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バス旅の面白さとバス事情

鉄道系YouTuber西園寺さんの新シリーズ『路線バスだけで日本縦断の旅』。あの番組の珍道中のように路線バス(高速バス、BRTは除く)やコミュニティバスなどを乗り継いでいくもので、シリーズでは北海道の稚内から鹿児島の枕崎まで無期限で到達を目指すという本家でもやりたくてもやれないだろう大スケールをやるという。

西園寺さんのバス旅

ルールとしては


  1. 路線バスを乗り継いで枕崎を目指す

  2. 飛行機、新幹線、特急列車、長距離フェリー、高速バスは利用禁止

  3. 途中スマートフォン等で時刻表を調べることも禁止

  4. やむを得ない場合、禁止されている乗り物以外で公共交通機関を利用可能

  5. バス以外を利用する際には緊急時用の財布を使用する

  6. 緊急時用の財布は3000円からスタート、1日1回のルーレットで1円〜2000円加算される

  7. 緊急時用の財布から500円を支払うことで情報を買うことができる。


本家と共通点も多いが、大きく異なるのは鉄道、船、タクシー利用が条件付きで許可されている。また、7のルールは西園寺さんの相棒としてYouTuber仲間の「ZAKIザキ」さんが同行しており、下調べの情報からヒントを有料で教えてもらえる。その他、追加ルールがある他、宿代、食費は自由に使え、スマホ利用は制限もあるが地図閲覧や宿探しなどバス旅に影響しない分はOK。

鉄道でショートカットできる部分はユルく仕上げていて、本家を完全模倣はせず無理をしてないのが分かる。それに、西園寺さんがネットを使わずに地図(スマホ)、紙時刻表、現地の案内所での聞き込み、さらには「鉄オタの勘」を駆使してバスに乗り継ぎ、時々振り回されるというガチンコなところは本家に似ていて、ワクワクする。父親が本家の大ファンでそばで見ているからか個人的にはわりかし楽しめる。さすがにこんな冒険まではしないが、最近はバスに乗ることが増えてるし、バス旅もええよなぁなんて思う。と同時に、自分を取り巻くバス環境のことをちょっと考えたりする。

クルマ社会の故郷

滋賀長浜に住んでいた頃は、国道を走る路線バスと合併前の町内を循環するワゴン車によるコミュニティバスがあった。しかし、本数は1時間に1本ある鉄道よりも少なく、「交通弱者」の年配の方が中心。1世帯でクルマも軽とミニバン2台ぐらいは当たり前。プラス、我が家はおじいちゃんのセダン(免許返納後は手放した)と平成初期製の軽トラも持っていた。鉄道は定時性、京阪神へ繋がる近さ、新幹線への連絡手段、ティーンのお出かけでそれなりに利用はされているが、バスとなるとクルマと被ることも多いからそれならクルマって選択になるのだろう。

鉄道の代わりは…

高校時代のある日のこと、踏切に無理矢理入ったトラックと特急電車が接触して脱線する事故が起き、終日運休になったことがあった。JRが手配した代行バスが長浜駅から出ていて、帰れなくなった僕はこれで帰ろうとした。しかし、周りは親に頼んでクルマで迎えに来てる人がほとんどで、これを話したら「ゆうきくんバスで帰んの!?」と部活メンバーにびっくりされたこともあった。ただ実際には仕事帰りの父が母に連絡したことで迎えに来ていて、電話でそれ知った僕はこの手段で帰った。それぐらい地元では「蚊帳の外」の如く選択肢になかったりするし、クルマが交通の中心なんだと感じる。もちろん「交通弱者」には欠かせないのは事実だが…

京阪神のバス

京都に一人暮らしするようになってからは「市バス」「京阪バス」「近鉄バス」など比較的バスに恵まれるようになった。本数もそれなりに多くて、免許更新では最寄りが「鉄道不毛地帯」だから特に世話になった。それに交通系ICが使えてありがたい。とはいえ、鉄道が好きだからそれでも事足りてはいるし、最近では「シェアサイクル」も充実してるっていうのもある。

最近のバス

2年前から実家が神戸に移動すると、時々駅から「市バス」「神姫しんきバス」を使うようにはなった。一応クルマ送迎もあるが、列車レベルにバスも本数多くて比較的便利で周りは家が多いわけだ。その他、白浜や信貴山でバスに乗ったり、徳島でフェリー連絡のバス、大阪でBRTの「いまざとライナー」に乗るなど機会が増えている。

なかなかの「クルマ社会」でバスの存在感はいかほどなのかと思うこともある。しかし、バス旅の旅情というのも鉄道とは一味違う格別なものだろう。冒頭で挙げた「人気番組」の影響でバス旅に魅せられたという人も少なくないだろう。僕自身もそんな機会が増えたし、たまにはバス中心ののんびり旅ってのもいいかもしれない。あと、JR気仙沼線と大船渡線などのBRTや名古屋の「ゆとりーとライン」などの「鉄道扱いorそれに準じるバス」なんてのもあったりする。何か奥深いものを感じるもんだ。

ストリートミュージシャンの投げ銭のような感覚でお気軽にどうぞ。