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2021.4月14日 ミス・マープル長編・1 『牧師館の殺人』 & 花嫁さん風ドレスのキューピーちゃん⛪️💒

お待たせしました!
アガサ・クリスティ氏著 ミス・マープルシリーズの読書記録、いよいよ始まります♪

記念すべき第1回目はもちろん、ミス・マープルものの長編第一作『牧師館の殺人』です。

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田村隆一氏翻訳の旧訳版と、羽田詩津子氏翻訳の新訳版を両方読んでみたり
キューピーちゃんの新作ドレスを編んでいたりで
遅くなってしまいました。 m(_ _)m

この『牧師館の殺人』が発行されたのは、1930年。クリスティ氏が40歳の時で、氏の執筆活動がより精力的になり作品の発表が活発になってきた時期ですね。
注目したいのは、献辞の言葉です。

「ロザリンドへ」

ロザリンドさんは、アガサ・クリスティ氏のお嬢さんです。
アガサさんが、最愛の一人娘であるロザリンドさんに捧げた作品、それがこの『牧師館の殺人』なのですね。

私などは、この献辞を読んだだけで。胸がいっぱいになってしまいます。
アガサさんにとって、この小説は特別な想いを込めた作品だったのではないかと。
そして、ロザリンドさんにとっても。きっと、特別な作品として心に刻まれたものであっただろうと思います。

ここからは、作品の内容へ。
ミステリ小説ですから、なるべく詳細なネタバレは避けつつ記していきます。

タイトルに"牧師館"とあるので、宗教的な内容や信仰の問題などが、テーマとなっているのではないか?
と、思われる方がいらっしゃるかもしれませんが。
それは、ほぼ皆無と言っていいかと思います。

舞台が牧師館であるというだけで、宗教・信教的なことに深く踏み込んでいる部分は、殆どありません。

むしろ。(古今東西、いつの時代でもどんな場所でも、同じような事件が起きてしまうものですね… )と、感じてしまうような
愛と悲しみの人間ドラマが描かれていますね。

クリスティ氏作品の愛読者の方ならば、恋愛問題が絡んだ事件を得意とする愛の探偵ハーリ・クィン氏の登場する短編を、思い出されるかも。

事件については、このくらいにとどめ。
次は、翻訳について語りたいと思います。 

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田村隆一氏翻訳の著書を読んだことのある方は、多くいらっしゃるのではないでしょうか。
私の中では、「クリスティ氏作品の日本語訳といえば、田村隆一氏」と頭にインプットされているくらい、絶大な存在感のある方です。
私が最も愛する日本語訳は、田村隆一さんが翻訳なさったものです。

ただ。言葉というのは、時代の移り変わりとともに、変動していくものですよね。
新しい言葉が生まれ、新しい響きが耳に流れ込んでくることで、新しい文化が誕生し
ダイナミックなうねりが発生していくのです。
そうやって、文化・芸術は新たな発展を遂げ、活性化していくものなのです。

ですから。よりその時代に適した新訳版が発表されるのは自然な流れですし、素晴らしいことだと思います。

例として挙げますと。
まず、登場人物の名前が
旧訳版では 「プロズロウ大佐」

新訳版では 「プロザロー大佐」となっています。

台詞からも、一部文章を引用しますね。

【旧訳版
「でも、ミス・マープルが何かほのめかしたと思ってるんでしょう。
だからあんなにじょうずに弁明なさったんじゃないの。…(以下略)」

新訳版
「だけど、ミス・マープルがそれをほのめかしていると思ったのね。
だから、わたしを見事に弁護してくれたんでしょ。…(以下略)」】

新訳版のほうが、現代的で親しみやすい文章になっていますよね。

私のような昭和生まれの旧い人間は、田村隆一氏の旧訳に慣れていて馴染み深く感じます。
ですが、平成生まれの若い人達には、羽田氏の新訳版のほうが、ナチュラルで読み易く感じるかもしれませんね。
個人的な各々の好みによっても別れるでしょうから、一概には言えませんが。

個人的な好み、となるとですね。
旧訳版で凄く好きな箇所があるのです。 

【今日のレティスはことさらそうだった。すらりと背が高い色白の美人だが、雲のように表情のうつろな娘。フランス窓からふらりと入って来て、ぼんやりした様子で黄色いベレー帽を脱ぐと、夢でも見ているような口調で驚いたようにつぶやいた。】

この文章を読むと。やはり、田村隆一氏は詩人だなぁと、感嘆してしまいますね。
海外ミステリ小説の翻訳文なのに、まるで一編の詩を読み堪能しているかのような、錯覚にとらわれます。
これこそが、詩人であり翻訳家であった田村氏の魅力であり、強みでありましょう。

新訳版が出版されている以上、いずれ旧訳版は去り行く運命なのだと解ってはおりますが…

(何とか、田村隆一氏の旧訳版も残していただき、次の世代や次の次の世代の読者にも、読み継がれていってほしい)と、
気持ちの何処かで、願ってやまない自分がいたりもします。

ついつい、熱が入って読書記録が長くなってしまいました🙇‍♀️

本日の編み物作品は、ウェディングドレスを着たキューピーちゃんです💒

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牧師館が舞台となる小説ですので、花嫁さんが着るような純白のドレスを編んで、一緒に載せたいと思い
この読書記録の為に、新たに編みました♪

何とか、今日に間に合って良かったです💕😊









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