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新しい家族


16年6ヶ月共に暮らしてきたコロンを見送ってからちょうど半年。

コロンがあちらに行ってからの私といったら、お勤めがある日はやるべきことは淡々とこなしてはいたが、お休みの日にはな〜んにもせず、夕方薄暗くなるまでただリビングでソファに座っているだけの日もあった。
家中のあちらこちらにコロンの居た姿が幻覚のように浮かんできては、カーペットについたシミを見ただけでもシクシク泣いたり、オイオイと泣いたりしていた。
夫に至っては、「昨日からオレの周りに蚊が居るんだけどさ、刺さないんだよ。O型だから絶対刺されるはずなのに、刺されないんだよ。これ、コロンだよ、コロンが戻ってきたんだよ❣️」と、完全にイカれてしまっていた。(笑)
いえいえ、私にはそれは間違いなく蚊にしか見えませんでしたけど。

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コロンを見送った思い出しかない夏をなんとかやり過ごし、10月、我が家に、推定年齢4、5歳の犬ちゃんを迎えた。

推定年齢…そう、正確なことはわからない、保護犬である。

コロンが居た時から、寝る前にInstagramで犬ちゃんたちを見るのは日常であったから、コロンが居なくなってからもそれは変わらず、笑ったり涙したりしながら寝落ちする日々を繰り返していた。

ある時目に入った『#保護犬』というハッシュタグ。
コロンが居なくなってからやけに気にかかるワードになっていた。
『#保護犬』をどんどん辿っていくと、『急募!夫婦で病を患い長期入院になる予定のため10歳の愛犬の里親を探しています』という書き込みが目に留まった。

里親?うち、今、愛犬枠、空いてるけども?うちのコにならないかい?
そんな気持ちがジワジワこみ上げてきた。

次の日もまた次の日になっても、まだ書き込みは消されていなく、ジワジワがフツフツとなり、夫と娘に話してみると、2人ともあっさり「いいじゃん、うちで引き取ろうよ〜🙋‍♂️」

掲載サイトにメッセージを入れるとまもなく返信があり、2回ほどやりとりをしただけで『是非お願いします』と、トントン拍子に話しが進もうとしていた。
「え、会ってもいないのに信用してくれてるの?」と、嬉しいような、ホントの話なの?みたいな気もしたが、それほど切羽詰まっていたのだろう。
お電話で詳細についてお話しをし、居住空間や近隣の環境などを動画で送り、お迎えに行く日にちを決め、コロンの使っていたものを全て洗って干し、フローリングには滑り止めワックスを塗り、お迎えする準備を進めた。

ところが、お迎えに行く2日前になり、ママさんの検査結果の数値が好転、入院せず通院治療が可能になったので里親の話しはなかったことにしてくださいという連絡が入った。

そうかぁ〜、でも、10年も一緒に暮らしてきたママさんと離れ離れにならないで済むんだから、いい事に決まってるんだ…と自分に言い聞かせ、家族LINEを打つ。

帰宅した夫の第一声も、『ママさん、結果良くて良かったねぇ〜やっぱりずっと暮らしてきた家族と一緒がいいに決まってるよ』で、ホッとした。
息子は『Jくんに会えないのは残念だけど』とニコニコと残念がっていた。

はりきってお迎え準備をしていただけに、本音を言えば肩透かし感は否めないのだが、この件で、コロンを失った哀しみで彼のことだけを思い続けることなく、私たち、意外と前を向いて行けそうだよね…ということに気付くことが出来た。

そしてまた、『#保護犬』を追っていたある時、広〜い芝生のお庭でチワワやヨークシャーたちが5、6匹、いやもっとだったか、コロコロコロコロ走り回っていて🐩🐕🐩💨💨💨キラキラとセンス良くまとめられた動画投稿に付いていた 『#ハッピー犬屋敷 』の文字が目にとまる。

「犬屋敷?多頭飼い?確かに犬がたくさん…なんなんだろか?」と思ってどんどん辿っていくとどうやら、『保護犬を新たな家族が見つかるまで家庭で預かって育てている保護ボランティアをしている方々』ということがわかった。

なんたる素晴らしい行動力とお心の持ち主なのだろうと、「ずっとのおうち」を探しているこちらの犬ちゃんたちに、私と夫と娘のぶつけどころのない有り余っている愛を、是が非でも注がせてもらいたい!と思わずにいられなくなった。

コロンが旅立って1ヶ月余りで、新しい家族を迎えたい気持ちに迷いはなかったのかと言えば、全くと言っていいくらい、なかった。

コロンが居なくなった寂しさに変わりはないが、「コロン好き好き〜」「なんでこんなに可愛いの〜」「コロン、お散歩行くよ〜」と、16年以上毎日何回も何回も呼んでいた相手がいなくなってしまって、楽しかった想い出はたくさんあってもこれ以上増えることはない。

