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今川焼きの名

小麦粉で溶いた生地を丸い金型に注ぎ、そこに餡子を入れて焼いた和菓子。正式には「今川焼き」と言う。別名として、「大判焼き」の名がよく知られている。しかし、この呼び名は地域によって大きくバラつき、何種類もある。

太鼓饅頭、太鼓まん、太鼓焼き、回転焼きetc…

さらに、北海道や北東北では今川焼き自体を「おやき」と呼んだりする。
ちなみに我が家では、今川焼き自体が家に置いてあることは少なく、テレビ番組「ケンミンショー」でこの呼び名をフィーチャーされてるのを見て存在を知ったほど、なので、特段この呼び名というものは僕自身の中にはない。

ただ、関西テレビ「ちゃちゃ入れマンデー」で同じような特集をしていたとき、関西におけるさらに違う呼び名を知ることになった。その呼び名を2つ詳しく紹介する。

御座候

兵庫県姫路市に本店と工場を構える今川焼き専門店「御座候」。兵庫県内のみならず、大阪駅ナカや全国各地のデパ地下にも出店している。ここの看板商品の今川焼きが店名と同じく「御座候」。それ故、兵庫県民は今川焼きを「御座候」と呼び親しんでいる。
大阪駅で頻繁に見かけていて、渋くて厳かなネーミングが気になっていたものの、まさか、兵庫が誇る今川焼きのおいしい店だったとは…

暫く

そして、もう一つ取り上げられていたのは「暫く(しばらく)」という呼び名。先程の「御座候」同様商品名からそう呼ばれている。
それがどの地域のかと言うと、実は、滋賀県長浜市。僕の愛する故郷での呼び名だった。長浜駅前の目抜き通りに構える「茶しん」という店があり、その看板商品が「暫く」と呼ばれる今川焼きだった。この名が書かれた紙袋を長浜在住時代よく目にしていた記憶があったし、高校時代には「茶しん」の店の前を自転車でかっ飛ばしていたこともあったが、当時「暫く」の正体を知ろうというのは頭の片隅にもなかった。
しかも、今まで知らなかったことに出身者としてちょっと恥ずかしくもなった。でも、この「暫く」がいかほどか気になる。是非ありつきたい。

今川焼きのようにこれほど地域によって呼び名が異なるという例は大変珍しいでないだろうか。冷凍食品のものは全国的に「今川焼」という名で統一されているにも関わらず、これだけご当地の呼び名が地域ごとに定着している。我が家での出没頻度が極端に低く、テレビで知ったためあまり馴染みのないお菓子だったが、名前の不思議さには深く掘れば掘るほど面白いもんがある。先の「御座候」と「暫く」をそれぞれ食してみたい。それらの愛される理由も探りたい。

ストリートミュージシャンの投げ銭のような感覚でお気軽にどうぞ。