。レギュラーシーズン順位を踏まえた多少のアドバンテージはあれど、基本的には負けたら終わりの一発勝負な、ノックアウト・トーナメント。
リーグ戦が足の引っ張り合いならば、J1参入プレーオフはさしずめ蹴落としあい。ファジアーノはJ2リーグ・3位チームとして、このサバイバルレースに臨むこととなっております。

ファジアーノ岡山公式ホームページに、すてきな特設サイトが出来た。チケットのこと、スタジアムのこと、試合のこと、イベントのこと、選手のこと。まずはこちらをご覧いただくのがよろしいかと思われます。▼

参加クラブ(J2)

2022年のJ2リーグで3位から6位に入った、以下の4チームがエントリー。いずれも魔境J2で1年間必死に戦い抜き、権利を確保した4チームということができよう。

・3位:ファジアーノ岡山(!!!!)
・4位:ロアッソ熊本
・5位:大分トリニータ
・6位:モンテディオ山形

こちらについては、すばらしい煽り動画が公開されている(※非公式)。われらの愛するファジアーノ岡山はもちろん、ロアッソ熊本大分トリニータモンテディオ山形の各クラブについても、対戦相手としてリスペクトすべき熱い覚悟・想いを感じることが出来る。これをみるだけで一気に熱量UP、プレーオフに向けたウォーミングアップも、たちどころに完了となること間違いなし。ぜひご覧になってください。▼


制度について

トーナメント表(私的解釈アリ)

J1参入プレーオフのトーナメント表は上記の通りとなっている。大きく2つのフェーズに分かれているといってよく、
①J2代表決定戦フェーズ(1回戦・2回戦)
②J1・J2入れ替え戦フェーズ(決定戦)
ととらえることもできる。まずJ2の4チームで代表を決め、J2代表チームがJ1との入れ替え戦に臨む図式だ。

そして、試合方式および勝敗の決定方法は、以下の通りとなっている。

●1回戦、2回戦
90分間(前後半各45分)の試合を行い、
勝敗が決しない場合は、年間順位の優位性を確保するため、J2リーグ戦年間順位が上位のクラブを勝者とする

●決定戦
90分間(前後半各45分)の試合を行い、
勝敗が決しない場合は、明治安田生命J1リーグ年間順位16位のクラブを勝者とする
決定戦の勝者は、2023シーズンにJ1リーグに残留または昇格する。
Jリーグ公式サイト
https://www.jleague.jp/j1sannyu/2022/outline.html

年間順位に応じたアドバンテージを与えるため、90分戦って引き分けならば上位チームが勝利扱い。また、試合会場は常に、上位クラブ・カテゴリのホームスタジアムとなる決まりだ。

※プレーオフの仕様・制度設計等について、われらが山陽新聞様が細かく解説してくださっている。こちらもまた、参照されたし。▼

参加クラブ(J1/16位)は?

まだ、決まっていない。
というのも、こちらもまた、過酷で熾烈な残留争いが繰り広げられているためだ。

一応、プレーオフに参加する可能性があるクラブは、10/27時点で7チームほどまでに絞られている。しかし依然、7チームである。ここからリーグ戦は残り2試合を残していることもあり、勝ち点差も近接していることもあり、結局どのチームとなるのかはまだまだ全く読めない。

今はまだ人生ゲームのルーレットがグルグル回ってるようなイメージだ。J1最終節、そのルーレットが止まり、ピンに差されたクラブが、J1参入プレーオフ出場クラブということになるであろう。

※J1残留争いの状況はこちらのページから確認することが出来ます。▼


PO1回戦を無理やり展望(過去の傾向から)

レギュラーシーズンを3位で終えたファジの1回戦の相手は、6位・山形と決まっている。前述の通り、アドバンテージもある。最大で2回戦までは、この過酷なサバイバルレースをホーム・Cスタで戦うことが可能であるし、引き分けであれば勝ち扱いにもなる。

しかし逆に言えば、有利になる点はそれだけ、ともいうことができる。1点入った状態でスタートするとか、1人多い状態で戦えるとか、そういうものはない。試合自体の条件はイーブンなのだ。

過去のプレーオフでも6位が3位を喰うとか、そんな下剋上は当たり前のように起こっている。年間順位とはなんだったのか、、、とため息をつかざるを得ない事象が、毎年どこかで発生するのである(怖)。

