アメリカ予算案不成立ーねじれ議会での駆引きの見通し

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181222-00000004-jij_afp-int

議会がねじれていたオバマ第2次政権(2013~2016)でも、予算案が通らず16日間の政府機能停止(省庁閉鎖)が発生した。
真冬に省庁が機能しないと人命に関わるため大抵は直前に議会が折れるものだが、今回はメキシコ国境での不法移民対策の予算を認めるか否かという難しい問題が挙げられる。

トランプ大統領にとっては就任前からの悲願ゆえ何が何でも通したい。議会側は長期的効果に乏しくパフォーマンス(国境の壁)に予算を使うなら、教育や貧困対策等の効果が期待出来る問題に配分したい。民主党はもとより共和党の立場としても、ヒスパニックの多くを敵に回す国境の壁への着手はなかなか受け入れがたい。

先月の中間選挙で議会ねじれたため、トランプ大統領は大統領特権の拒否権と大統領令を多発して議会に揺さぶりをかけていく事が予想される。
公務員である省庁職員の生活はもとより、省庁閉鎖が長期化すれば貧困層の生命の危機に繋がりかねない。

国民の生活を犠牲にしてまで国境の壁にこだわるトランプ大統領に批判が集まる事はないのか。
もちろん大統領への批判もあるが、予算を通すという最重要業務を遂行できない議会へ多くの批判が集まり、長期化すれば再来年の選挙で負ける事にも繋がる。

クリントン第1次政権では予算案の不成立から21日間もの長期に渡る閉鎖(1995~96)が続き、国民の不信を招いたクリントン大統領は再選こそ果たしたが、第2次政権は厳しい政権運営を強いられた。
軽々しく妥協もできず長期化もできない。

トランプ大統領は「俺の案を認めない議会が悪い」と今後もツイートし続けるだろう。もとより少々の批判など気にも止めない性格ゆえ、長期化しても構わないと本気で考えているかもしれない。
アメリカ連邦議会は難しい判断を迫られている。

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