餞
2020年の4月に乗り始めたわたしの車、スバルのR2を廃車にしたので、思い出の振り返りと愛車への感謝をこめて。
泣きながら書いているので、そのうち加筆修正するかもしれません。
出会ったのは2020年3月で、それまでは祖父のお下がりの車、ステラ（形見になってしまった）に乗っていた。
祖父にこの車で会いに行く度に「まだ乗ってらの！」と言われていたが、よく走るし悪いところがない丈夫な車だ。
その車を妹用にして、わたしに新しく車を用意しようとのことで父親が準備してくれたのがR2だった。
祖父のお下がりがマニュアルだったので、オートマになるのがとにかく嫌だった。
最後の最後まで粘った。そっちを妹にやったらダメなの？
ダメだった。
《免許取ったらマニュアルに乗せる》、父親のよくわからない教育方針のようだった。
なんだかんだで4月、車検といろいろなカスタムを終えてR2がうちにやってきた。前の持ち主の趣味で、マイメロディのステッカーをたくさん貼り付けて。
先に写真で見ていたけれど、とにかく衝撃だった。わたしはマイメロよりポムポムプリンが好きだし、はぴだんぶいが好きだ。
ポケモンのぬいぐるみをたくさん置きたい願望が打ち砕かれた。
予想通りCVTはマニュアルよりもかなり走らなかった。父親には「ステラと同じ四気筒なんだから」とずっと言われていた。そういう問題じゃない。
しばらく不貞腐れていたけれど、どこかで諦めがつくものだ。まあ、なかなか見た目は可愛い車だし。おじさんウケはいいよって父は言ってた。よく煽られたけど。
いろんなところに行った。県外に出ることは叶わなかったけれど、1人で、友達を乗せて、家族を乗せて。
車がないと生きていけないような土地に住んでいるので、わたしの一部みたいになっていた。
嫌なことがあれば車内で泣いて、ふと消えたくなった日は地図も見ないでテキトーに走って、なんかマイナス感情ばっかり押し付けてたな、ごめんね。
マイメロディのヤバい車なので、友達の彼氏には「あのやばい車乗ってる子！」と覚えられた（わりと最悪）。
乗り始めてから、やたらとマイメロディ運が上がった。複数キャラの景品があるサンリオくじで、マイメロディばかり出た。
キティちゃん、マイメロディ、ポムポムプリンがラインナップ
テキトーにやってみたUFOキャッチャーで、300円でマイメロディのぬいぐるみがとれたりもした。
1回目の故障はエンジンだった。車検取ったばっかりでエンジン壊れることあるかよ、と思った。ちょっと後悔した。
2回目の故障はO2センサーだった。取り替えてもらった。
3回目の故障が、またエンジンだった。
直感で「もうダメかもしれないぞ」と思った。
明らかに調子の悪いエンジン、どんどん走れなくなる車。帰宅途中で家のすぐそばだったのでどうにか帰った。
エンジンの故障はだいたいお金がかかる。修理しても次の春に待ち構えている車検でお金がかかる。
元々そんなに長く乗る予定ではなかったし、車検までには乗り換えようと思って車を探していた。
お別れしようと思った。
3年前に廃車にされる予定だったところを父がもらってきたわりには頑張ってくれたし、なんなら無理をさせていたと思う。
ワンシーズン早く乗り換えることになった、それだけのことだ。
春まで一緒にいられると思ったから、とにかく悲しかった。こんな風に終わると思わなかった。
新しく乗る車が決まって、車屋さんに持って行ってもらう日が決まって、どんどん、手放すという実感が湧いた。
そして、今日のお昼、わたしの家からR2は姿を消したのだった。
あまり大事にできなかったかもな、とか、もっといろんなところに行きたかったな、とか、そういう、恋人と別れたんか？みたいな後悔がたくさん押し寄せてくる。
エンジンがおかしくなった時点でどうしようもならないのはなんとなくわかっていたけれど、いざ、もう姿を見ることができない、となると心に穴が空いたみたいに悲しい。
じぶんの車を手放すのが初めてだから、というのもあるのかもしれない。
でも、今のこの痛みはしっかり覚えていたいと思った。
たくさんのありがとうとごめんねを込めて、わたしからの餞とします。
車は天国に行けるのかな。
またどこかで会えたら嬉しいな。元気でね。