なので筆者の本心は下記の通りである。

わしの本心か。ならばはっきり言おう。
…全くわからん!
(元ネタ:2016年 NHK大河ドラマ「真田丸」
―第5回「窮地」より、
真田安房守昌幸(演:草刈正雄殿))

1回戦の過去の戦績(上位×6位)

1回戦戦績(上位vs6位) 年間勝点を添えて

上図は、プレーオフ出場チームで最も順位が下(6位)チームと上位チームの1回戦戦績(過去分)をまとめたもの。「引き分けなら上位チームの勝ち」制度を生かして勝ち上がったのは、上の表でいうと2013年の3位・京都だけで、あとの試合は得点数による白黒となっている。

そして、この表では「アウェーチーム」となる6位チームの勝ち星が5で、「ホームチーム」となる上位チームの勝ち星3を上回っている。

3位の優位性が結果に表れているとは必ずしも言えないのだ。

やっぱし勢いが大事?⇒そうとも言えない…

1回戦戦績(上位vs6位)直近5試合勝点を添えて

”勝負には時の勢いってやつがあるからな。3位チームがここまでやられてるのは、調子が下がり気味だったんじゃない?”

…と思って、レギュラーシーズン直近5試合勝点を添えた表を用意しました。そして、勢いがあっても、勢いがなくても、勝つところは勝つし、負けるところは負けていることが分かった(白目)。

たいていは、表の左側にいる上位チームが、直近5試合勝点も上回っていることが多い。それだけ順位相応な戦いができていた、ということになるだろう。しかし、それでいて1回戦突破しているケースがそんなにないのである(2015年の福岡だけ?)。

対して、下位チームのほうが勝ち点を多く積んでいるケースも過去2度(2022除く)ある。しかしそのケースにおいて1回戦を突破しているケースはない。2017年の千葉などは5試合で稼げる最大勝点15を引っ提げてPOに臨んでいるが、1回戦敗退となっている。

ほんと、出たとこ勝負の一発勝負なのだな、と思い知らされる結果に。そして2016年、クラブ史上はじめてプレーオフにチャレンジしたファジアーノ岡山は、そんな勢い説も勝ち点説もぶった切って1回戦突破した稀有なチームだったのだな、と改めて思う。

実例:2016 J1昇格プレーオフ:ファジアーノ岡山

前回、ファジアーノ岡山がプレーオフに出場した2016年のこと。
この年の岡山は、シーズン中盤までは自動昇格圏内をうかがうこともあるくらい、快調に勝ち点を積み上げた。しかし秋ごろから失速し、レギュラーシーズン最終戦まで7試合勝ちなし。ホームで迎えた最終戦でも、一時3対0までリードを広げたにもかかわらず、3点追いつかれて引き分け。8試合で白星無し&7位チームに勝ち点で並ばれるという状況となるが、得失点差が功を奏してギリギリセーフ。かろうじて6位を死守し、プレーオフに臨むこととなった。

1回戦の対戦相手となった3位・松本は、この年勝ち点84を稼ぎ、自動昇格圏内に肉薄。シーズン最後の5試合も4勝1敗、勝ち点12を上積みしていた。対する岡山は同じ最後の5試合で2分3敗、勝ち点2しか稼げておらず、年間通じての勝ち点についても、松本と岡山の間には19もの隔たりがあった。
当時の岡山と松本を比べれば、実力・勢いとも申し分なく完全に、松本側に分があるのは明白だった。ホーム・アルウィンでサポーターによる緑の壁をつくることができることもあって、3位松本が大いに有利、というのが大半の下馬評であったと思う。

2016シーズン 松本と岡山の比較(年間勝点&最後の5試合)

ところが。
迎えた1回戦、6位・岡山は3位・松本を降したのだ。
1対1で迎えた試合終了間際、赤嶺真吾選手が勝ち越しゴールを押し込んで勝利を挙げた。今なお語り継がれる伝説のゴールである。パブリックビューイング会場・イオンモール岡山が、騒然となった。岡山市内・岡山県内が、騒然となった。

