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ミーターの大冒険 第九部 エピローグ 第1話 ペイリー・リャン

183第1話ペイリー・リャン
ミーターの大冒険
第九部
エピローグ
第1話

ペイリー・リャン

あらすじ

 ファウンデーション暦492年(西暦25059年)末、いよいよミーターとイルミナを載せたファー・スター2世号は太陽系の第4惑星の火星でついに、待望のダニール・オリヴォーに面会できた。

 それからダニールの月面基地から地球の放射能除去溶液と装置の準備を調(ととの)えて地球に降下して行った。

 人類の故郷の星系。懐かしい星、地球。
 
 かつて、カビレ星系と言われていた太陽系。かつてアタカナと言われていた地球。

 R・ミーター・マロウは、不死の従僕ダニール・オリヴォーに助けられて、主人アルカディアの志しをいまや成就させようとしていた。

 彼らの地上での行動はミーターは別として、2時間と制限されていた。

 そのイルミナのリードによって北上したアース・オービターは、無事にニフのフニ山頂上に着いた。

 放射能除去に必要なポニェッツ仕様のラヴェンダーエキスとオーストラリア産のデオライトの混入液を水蒸気発生装置でフニ山頂から昇化させ、地球上の各地山頂から同様に実施させていった。

 案の定、双子座流星群は降ってきた。この年は例年とは違い、幸運にも何ヵ月も継続した。

 流星群は成層圏に拡散している特殊水蒸気の雲に注ぎ、水蒸気を雨化させ、地上に雨を降らせ始めた。

 ミーターは、北アメリカ大陸の頂き、南アメリカの頂きを踏破し、残るはアフリカ大陸、ユーラシア大陸、オーストラリア大陸をも踏破していった。

 その間にイルミナは、アルファのモノリーさんのお土産である粉末の分析が完了していた。

 その粉末の正体は、ナノサイズに加工した地球上のほぼ全種類の植物の種だった。雨が降れば、地球の緑化が再生する。

 イルミナは、ドースが銀河の希望ポニェッツ号でイオス星のラヴェンダーエキスを月に届ける際、盟友ジスカルド・ハニスからの伝言で、コンパーが、ターミナスの行政官になった旨を知らせた。

 ミーターがその特殊蒸気発生機の最終段階でかつてオーストラリア大陸と呼ばれていた地域のタウンゼント山頂で早朝シルクベットから起き上がった時だった。しっかりとして威厳のある響きが頭上からあった。

 ダニールはミーターに、2つの任務を依頼した。

 地球の古代の伝説「ノアの方舟」にあるような大量な雨が1ヶ月以上も地表に降り注いだ。

 その結果、大気中の放射能濃度は、驚くほど減少していった。

 1番目のダニールからの任務依頼を終了後、ミーターは、約束していたミーターはニフの中央東に位置する海岸から切り立った小高い山頂に夜明け前に到着した。

 そこにダニールとペイリー・リャンが待ち受けていた、3人は、海中から浮かび上がる緑色の光を目撃する。

 それからほどなく、東の水平線上に陽が昇って来た。

 ダニールは、ミーターに「カビレ」の本当の意味を解き明かす。

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ミーター ペイリーさん、ここが、ファー・スター2世号のコックピットだ、すべての運航はイルミナに任せてある。いわば艦長だ。
 でも今回の航海については、俺がボス、いいね?

ペイリー・リャン わかってます。ちゃんとパパから聞いてますから、ご安心くださいな。

イルミナ ペイリー・リャンさん、これからも宜しくね!
 
ミーター そうだ、お前たちは、もうお互い知っていたんだよな。
 
ペイリー はい、よく女性同士で仲良くなりました。月では、R・オーロラ・ルナセントから女性のことを教わりましたけど、イルミナさんの方がもっと詳しく教えてくれました。

ミーター そうだろうよ。なにしろ、イルミナはアルカディアの秘蔵っ子だからな。

ペイリー アルカディアさんの秘蔵っ子ですね。パパが教えてくれました。アルカディアさんは人類のお手本だって。
 ミーターさんは、そのアルカディアさんの親友だったんですね!
 もっとアルカディアさんのこと知りたいですね。

ミーター 任しときな、ミス・センノビアレラさん。

ペイリー その呼び名はやめてください。ペイリーかリャンで、お願いします。なにしろ、赤ちゃんの時にガイアからコンポレロンに養子として移されたのですから、ガイアのことは全然覚えていないのです。

ミーター ところで、俺らは、とりあえず、第1の任務は終了した。怖い思いもたくさん経験した。

ペイリー イルミナさん、ミーターさんたら、あのデオライト採掘の時のあの姿、見せたかったですね。

ミーター ペイリー、その話はもうよしてくれないか。イルミナだって、この俺が高度恐怖症だってことはしってるんだから。

 そんなことよりも、今後の俺らの使命だ。

イルミナ そうだわね!
 地球再発見、地球の放射能除去がほぼ完了しましたね!

ミーター 念願の大きな第一歩ってところだ。
 ダニールの多大な誘導によって為し遂げられたと思う。

ペイリー それがパパの宿願でしたのです。
 いつも私に諭していました。「あのガールの証古学のおかげ」だって。

ミーター むー、またしてもガール・ドーニックか?

ペイリー ガール・ドーニックですね!

ミーター 俺らは、ターミナスに帰るのだから、ガール・ドーニックの故郷星シンナックスに寄ってもいいな。

イルミナ そうですね。
 ミーターさん、次の私たちの使命って考えたら、混沌、暗黒の銀河からの復興でしたわねぇ!

ミーター そうなんだ、その使命の達成には、この人間の、この女性、ペイリー・リャン・センノビアレラさんを俺らに同行させたんだな。

ペイリー ミーターさん、ですから、そのセンノビアレラっていう言い方は、結構ですから、お願いしますね。

ミーター わかった、わかった。アハハハハ、ペイリーって呼ばせてもらいますよ、月女様。

ペイリー ミーターさんったら!

イルミナ ペイリーさん、大目に見てください、ミーターボスの悪い癖ですから、人をからかうのが好きっていうか。

ペイリー イルミナさん、慣れるまで大変ですよね、きっと。

 分かりましたよ、あなた方には、パーソナルは必要ないでしょうけど、私にはちゃんとありますから、ゆるしてしんぜますよ。

イルミナ そうですね、このファー・スター2世号には、人間の生存に必要なパーソナルももちゃんと完備しておりますので、ペイリーさん、ご心配ないわ。

ペイリー 有り難う!

 ※このエピソードについては『ファウンデーションの夢』第4話の『What a ginius !』がご参考になります。是非ご覧下さい。

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