映画「鋼の錬金術師(2017年公開)」に対する当時の感想

見てきました。実写版鋼の錬金術師。公開当日に、わざわざ。

 人は誰しも、己の人生に決着を付けなければならない日がいつかやってきます。思い起こせば2017年12月3日(私の誕生日!)、公開3日目にわざわざ映画館まで足を運んで、見に行ったんですよ。実写版鋼の錬金術師。

 ブチギレにブチギレて帰ってきて、こんな文章を書いて投稿していました。これも私の綴った文章であり、今回何を語ってよいのか分からなくなってしまったので、一旦あの頃の思い出を読み返そうと思います。思い出の中でじっとしていたほうがよかったんじゃないのか?


内容全部に対するネタバレあります。ご注意ください



これはダメです。2時間の拷問
「鋼の錬金術師」の映画としては最悪の一言に尽きるし、映画としても「楽しめないタイプのクソ映画」でした。無料配信されていたとしても見ないほうがいい
良いところがほとんどない。ダメなところしかない


良かったところ

・ラストが一番配役よかった。違和感がほぼない
・アルの声はまあ悪くない。男の子ボイスになった


ダメなところを3行でまとめると

・配役がクソ、エドは学芸会だしウィンリィは最悪
・演出がクソ、まったく迫力も何もなく印象に残らない
・脚本がクソ、話が飛び飛びなのに脈絡なく中途半端に原作再現を挟んでて意味不明


ダメなところ(キャスティング)

・エド役が合ってない。演技が「あぁ……こんなもんか……」レベルでしかない
・エド以上にウィンリィが全く合ってない。演技が見れたもんじゃない。初登場シーンの感想は「日本の女子高校生がなんか出てきた」
・ホークアイ中尉がほとんどモブ。動きが下手くそすぎて軍人に見えない(銃を構えながら走るシーンとか)
・やっぱり日本人に金髪は合わない

・大泉洋が作品の中でものすごい浮いてる。ただのメガネをかけた大泉洋であり、あれをショウ・タッカーと言い張るのは無理がある
・というかショウ・タッカーって短髪なのになんで大泉洋は髪がそのままなんだよ、髪のせいもあって完全に大泉洋でしかない


ダメなところ(映像効果)

・予告のシーンで見れるけど、エドがコーネロ(リオールの教主)の攻撃を走ってかわすシーンがまったく臨場感ない。攻撃が手加減されてる
・人体錬成した際の演出がしょぼい。アルが持っていかれるシーンがギャグでしかない(床板が剥がれて竜巻みたいに舞い、その上にアルが座ってぐるぐる回されてる。しょぼい)
・大佐の炎が火炎放射器


ダメなところ(脚本)