…こんな感じで、何が起こるかわからないのが一発勝負のプレーオフであると言える。上位チームであること、アドバンテージがあること、これらによって確かに、上位チームの優位性はあるにはある。しかし、その優位性は限定的であり、全幅の信頼を以てアテにするのは避けたほうがいい。謙虚さは持ち合わせておく必要がある。

何が言いたいかというと…
スタジアムからでも、テレビの前からでも構わない。貴方の応援が、貴方の念が、ファジアーノ岡山には必要なのです(懇願)。

対戦相手:山形に関すること

ファジアーノ岡山とモンテディオ山形は、今季J2公式戦で3試合戦っている。
――「2試合」じゃないのかって?そうではないのだ。Jリーグでは「1回終わったはずの試合をもう1回やる」という、再開試合というものが組まれる場合がまれに(極々まれに)あるのだ。そして今季、その再開試合がくしくも、この岡山と山形の試合で組まれたのである。

※ことの流れについては、下の動画(8/31に組まれた再開試合前の告知動画:『FAGIANO CHANNEL』より)をご覧ください。

なぜか公式記録では2試合しか戦っていないことになっている(注:再開試合はあくまでも対象試合を途中から再開する、という扱いのため)が、我々は都合3回の試合を確かに戦っているのだ。
ゆえに、このJ1参入プレーオフ1回戦は、両者にとって今季4回目の顔合わせということになるし、レギュラーシーズンから数えて44試合目の戦いということになる。公式記録のことはわからないが、体感的には確かにそうなるのだ。

動画で振り返る、今季の「3試合」

以下の動画が、今季戦った3試合の足取りだ。岡山はすべての試合で勝っている。


スタッツの比較

3試合のスタッツ。左から4/3、8/31(再開試合)、9/10
(画像引用元:Twitter ファジアーノ岡山スタッフ公式 @fagiano_koho)

上記はファジアーノ岡山スタッフ公式 @fagiano_kohoより3試合のスタッツデータを引用、並べてみたものになります。4/3の第8節(当初)では岡山が押し気味に試合を進めたようにも見えるが、再開試合と9/10の35節では山形がボールを持ち、パスを回しながらゲームを進めていった印象。ただ、試合は3試合とも岡山の勝利。

蓋が空いてみないとわからないところはありますが、最近の岡山はあまりボールを長く持つことにこだわっていないように見えるところがあります。アドバンテージのことや山形さんの戦い方のことなども踏まえると、プレーオフについても後者2試合のような展開になるのではないか?と予想はしております。

データの比較

サッカーに関するデータサイト「Football LAB」にて、2022シーズンにおけるファジアーノ岡山モンテディオ山形のデータ比較をすることができました。下記のリンクからご覧いただくことができるようになっております。

上記ページより、いくつか、かいつまんで取り上げてみる。

▼シーズン戦績(2022)

シーズン成績
(引用元:Football LAB )
https://www.football-lab.jp/comparison/team/2022/30314/2022/294/

▼通算対戦成績

通算対戦成績
(引用元:Football LAB )
https://www.football-lab.jp/comparison/team/2022/30314/2022/294/

対戦成績は上記の通り。J2で共にしのぎを削っているが、岡山としては相性がいい相手、ということができようか。しかしプレーオフは何が起こるかわからない。

▼チームスタイル指標(2022)

チームスタイル(2022シーズン)
(引用元:Football LAB )
https://www.football-lab.jp/comparison/team/2022/30314/2022/294/

ほとんどの指数で山形のほうが上回っていて、バランスがよい。ホーム山形戦でも感じたことだが、組織的で整って、相互の信頼関係も感じられ、力強さもある。手ごわいことに変わりはない。

(※チームスタイル指標については↓)


▼ホットゾーン(2022)

ホットゾーン(2022シーズン)
(引用元:Football LAB )
https://www.football-lab.jp/comparison/team/2022/30314/2022/294/

これは両軍似ている。お互いサイドを主戦場とする傾向にあり、ということ。徳元、河野、佐野、成瀬、そしてハン、木村。かれらの躍動・奮起が期待される。

▼得点パターンと失点パターンのかみ合わせ

ここでは「Football LAB」に掲載されている「得点パターン」「失点パターン」データをもとに、両チームのかみ合わせを見てみます。

岡山・得点パターン×山形・失点パターン ※作図:筆者
(データ引用元:Football LAB )
https://www.football-lab.jp/comparison/team/2022/30314/2022/294/

