見出し画像

広島・河井派選挙違反事件の公判の今後

河井克行被告人(以下「克行氏」)が弁護人を解任し、河井案里被告人(以下「案里氏」)と手続が分離され、案里氏のみの審理が進められている。

まずは新たな弁護人をどうするかが問題になるが、私選弁護人を見出すのはかなり困難だろう。弁護士は、複数の案件を同時並行で抱えて処理しているもので、週に4日も5日も証人尋問を行う百日裁判の事件を受けると、他の案件が相当圧迫されるし、かなり無理をすることになる。そういう無理ができる、それなりに能力がある弁護士を、5人も6人も新たに集めてくるのは大変だろう。

私選弁護人が見つけられなければ、この事件は必要的弁護事件で、弁護人がいないと公判が開けないので、裁判所が国選弁護人を選任することになる。オウム真理教の麻原智津夫の際も、当初は私選弁護人が付いていたが、解任されたりして結局は国選弁護人が選任された、あれと同じパターンになる。現職の国会議員、元法務大臣、前首相の盟友が国選弁護人に弁護されるという、なんとも言葉にならないような事態が出現することはあり得るだろう。前首相や現首相は、昨年の参議院選の際、首相、官房長官の地位にありつつ、あれだけこの2人を応援していたのに、もう応援してくれないのだろうか(笑)。

こういう国選弁護人の選任を、通常の手続で行うのは無理なので、裁判所が、特別案件として東京の三弁護士会に適当な弁護士の推薦を依頼し、弁護士会が内部で検討、選定して推薦することになる。

国選弁護人になるとして、選任に1ヶ月、記録検討に1ヶ月程度はかかるはずで、克行氏の公判が再開されるのは早くて今年の12月になるのではないか。12月は裁判所、検察官、弁護人の三者協議に費やされ、審理再開は1月になるかもしれない。

現在、案里氏が現金を渡した相手の議員が証人尋問を受けていて、今後、克行氏が現金を渡した議員が証人尋問を受ける。が、手続が分離された後の証人は、克行氏との関係では証人になっていないから、この状態では、今後、克行氏の公判が再開された後に、再び証言を求められることになる。

それは、あまりにも二度手間で関係者の負担が大きいので、案里氏が現金を渡した相手の議員の証人尋問が終わった時点で、克行氏から現金を受け取った人々の証人尋問は、克行氏の公判が再開され手続を併合できるようになるまで延期される可能性があるだろう。その辺は、裁判所が検討しているのが現状と推測する。

百日裁判の要請の下、多数の証人、審理途中の弁護人解任、証人中の相当数は広島でのビデオリンク方式での証言と、異例、イレギュラーなことが続く公判が今後も続くことになる。

                                  以上

サポートしていただいた場合、書籍購入費用(毎月、最低3万円は本や雑誌を買います)の一部として使わせていただきます!