コロンは私たちの悲しんでいる姿や怒りの感情を捉えると慰めにペロペロしてくるコだったから、私たちがずっと悲しんでいることは望んでいないハズ。。。

寂しさと裏腹に、保護犬事情を知っていくほどに、1日でも早く、1匹でも多く、誰か迎えにいってあげなくちゃ!と思うようになっていた。

保護犬という言葉の響きからイメージする犬ちゃんたちのほとんどは、保護された直後は言葉にするのも憚れるくらい酷い状態のコも居るのだが、この #ハッピー犬屋敷 の犬ちゃんたちは、活動に賛同されて協力している病院、サロン、支援者の方々によってキレイにしてもらい、健康チェックをしてもらい、十分なご飯をもらい、清潔な寝床で眠り、保護主さんや協力者さん宅に居候させてもらいながら、一日でも早く「ずっとのおうち」探しをしている犬ちゃんたちなのである。
保護された後、家族として迎え入れてくれる里親が見つかることが保護犬としてのゴールだ。
そしてそこから新たな「犬生」が始まる。

#ハッピー犬屋敷 には預かりママさん(別名仮ママ)という協力者がたくさんいらして、保護された犬ちゃんたちをそれぞれのご家庭でお世話しながらSNSで保護犬の存在と活動を発信されている。

その預かりママさんたちのSNSをあちこち見ていた中で目にとまったのがこのお犬さん、その名も「和賀ちゃん(仮)」

保護数日後

保護されてこの時まだ10日も経っていないという和賀ちゃんと、一緒に保護されたもう1匹のコが、預かりママさん宅のパパにジャレついている無邪気な姿に母性が反応してしまった🥰

10年前コロンがヘルニアの手術をした時に「もし次に飼うなら、違う犬種だなぁ」と心を込めてサラッと言った夫の言葉をずっと忘れないで暮らしてきたので、あえてミニチュアダックスは見ず、このコの写真を家族LINEに送った。

コロンはコロンだけ、次のコはコロンの代わりではない。
満場一致で和賀ちゃんの里親に応募することにした。

10日過ぎても連絡がない場合にはご縁がなかったと理解してくださいとのことで、連絡がないまま6日目を迎え、ダメだったかなと諦めようとしていた矢先に知らない番号からの電話。
久しぶりに胸が高鳴った!

「応募要件に申し分がないので里親さんに選ばせていただこうと思いまして…」と嬉しい連絡。

翌週会いに行くことが決まり、それまでに名前を決めることにした。

これからの犬生に光が差すように、輝き愛に恵まれるように、「愛」「光」「輝き」「可愛い子」を色んな国の言葉にして20コ余りリストアップし、息子にも「りょうりょうは付けたい名前ある?」と聞いてみると「うん、さわこはどうかな?」と真顔でサラリと答え、「さ、さわこ?!」と聞き返すと「うん。それか、うめこ」とあまりにも意表を突かれた。
さわこと言えば北原佐和子、うめこと言えば津田梅子。
さわことうめこで白いマルチーズは思い浮かんでこんよ?

家族の意見がバチバチに割れすぎたので最終的にペット姓名判断アプリで◎だった、韓国の言葉で愛という意味の「サラン」と名付けることにした。

羊山公園
娘のお腹の上😆

久しぶりに家族が揃い、「サラン」とお見合いをするために県を跨いで預かり先へ向かう。
預かりママさんと現れた「サラン」は今まで5.6キロのコロンと暮らしてきた私たちには経験したことのない小ささ。
なんと2.8キロだというからコロンのちょうど半分だ。

「うわ〜可愛い〜!か細い足!小さっ!軽っ!」
お腹に乗せてみる娘、ほころんだ顔で孫を抱くおじいちゃんのような夫、ニコニコしながら肉球を狙う息子😆

私たちが持参したおやつを欲しがってアルプスの少女ハイジの子ヤギのユキちゃんみたいに無邪気にツンツンついてくる姿に、家族全員が一気に気持ちが盛り上がる一方で、こんな小さな身体で、繁殖犬としてぞんざいな扱いをされて生きてきたのだと聞いて、ここまで弾んできた胸がギューッと痛んだ。

小一時間遊んだあと、預かりママさんから「どうですか?」と聞かれ、「私たちはもう❣️むしろ、私たちに託していただいて大丈夫だと思っていただいてますか?」と言うと「もちろんです!このおうちなら幸せになれると太鼓判です!」と合格をいただき、お見合い成立となった。


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#ペットショップに行く前に
#保護犬という選択肢
#ペットロス にはならなかった
#サラン
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