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2020.11月22日 長編・33『第三の女』 & 三角関係な三角モチーフ△


名探偵ポアロシリーズ 長編読書記録・33は『第三の女』です。この【ポアロ長編読書記録】も、今回を含めて残り2作となりました!

『第三の女』(原題"Third Girl")というタイトル、どういう意味だろう?と首を捻ってしまいますよね。

若い女性が、まず部屋を借りて別の女性(セカンド・ガール)にその中の一部屋を貸し、さらにまた別の女性(サード・ガール)に一室を貸す… という、ルームシェアをしている状態で、その三番目の女性を示す言葉なのだそうです。
面白いですね♪

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さらに、この作品中で(面白いな)と、私が感じた箇所を以下に挙げておきますね。

ポアロ氏とニール主任警部との会話で、ニール警部が発した台詞です。

【「ああ、やつはどこにでもいるごろつきですよ。人間の屑です── 徒党を組んでナイトクラブでいやがらせをする。パープル・ハートを常用している──ヘロイン──コーク── 女どもはああいうものに夢中なんだ。
あの男は女たちが、あんなにすばらしい天才なのに、あのひとの人生はとても辛いことばかりなの、とよってたかって嘆いてくれる、そういうタイプの男ですよ。
彼の絵はほんとうの値打ちがわかってもらえない、とかね。
わたしに言わせりゃ、おきまりのセックスがお目当てってとこだ」
ハヤカワ文庫p 291より】

いやぁ、まさに一刀両断。
ばっさり(^ω^)
清々しいくらい、小気味良く【芸術家崩れの屑オトコ】を、的確に分析して指摘してくれちゃってますねぇ。
その屑男に同情し、心惹かれて、ともに身を崩してしまいがちな憐れな女の子の心理状態まで。
私、アガサさんのこういうところ。大好きなのですよぉ〜。

だって。その通りなんだもん!

その通りなのだけど、それが イコール= 悪 だとは言えませんがね。

(善悪・正邪 の定義は、そう簡単には割り切れるものではない) そうも、思いますし。

ただ。上の台詞の中で、ニール主任警部が「人間の屑」と表現している屑男は、まぁ【愚か】だとは感じますね。
その愚かさに気づかず、「彼は天才なのに、正当な評価を受けず、むくわれていないの」
などと、引きずられてしまう女の子たちを【愚か者】と切り捨てる気にはなれないけれど。
人を好きになる気持ちは、誰にも止められないものですしね。

屑男にお金を貢いでいたり、同情して犯罪に加担している場合は、早く目を覚まして欲しいなと。そうは思いますね。ま、老婆心ですわ。
若い人には、余計なお世話でしょうがね。

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とりとめのないことを、ダラダラと書いているように見えるでしょうが
実は、この小説の核心というか本質に迫ることを、ネタバレ無しに書いているのですよ♪

この小説の中で「ビート族」という言葉が、頻繁に登場します。
1966年に発行された作品なので。時はまさに、「ビート・ジェネレーション」の作家たちやその影響を受けた若者達の起こしたムーブメントに、世間が注目していた頃だったわけですよね。
アガサ・クリスティ氏が、このムーブメントに対して、どのような見解・評価を下していたか。この小説を読むと、それがビシバシと感じられて、大変興味深いです。

殺人事件の謎解きを楽しむとともに、そことはまた違った視点からこの作品を読み解くのも、一興ではないでしょうか。

本日の編み物作品は、第三の女的三角関係△を表してみたい…という事で

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三角形のモチーフにしてみました♪

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