・エドとコーネロが戦ってるシーンがいきなりすぎる上、説明もないので何が起こってるのかさっぱり分からない
・なぜエドが賢者の石を欲しがっているかの説明がされないため、よく分かんないけど石が欲しい人になっている
・エドが誰に対しても生意気、かつ常にキレている。天才要素もまったく見えず本当にただのキレるお子様。ヒューズの家に招待されたのに奥さんの前でヒューズ馬鹿にするのは流石に人としておかしくない?
・ウィンリィが邪魔。どこいってもエドについてくるし、脈絡もなく人質にされる。リゼンブールに帰れ
・大佐がエドに対して嫌味なやつにしか見えない。そもそも「人体錬成した後にエルリック兄弟が大佐に連絡を取る」シーンがないから大佐との関係性がさっぱり分からない
・大佐の女たらし要素がなくなり、真面目な堅物になってしまっている
・ヒューズがエドに対して事ある毎に「俺達友達だろ?」と言うけど、友達というには無理がある
・ショウ・タッカーにアルを預けたあと、ショウ・タッカー何してたの? 催眠療法って何? 全く話が掴めず突然アルがお荷物化する
・マルコーのところへ向かう際にウィンリィが突然騒ぎ出す。「マルコーを見た、間違いない」と言い出すがそのシーンでマルコーはまったく映らないので妄言にしか見えない(これも原作再現要素っぽそう。見つけるのはアームストロング少佐らしい)
・というかなんでウィンリィはマルコー探しに同行したの?
・あっさりマルコーが殺され、ペンダントを受け取るけど中身が「賢者の石の錬成陣が書かれた紙切れ」って、ストレートすぎない?(漫画だとマルコーの研究結果は料理本に偽装されてたので、せめてもうちょい隠せよと)
・エドがヒューズ、ロス少尉と3人で第5研究所を探す際、情報が完全に筒抜け。軍内部とはいえもうちょい秘密裏にやらないの?(ハクロ将軍に全部聞かれてるし、賢者の石の錬成陣も見られてる)
・缶詰工場(第5研究所だと思って突撃した)でのエドとアルの喧嘩が本当に意味不明(アルがタッカー亭で「お前の魂は偽物なんじゃね?」と吹き込まれて疑心暗鬼になり、そのまま殴り合いに)
・視聴者置いてけぼり、勝手に殴り合って勝手に仲直りする兄弟。涙するウィンリィ。無理やり泣かせに来る壮大なBGM。どうしろと?
・あとなんで缶詰工場にウィンリィついてきたの?
・エンヴィーがヒューズを殺す際、ロス少尉ではなく大佐に化けて殺してる。話のまとめ方的に仕方ないとはいえ訳が分からない(大佐が炎じゃなく拳銃使うんだもの……)
・大佐がロス少尉(に化けたエンヴィー)と兵士達に囲まれた際、なんの脈絡もなくエンヴィーを焼き殺すシーンが意味不明(ロス少尉の泣きぼくろの位置を理由に遠慮なく焼くんだけど、ロス少尉のほくろが全くそれまで話題に上がってないので本当に脈絡がない)
・大佐がホムンクルス相手に拳銃を撃つ。お前の二つ名は何なんだよ
・ホムンクルスを追ってエドが第5研究所に着くと、タッカー(捕まったけどなんか逃げた)の手によってアルとウィンリィが脈絡なく人質に取られている。なんでだよ
・アルはよくわかんない内に(タッカーの手によって)真理を見せられている。これ以降錬成陣無しで錬成できるようになる。なんでだよ
・第5研究所には大量の賢者の石。天井には大量の人形兵(原作終盤に出てきた、賢者の石で命を吹き込んだ一つ目のアレ)。首謀者はタッカーと思いきやハクロ将軍。これにはホムンクルスもびっくり、観客は唖然
・エドがタッカーによって「機械鎧を取れ」と言われて錬金術で無理やり取り外すんだけど、その後なんの道具も持ってないウィンリィに「応急処置でいいから付けてくれ」って、無茶苦茶でしょ(しかも周囲は人形兵に囲まれてる)
・人形兵はグラトニーとホークアイ中尉率いる中央兵が片付けるんだけど、まあ無理だろって量が出てくるのにホークアイ中尉側はダイジェストで殲滅しちゃう
・手負いの大佐とエドがラストとエンヴィーを相手にする際、大佐が「ヒューズの敵だ!」と言ってエンヴィーを焼き殺す。それだけはやっちゃダメだろ!!!
・手負いの大佐がピンチ→エドが助けに来る、大佐とエドがピンチ→アルが助けに来る、という謎の天丼。ギャグかよ
・大佐がラストの胸に手を突っ込んで賢者の石を奪うんだけど、原作だとそれ失敗したよね……掴んだ賢者の石からラストが復活して反撃受けたよね(映画ではこれが最後の一撃になってラストが死ぬ)
・大佐が賢者の石をエドに渡すけど、エドが賢者の石を使う(真理の扉の前まで行って、アルの体がまだ残っていることを確認して返ってくる)。原作だと賢者の石の正体を知ってからは頑なに賢者の石を使わないのに。というかアルの体がまだ残っていることをなんでエドが確認するの? なんでわざわざ賢者の石を使って?
・クレジット後で続編を匂わせる終わり方を挟む(エンヴィーが小さい姿でなんとか生きてた)。本当にやるの? まだ続けるの?


感想

映画 鋼の錬金術師は「映画の形をした賢者の石の錬成陣」であり、観客は人柱どころか賢者の石の材料でしかない
結局キャストも演出も脚本も全部中途半端であり、オリジナル要素も原作再現要素も中途半端なので誰もが楽しめない地獄のような作品に仕上がってしまっている
悲しい。褒められる点がほぼなく、どこをどう切り取っても良かったとうまく言えない。良かった点が必ずあるはずなのに見つけられなかった。ただただ悲しい

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