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はじめてのPRiVACE(大阪梅田→京都河原町)

2024年7月21日にスタートした阪急電鉄の座席指定サービス「PRiVACE(プライベース)」。阪急創業以来初の有料座席で、京都線の大阪梅田〜京都河原町間の特急系列車で設定された。
初日初列車から満席御礼で、その模様がテレビニュースで紹介されるほど。そんな僕もスタート3日目に乗ってみることにした。

京阪、JRに続き

新快速Aシート
野洲〜姫路or網干間で設定。
車内の座席は特急と同じ。
新造車頭上にはデジタルサイネージを搭載。

並行区間では京阪電鉄「プレミアムカー」(2018年スタート)JR西日本新快速「Aシート」(2019年スタート)が既にある。いずれも盛況につき増発、新造車投入など規模を拡大。これに阪急が追随する形になった。

京阪のパクリ?

京阪8000系プレミアムカー
2018年スタート、京阪創業以来初めての有料座席。
8両のうち1両を改造した。
京阪3000系プレミアムカー
好評を博したことで2021年から登場。
座席ヒーター、行き先表示など新たな技術を加えた。
車内
内装は全車共通。
8000系は窓枠と座席が合わない箇所あり。

車両は京阪プレミアムカーがベースの新造車。基本設備の共通点が多い。

  • リクライニング付き

  • トイレなし

  • アテンダント乗務(阪急は木目色の制服を着用)

共通点の多さからパクりを指摘する下馬評がSNSで散見される。パクってんのか、そうでないか、乗ってみてのお楽しみとしといて、阪急大阪梅田駅へ。

大阪梅田駅

阪急大阪梅田駅 大阪駅側
むっちゃ混んでる!

大阪梅田駅に来てみると京都線ホームが人で溢れる。いつもこんなんかと言われるかとそうではない。普段はもう少し空いている。

JRからの振替輸送

阪急混んでた理由はたぶんこれ。

このとき、JRでは京都駅にて線路トラブルが発生。琵琶湖線と湖西線が運休、JR京都線も大幅遅延で振替輸送を受け持つことになった。ちょこちょこ阪急に乗ることはあるからそれとなく異変がわかるもんだ。

みんな見てる

「P」のロゴマークの個人的第一印象は阪急系高級マンションのロゴ。
なのに「ア」に見えるとイジる人に強烈なモヤモヤ
センス疑うし、なんか笑えん。
カッコええロゴやし好きなのに😞

行き交う人を見ると口々に「PRiVACE」を指差していた。期待の新星だけにみんな写真を撮っていたり、視線を向けていたり。鉄道好きも興味薄い人も見慣れないものにはそそられる。

直前の列車は満席になりやすい。
京阪に似てる。

ちなみに僕が予約した列車は19時10分発「準特急」。もうしばし待つ。僕は発車1時間前に取ったが、ラッシュ時は直前で取るとすぐ埋まる。

予約方法

ネットでしか予約できないPRiVACE
ここでは買えまへんで。

「PRiVACE」の予約はネットオンリー。専用サイトにアクセスして予約する必要がある。阪急阪神HDの会員制ネットサービス「HHCross」か「宝塚歌劇」のIDを取得しての購入、あるいは、登録なしでの購入が可能。飛び込みで車内購入もできるみたい。
しかし、窓口や券売機での発売はない。僕はチャチャっと買えたが、ネットに慣れていないと難しい。発券でJR特急の仕組みを使う「Aシート」や券売機が置いてある「プレミアムカー 」が紙きっぷ派には買いやすいかも。

19時過ぎ 準特急入場

9300系
2003年デビューの従来型特急車。
従来の自由席1両をPRiVACEに入れ替えた。

19時過ぎ、「PRiVACE」のヘッドマークを掲げた「準特急」が入線してきた。このヘッドマークが目印だ。

2300系「PRiVACE」

2300系
PRiVACEの車体のベース
試運転で長岡天神に停車していたときの写真。
先頭は9304、真ん中のPRiVACEは2359

「PRiVACE」の車両はいずれも「2300系」という最新車両。ただ、やってきた電車は「9300系」という従来型の4号車(大阪梅田側先頭から4両目)に組み込まれている。この部分のみを製造して暫定的に連結させている。

どうなる?9300系

前から後ろまで「2300系」で統一されたのもいるが、サービス開始時点ではごくわずか。だが、順次製造が進むと新型車で統一される予定だ。これまで特急専用だった9300系は何かしら改造が行われる見込み。普通列車に転用説があったりなかったり。

年の差20歳

右(9300系)の方が屋根が高い。
でも、どっちもピカピカ。
年の差感じへん。

屋根の形が微妙に違うし、数字の番号もバラバラ。年の差最大20歳以上もあるが、いずれもピカピカ。全く違和感なく見せる阪急らしさがここにある。

トラブるアテンダント

座席が回転せぇへん。

大阪梅田駅の折り返しではPRiVACEの座席を自動回転させるのだが、それがうまくいかないトラブルが発生。若いアテンダントがボタンをポチポチやってくが、一向に回転しない。
車内整備中の規制線を取っ払った後もポチポチした結果、自動回転が開始。乗客を入れた状態でやってしまっているのを見ると少し危険に感じる。スタート第1週目で慣れてないのはわかってはいたが、身の毛がよだつ。ちなみに1本前はうまくいってた。

