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景色、食、シンフォニー
「近鉄全線2日間フリーきっぷ」で行く2日目。1日目は三重がメインだったが、今度は関西メインで旅をする。
京都から大和西大寺→大阪上本町→天王寺と来て、大阪阿部野橋駅へ。この駅から吉野まで豪華特急に乗っていく。
濃紺の列車
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いろいろ撮ってるとやって来た。「オリエント急行」を彷彿させるような濃紺と金帯の列車。その名も
青の交響曲
「上質な大人旅」をコンセプトに開発。吉野方面の観光特急として2016年にデビューした。
ビフォーアフター
車両は「6200系」という通勤車両を大改造。
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隣にいる「準急」がちょうどビフォーの姿。比較してみると形やライトがよく似てる。
側面を見ると
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側面の窓の大きさバラバラ
扉が両開き
など名残りが多くある。
「中古車改造の観光列車」はよくあるパターンで新製よりは安い。でも、そんなことは「変化を追いかけたオタク」以外には一切感じさせない大変貌を遂げている。
車内
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車内整備が終わり、車内へ入る。
「2+1」列
「4人がけボックスシート」
「向かい合わせの2人がけ」
と多彩なバリエーション。全体的には書斎のような落ち着いた雰囲気。
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デッキにはポツンとベンチ。ナイトチックな音楽のMVに出てきそう。本棚には奈良にまつわる本が揃う。
発車
10時10分、発車メロディとともに出発。
大阪阿部野橋から「青の交響曲」が発車するときは「交響曲第101番『時計』」をアレンジした専用のものが使用。始発駅の停車中にも車外スピーカーで同じのが、原曲で流れてくる。
モーターという交響曲(?)
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最初は高架線を爆走。「抵抗制御」という“モーターの交響曲”を激しく掻き鳴らす。むしろ「ロック」かもしれないが。
ラウンジへ
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メニュー表を見ているとなんか食べたくなってきて「ラウンジ」へ。
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2号車「ラウンジ」はカウンターやテーブル席が並ぶ「カフェ」のような車両。スイーツやフード、「『青の交響曲』オリジナルグッズ」が並ぶ。
マカロンと「蘇」
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今回チョイスしたのは「マカロンセット」と「『蘇』入りのアイスモナカ」
「マカロン」はおそらく、生まれて初めて。弾力とサクサク感が良くて「そりゃブレイクするわ」という感じ。番茶味はチョコのビター感と相まっておいしい。
もう一つの、「『蘇』入りアイスモナカ」。“古代のチーズ”と称される「蘇」。だけども、冷たさと抹茶にまみれてどれがどれか分からなかった。単体も食べてみたら分かる。
百舌鳥・古市古墳群
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食べてる途中で外を見ると、急カーブが連続する。この界隈は世界文化遺産に登録された
百舌鳥・古市古墳群
羽曳野市「古市」の地図を見てみるとよく分かる。ちょうど古墳を迂回する形で線路が敷かれている。線路を敷いた先人たちの優しさが世界遺産登録に繋がったのでは何て想像したり…ともかく、スピードが出せないネックもご愛嬌のようだ。
奈良盆地とプレイリスト
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古市を過ぎ、奈良県へ。次第に田園風景が増えてくる。食べ終わってしばらくすると暇を持て余して、耳が寂しくなって…
『神様のダンス』をかけてみた。今回は列車や食をメインに味わうため音楽はちびちび。でも、「交響曲」と名乗るからには音楽も外せない。
尺土駅とその先
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列車は最初の停車駅「尺土」に到着。この駅からは「御所線」が分岐。
「御所線」は、ツツジの名所である「葛城山」へアクセスすることができ、5月ごろには「阿部野橋」から臨時急行が乗り入れるほど。
近鉄直営のロープウェイもあって、会社でけっこう力入れていたりする。ちなみに「フリーきっぷ」のセットにはこのロープウェイの割引券が付いている。
橿原神宮前駅
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奈良県民の大学の先輩が「かしじん」と略していた。
橿原神宮前駅に到着。この駅で橿原線と乗り換えができる。
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南大阪・吉野線と橿原線は線路幅が異なることで直接乗り入れはできず、地下道での乗り換えを強いられる。しかし、この壁を乗り越えるべく「フリーゲージトレイン」の開発が発表はれた。
ヨーロッパで実用化された一方、日本は開発が打ち切りになるなどイマイチうまく行かない。近鉄はこの挑戦にどう挑むのか…
飛鳥の里
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橿原から先は吉野線を南下。「飛鳥文化」が息づく里山を駆け抜けていく。
カレーと天然水
この辺で少し早めのランチ。
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頼んだのは「大和肉鶏カレー」。ブランド鶏「大和肉鶏」を使った欧風チキンカレーだ。
場合によっては悶えてしまうほど辛味の耐性に弱い僕。でも、このカレーは食べられないほどでもなく、ええ塩梅にスパイシーな辛さ。
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一緒に出てきた水は「青の交響曲」のパッケージで「奈良県天川村」という紀伊山地の山間にある村で採れたおいしい水。89.5mg/lは軟水好きには嬉しい軟らかさ。
吉野口駅
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奥ののりばはJR和歌山線
列車は吉野口に到着。
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この駅では「さくらライナー」という特急とすれ違う。「アーバンライナー」によく似た流線型で桜色が目を惹く。「デラックスカー」を備えるなど「青の交響曲」デビュー以前の「フラッグシップ」だったハイグレード車両だ。
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吉野口駅は「JR西日本」が駅全てを管理。近鉄ホームの駅名標もそれに合わせている。
コバルトブルーのデザイン
JRマークを省略
近鉄の駅ナンバー「F46」を貼り付け
「米原駅の在来線ホーム(JR西日本+東海)」「竹田駅(京都地下鉄+近鉄)」など一方に合わせた駅名標は珍しくないが、こういうのを見るたびに面白さを感じる。
緑、もみじ、トンネル
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標高を上げて、緑の中を走っていく。車内放送によれば、この辺りにはいろんな植物が植えられている。
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このときは「もみじ」が見えた。吉野線は「さくら」が栄える反面でその他のシーズンが伸び悩むそう。「さくら」だけやない!という思いは届いているのか…
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トンネルに入ると雰囲気がさらに際立つ。これやったらナイトランもやってみたらどうや?
吉野川
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列車はクライマックス。吉野川橋梁を渡る。
撮影名所として知られ、まるで物語のような高さで渡る姿は非常に絵になる。
吉野駅
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列車は終点「吉野駅」に到着。長いようで短い旅だった。
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そんな余韻に浸る間もなく隣の電車が気になってしゃあない。
レトロ特急
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「16000系」という車両。1960年代に初登場。吉野線では初めての本格派特急電車で「特急ネットワーク」拡大に寄与した。
デザインは同時期にデビューし、「エースカー」がベース。「特急」という文字も相まってレトロ感が際立つ。90年代に「エースカー」が引退してから久しいが、懐かしい人には懐かしい。
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あの辺だけモダン。
数は少なくなったが、1970年製や「大井川鐵道」譲渡車が未だ現役。近鉄在籍車両は喫煙ルームが設置され、新カラーに塗り変わった。少なくともあと10年は走りそう。
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