▲岡山の得点パターン(攻撃)と山形の失点パターン(守備)のかみ合わせ。シーズンの傾向上、セットプレーで失点しやすい山形と、セットプレーで得点しやすい岡山のかみ合わせとなるようだ。岡山は粘り強く、ここを突いていきたいところだが、対策もされているだろうし、果たしてどうなるか。
ショートパスでの崩し、こぼれ球、ドリブルについても、隙を逃さず狙いたい。

山形・得点パターン×岡山・失点パターン ※作図:筆者
(データ引用元:Football LAB )https://www.football-lab.jp/comparison/team/2022/30314/2022/294/

▲山形の得点パターン(攻撃)と岡山の失点パターン(守備)のかみ合わせ。気になるのがクロス、そしてセットプレーというところだろうか。前述の通り、サイドアタック主体の山形であるから、クロス攻撃が増えるのも自然。感覚的に「キレイでない崩し」で失点しやすい傾向がある岡山としては少し厄介だ。
また、ホーム山形戦での失点は、國分伸太郎選手(岡山県出身)によるフリーキック、すなわちセットプレーだった。ゲームの流れ関係なしに点が取れるセットプレーは、こんな一発勝負では非常に怖い。チーム全体で何とか跳ね返してほしいところだ。


気になる選手(山形)

やはりレレことディサロ 燦シルヴァーノ選手が気になる。

スピードもあるし、テクニックも兼ね備えている。上の動画の先制ゴールとか、右足でパスと見せかけて左足で撃っている。脅威。今季途中で山形に加入し、14試合で8ゴールだそうだ。山形の攻撃を回すのに欠かせないピースとなっている。
(岡山にとっての)ホーム山形戦で見たことだが、ビハインドでも残り時間が少なくても、全力でボールを追いかけ、ピッチ外に出たボールも走って拾いに行き、最後まであきらめない姿というのを見せていた。こういう選手は応援したくなるんじゃないかな。いつか岡山でプレーしてほしい選手だと思っています。

…否、このプレーオフではライバル。要警戒だ。


むすび

ここまでプレーオフ1回戦のプレビューを書いてみた。

試合に入れば条件はイーブンであり、アドバンテージの効果は小さい、と記事内で触れた。でも、ホームスタジアムで圧倒的な手拍子・声援を受けながらプレーできることが、選手にとって大きなプラスになることは間違いない。

サポーターの我々がやきもきしているのだから、選手たちはもっと、やきもきしていてもおかしくない。普段とは比べ物にならないプレッシャーもかかっていることと思う。でも、それらを認めた上で、全力で立ち向かうことができるような、普段の数倍のパワーを出せるような、そんな雰囲気を作っていきたい。

前回記事にも書いたが、シティライトスタジアムのデザインは岡山県の縮図である。中国山地、瀬戸内海、岡山平野。メインスタンド、バックスタンド、ピッチが一体となり、岡山一体となり、ファジアーノを押し上げていきたいところだ。

1回戦の相手が、いろんな因縁のある山形ということで、色々思うことのあるサポーター様も多いことであろう。しかし、私個人としては、お互いベストを尽くし、文字通りの最終決戦をいい戦いにしたい。でも、最後に笑うのはこっちだ、という気持ちももちろん、忘れていない。自信を持ち、謙虚に、最後まで諦めず、このプレーオフのこの雰囲気を楽しみたい。

今回は、ざっくりと予習になればと思い、観戦ガイドとは名ばかりかもしれない記事を書いてみました。拙い内容とは存じますが、これを読んで「ファジアーノの試合見てみようかな」となって頂けた方がもしいらっしゃれば、これほど幸甚なことはございません。

チケット関係が厳しいかもしれませんが、ぜひぜひホームスタジアムへ足を運び、応援いただければと思います。
かりにスタジアムが叶わなくても、テレビで、DAZNで、心の中で。ファジアーノ岡山の後押しをしていただけると、これまた幸いでございます。

この記事を読んでいただけた皆様には、当日の選手たちのプレー・判断は全て正解だと思って、いや、正解だったと思えるようにするために、暖かく熱い気持ちで応援をしていただけると嬉しいです。

(了)


※最後に公式HPの特設サイト再掲



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