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「鹿児島県伊佐市における縮小賃貸市場の中の成功確信経営」

九州一円の、不動産分野からまちの社会課題解決を目指す先進的不動産活動家・経営者たちの取り組みを、現地に赴きトーク&オンライン形式で取材・配信する「九州DIYリノベWEEKENDオンラインステーション」の第13回を鹿児島県伊佐市でおこなった。

伊佐市は、宮崎県・熊本県の県境に位置する鹿児島県最北の市で、人口は約2.5万人、世帯数は約1.3万世帯。川内川の盆地に広がる県内屈指の水田地帯として発展してきた、旧)大口市・菱刈町が合併して「伊佐市」となっている。

問題となる「放置的空き家の率※」が国内2位12%(全国平均5.6%)の鹿児島県の中でも、県内4位21.3%の伊佐市内で、驚くべき賃貸不動産投資と経営をされる先進的オーナーである脇黒丸さんの物件を訪ねた。それは、高度成長期ごろの廃墟化したRC賃貸物件でさえ買い進め、非常に高い利回りで再生されている事例だった。

 このエリアでは、人口減少から近年ではRC賃貸がほとんど建設されておらず、しかもそれらは老朽化したうえに物件の一部はまちの中心部で廃墟化した状態が続いていた。その中で、医師・教師など転勤家族などのRC物件需要に顧客を特化する方針で、廃墟物件を購入後、即、大規模リノベーションをおこない、想定通り優良顧客のリーシングに継続的に成功され、築古RC物件の持続的再事業化で成功を収められている。結果、市内のRC賃貸物件の過半を経営される状況とのこと。

 並行して、これまた築古店舗物件を購入され、そこにオーナー自身がまちに不足している保育園を複数創業し、まちの子育てと雇用に貢献されていた。しかも隣の空きスペースに新たに惣菜販売店の創業計画をされる中、高齢化が問題となっている集落の老朽空き家を買い取り、集落内での総菜販売の出先を考えられている。それにより、集落内の高齢者の食事の確保どころか、そこで働く高齢者雇用、しかも楽しい集まりどころが生まれるはずである。

 このように衰退地方都市では、賃貸事業を社会問題を乗り越えるための大切な事業として再設定する社会変革型賃貸経営者が現れていた。私たちが常々思う「社会課題先端地域は社会課題解決先進地域」の事例がここでも生まれている。縮小するまちの中では、廃墟的賃貸物件を用いた経営が、そのまちの将来に希望を与え始めている。

〔第13回「九州DIYリノベWEEKEND オンラインステーション 伊佐てぃーむ。@鹿児島県伊佐市」より(家主と地主 2021 8月号 連載記事原本〕

※「放置的空き家」とは、総務省「平成30年住宅・土地統計調査」空き家数調査の中で「その他の住宅」をわかりやすく表現してみた。それは、空き家の中でも「二次的住宅」「賃貸用の住宅」「売却用の住宅」以外の、人が住んでいない住宅で、例えば転勤、入院など長期にわたって不在の住宅や建て替えののために取り壊すことになっている住宅」とされている。

〈参考〉
●「九州DIYリノベWEEKEND 公式web」
http://diyrweek.npo-fbs.com/
●「九州DIYリノベWEEKEND 公式facebook」
https://www.facebook.com/FUKUOKADIYR
●「九州DIYリノベWEEKEND オンラインステーション 伊佐市」公開 YouTube 
https://youtu.be/7XpqYLQixpM
●当日内容:
https://www.facebook.com/events/785256845751366
●活動内容:
https://www.facebook.com/kazuma.wakikuromaru



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