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都会の不思議なローカル線と最新型

「ホームライナー」で名古屋まで来て、今度は「リニア・鉄道館」に行ってみたいが時刻はまだ9時前。ちょっくら乗りたかった「城北線」に乗りにいくことに。

真反対で謎なローカル線

普通列車で1駅。枇杷島駅に降り立つ。ここから「東海交通事業※」という別会社になるためきっぷを購入。18きっぷはおろか交通系ICすら使えない。名駅の巨大ビル群を捉えられる距離ながら、この時点で異質な雰囲気を感じる。

※JR東海から委託された小規模駅の業務を担うJRの子会社。JR各社に存在する「駅業務受託専門」の会社だが、列車運行をするのはここだけ。

勝川かちがわ行きのキハ11がやってきた。大ターミナルの隣でありながら1両というサイズ感。実際かつては紀州や伊勢の山あいや秘境みたいな路線も走っていたが、城北線に移籍してから見える景色はそれとは真反対だ。

枇杷島を発車してすぐ高架を駆け上ると

ビルや住宅、町工場といった街並みが広がる。途中、「名神」や「名二環めいにかん」「名古屋高速」などと言った高速道路が何度も並行したり交差したり、さらには名鉄犬山線や小牧線、名古屋市営地下鉄鶴舞線とも交差する。関西で言えば東大阪市や京都市南区などのよう。車両のビジュアルと見える風景にギャップがある。

とは言っても1両で僕含め数人。小田井駅からは名鉄中小田井駅が見える他、地下鉄と名鉄が同居する急行停車駅上小田井駅まであるから便利そう。ただ、若干距離がある。さらに味美あじよし駅に至っては名鉄に同名の駅がありながら500m以上の距離があっていずれも乗換駅としてはしんどい。そういう環境だと1両で1時間に1本でもやっていけるわけだ。

終点の勝川駅に着くとどこか不思議な風景になっている。他とは違って、乗り換え駅として認められていて、通路もあるし案内もある。しかし、目指すJR勝川駅は徒歩で5分ちょっとは歩く。しかも、屋根無しで冷たい雨の中を。なぜこんなに離れているのか。

JR勝川駅やそこまでの道中よく見るとその答えがある。線路があと2つ敷けそうな空間と橋桁のみというミステリーたっぷりな作りかけ。実は10年ちょっと前にJR側の駅を高架化する際に城北線と同居できるように設計されたが、予算が足りないのと工事が複雑になることで断念され、結局現状維持となった。

国鉄の頃、藤井聡太五冠が育った瀬戸市へ伸ばそうと作りかけた路線のできた部分を民営化した後、子会社に委ねるという経緯があり、いろいろ不便でそもそも「トヨタ王国」という「クルマ社会」故もあってかこぢんまりした列車が名古屋市内やそれに近いところをトコトコ走るといういろんな変わり者。それでも30年続いてきたのはすごいもんだ。最近では「イルミ列車」「撮り鉄列車」「初日の出列車」など「全線高架」という特性を活かした特別列車もあったりして生き残りを模索している。

中央西線最新鋭

勝川からは中央西線の快速名古屋行きに乗る。

やってきたのは「令和のJR東海在来線の顔」として活躍しだした315系電車。全車8両3ドアオールロングシート、オレンジのビビッドなカラーリングは大阪環状線の323系によく似てる。とはいえ、製造元もデザインも異なる全くの別人だ。

以前の4両から10両までできた柔軟な連結、切り離しがなくなり全て8両で統一。新快速チックな2人がけクロスシートではない「ザ・通勤電車」なロングシートの車内はJR東海に新たな風を吹かしているように感じる。

現代的な液晶ディスプレイや防犯カメラも標準装備、編成が固定のため視覚障がい者向けの号車とドア表示もされている。三角を重ねたような床と座席の模様もモダンで落ち着いた雰囲気を醸し出す。

さらに車内放送は乗り換えなどの補足的なこと以外は自動化されている。合成っぽいと思うが、今までのと違ってヘンテコなアクセントやロボット感ある響きが少ない。英語も極端なネイティブ発音ではない抑えめで日本語固有名詞も聴き心地がいい。生身の人間なのか合成か定かではないが、新幹線が「N700S」なら在来線はこっちに賭けてる気合いが滲み出る。

これまでの313系は約10数年にわたって大量生産し、国鉄生まれを淘汰した。その中で細かなマイナーチェンジで時代に沿いながら、統一感、コスパ、保守面の効率化を進めた。315系もそんな感じでJR初期の車両を淘汰して、いろいろ効率化を進めるのだろう。これからが楽しみだ。

名古屋に着きここからは「リニア・鉄道館」に向かうことになる。写真集で一度公開したが、まだまだ思うところが多いので記事として改めて公開することとする。ということで今回はここまで。

ストリートミュージシャンの投げ銭のような感覚でお気軽にどうぞ。