19:10 大阪梅田発車

トラブルありつつも着席し、ほぼ定刻で発車。ただ、宝塚線急行や神戸線特急との「3本同時発車」は拝めなかった。

設備

濃いめの木目
ゴールデンオリーブの座席。
ドリンクホルダーも。
ノンアルビールのカンカンを置いてみる。

車内は木目とゴールデンオリーブという阪急の黄金コンビ。100年以上前から頑なに守ってきたインテリアは崩さない。グレードアップしつつ、この2つは絶対だ。

座席の横から出すタイプのテーブル
仕切りもある。

2人席には仕切りを設置。PRiVACEの由来である「プライベート」空間を演出する。狭いとこ好きにはいいかも。

コンセント差して、スマホにエサやり。

全座席にコンセントを完備。残り15%になったマイスマホを充電する。他にもドリンクホルダーや脇から取り出すタイプのテーブルなど最低限充実。これぐらいあれば、プレミアムカーとトントンかも。

淀川の夕暮れと宝塚線大阪梅田行き急行

19:13 十三駅

十三駅
PRiVACEのドアも対応。

十三駅ではPRiVACEのホームドアが開かない。直前まで気づかなかった人が一斉に前後にはけていく。しばらくはこんな状態がたくさん見られる。

車内は静か

車内はすごく静か。PRiVACE車両にモーターがないのもそうだが、扉の音が聞こえてこない。京阪ではうっすら聞こえてきたりもするが、一切聞こえない。びっくりするほどしれっと出発する。

ブルーアワーを疾走

相川駅
普通を追い抜かす。

19時のブルーアワーとともに疾走する特急。淡路駅手前で渋滞したぐらいでほぼトップスピードで駆け抜ける。

19:27 茨木市駅

茨木市駅
普通高槻市行きへ乗り換え可。

19:32 高槻市駅

高槻市駅
準急に乗り換え可。

茨木市駅、高槻市駅で降りていく人もちらほら。PRiVACEをこういう短距離で使うニーズもあるのが見てわかる。京阪でも大阪市内〜枚方市まで使う人はかなり多い。

今夜、私がいただくのは…

豚肉を黒酢で炒めて、サラダを混ぜた。

乗車前に買い込んだご飯をいただく。この弁当はJR大阪駅で買ったが、阪急沿線のおいしいごはんやスイーツをいただくにも絶好の場所だ。

PRiVACE×スイーツいかが?

期間限定でスイーツを出店できるブース「ごほうびすと」が阪急主要駅にある。スイーツとともにPRiVACEというのもいかがだろうか。スイーツの他、鯖寿司などの軽いごはん系もある。

高槻市過ぎたら本格的夜

19:40 長岡天神駅

長岡天神駅
ここでも準急へ乗り換えできる。

19:49 西院さいいん

西院駅
ラッシュの特急は全部止まる。
路面電車「嵐電」への乗り換え駅

19:51 大宮駅

大宮駅
駅出てみるとけっこう繁華街

19:53 烏丸駅

大型の液晶ディスプレイ
見えへんけど、左にCM流してる。
烏丸駅
祇園祭前祭の山鉾巡行スタート地点
後祭はゴール地点となる。

夜が更けて、もうすぐ終点。ここで頭の横にある丸くて黒い何かが気になった。コンセント上にそれっぽいボタンがあって触ってみると

読書灯、ピカッ!

電球色でかなり明るい。

読書灯だった。相席してたお姉様がびっくりし、スイッチのありかを尋ね、同じようにポチッとしてた。
その後少し喋って
テーブル出しづらい
仕切りの圧迫感

などを愚痴っていた。その反面で、終点到着前には「どうぞ撮ってください」と優しく退けてもらえた。いい出会いだ。

19:56 京都河原町駅

19時56分。終点京都河原町駅に着いた。この駅では扉を全て閉めて、自由席の座席を自動で逆転させる。PRiVACEの座席も連動して回る。

ここでは問題なかったが、大阪梅田駅では自由席の座席の向きはセルフサービス。PRiVACEのみを動かすとなると複雑みたい。

行き先表示下のPRiVACEロゴのアニメカッコええ。


夜の四条木屋町

ちなみに駅前は祇園祭ムード。乗った当日は7月24日「後祭山鉾巡行」。すでにクライマックスは過ぎたが、まだ神事などが残る。とはいえ真夏の納涼床など夏はこれからだ。

高級中華「東華菜館」の納涼床。

PRiVACE総括

そうして乗ってきたはじめてのPRiVACE。いろいろ思うことはあるが、3つ挙げるとしたらこんな感想。

  • 乗車時間46分は物足りない。

  • 車内設備はプレミアムカーと遜色なし。

  • ネット予約はデジタルネイティブには使いやすい。(そうじゃない人はキツい)

パクりとは言い切れないが、乗ってみるとええとこ、悩ましいとこがたくさんでてくる。最終的に1時間あたり最大6本走ってる特急、準特急、通勤特急をPRiVACE付きにする計画で定着するかどうかにかかってくる。

最後発で有料座席をスタートした阪急。それだけにお姉様も「京阪がええわぁ」と言われるほど。そういう不評を覆せるぐらいに盛況になってほしいと願ってやまない。
タイミングあったらリピートしてみてもええな。

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