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ドースと孤児レイチ

23第3話ドースと孤児レイチ
ファウンデーションの夢
第四部 
嵐の気配
第3話 

ドースと孤児レイチ

物語の大枠

第一部 ダニールの地球探索
第二部 ガイア
第三部 ウォンダとガールの地球探索

第四部 嵐の気配


第五部 Tee Tree
第六部 ベイタ・ダレル
第七部 アルカディア・ダレル
第八部 アルカディアの遺言

第四部「嵐の気配」の大枠

21 第1話 涙の黒い太陽
22 第2話 帝国辞書編纂図書館

23 第3話 ドースと孤児レイチ


24 第4話 時間霊廟
25 第5話 嵐の気配

あらすじ

 ガールは、久しぶりのヒューミンとの再会に歓喜するやいなや、突如として眠気を催して、睡眠に陥ってしまう。

 ガールは、催眠術に懸けられていたのだろう、気がつけば見知らぬ航宙船のなかにいる自分に気がついた。見上げれば、容姿端麗な女性が立っていた。
 そして親しげにガールに話しかけてくる。
 
 無事に任務が完了した。放射能防御シールドのカーテンに護られ、二人は荒涼とした地球の大地を踏みしめた。ガールは朧気ながらに地球の光景を眺め、また遊んで走り回るウォンダを目を円くして眺めていただけであった。もう一つの使命など忘れていたように。

 ただウォンダが地面の割れ目から湧きだしている水に狂喜して、なにやら汲んでいるのは覚えていた。しかもその泉の回りにはクローバーが密集していたことも。

 再生の命というものなのであろうか!
 ウォンダが汲んだ水は三つに分けられ、それぞれ透明、紫、黄色のシリンダー・ペンダントに入れられ、そのうち紫のシリンダーはターミナスに避難した彼女の妹ベリスに渡してくれるようにウォンダがガールに頼んだ。

 ターミナスのパークサイドで彼女を見失った。地球の大地から脇だした泉に狂喜していたウォンダの姿にオーバーラップし、「星界の涯」の意味を沈思するガールであった。

 方や、ウォンダの妹のベリスは、その場所を訪れていた経緯をその日のうちに母マネルラに手紙をしたためていた。
 
 なぜか祖母ドースが夢に現れて、不思議な一連の作法で新たに新設された公園のある場所を訪れるように指示されていた。

 これは不思議な事件で、後に、ジョン・ナックの『歴史思想書』たる書籍はその図書館には存在せず、ベリスが訪れた涙の黒い太陽の像は次の日には消えていた。誰一人ターミナス人は、知らなかったということになる。
 
 それから数十年が過ぎ、銀河帝国はハリ・セルダンの予測通り、随処に綻びが生じ、衰退の兆候が現れ始める。
 ターミナスは、ファウンデーションの名が示すように名目上、トランターによる銀河帝国の辞書編纂図書館設立財団として、ひっそりとその役目を果たしていたが、ターミナスが所属するアナクレオン星区の独立運動が勃発するやいなや、ターミナスは一気にアナクレオン星区を制圧下においてしまう。
 その立役者がサルヴァー・ハーディン、その人であった。彼の活躍にはもう十年の月日が必要である。
 
 ドーニック家は、ベリスの娘、ドースの時代になっていた。あらかじめ、お断りいたしますが、ドースと言っても、ハリの奥さんと同じファーストネームのドースであるが、もう一人のドースである。

 ガールの盟友ボー・アルーリンは、トランターの仲間との紐帯を強く守り続け、大いにガールを助け、ガール亡き後は、ガール家を支え続けていた。方や、アルーリンは、ターミナスの次の段階への準備を着実に進めていった。

 読者には、残念ながら、その詳細については、Yi Yin の『ミーターの大冒険』のエピローグと第一部を参照してもらいたい。
 
 ここからがその次の世代の物語である。ハリ・セルダンの孫娘ウォンダも人類の常に従って息をひきとることになる。それも、わざわざロボットのメッカ、イオス星で。

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ダニール アルーリンは、もう一人のドースを無事にターミナスに送り返したようだな。お前の仕事も一段落したようだな。
 
ドース ダニール、あなたって相変わらず機械的な言い方しかできないのね。それでよく帝国の宰相やハリの友人の役がつとまったわね!
 
ダニール それはご挨拶だね。お前をこの星で製造したのは私だ。しかしお前こそ、私の失敗作かもしれない。あまりにも人間の女性以上ではないのかな?
 孤児であったレイチを貧民窟で見つけてから、ハリの養子として彼を育て上げ、その娘ウォンダを第二ファウンデーションの指導者として立派に成長させた。

 今ではすでに彼女なしでも十分機能する「星界の涯」になった。そしてお前が機能不全で、ハリから離れると、お前が陰ながらハリの面倒を見たとは言え、ウォンダはハリの片腕以上に成長した。

 ところで、ドース、もう一人のドースは、偶然にしては、なぜ同じ名前なのかな?

ドース 地球に二人を送る際、ガール・ドーニックが寝ている間、彼をシンパシック・ハーヴェイ号に運ぶ最中に、ウォンダがびっくりして叫んだのよ。「お婆ちゃん。ドース」って。

ダニール なるほど、それで地球で彼の感応力が覚醒してから、その名前が彼の潜在意識に刻まれ、娘が出来たときその名前をつけたっていうわけだ。
 しかし、それにしてもお前と瓜二つではないか。彼女もお前以上の「宇宙の女」なのかもしれない。


 宇宙の意思は、私とジスカルドの「第零の法則」なんて米粒に等しいほど、比較にならないくらい偉大なのかもしれない!

(イオス星の病院の片隅に設置されたレコーダーを解析して出されたデータより〖ロボットが人間語で喋って記録された稀な例。〗)

https://youtu.be/at0R8Mx8WGU

yatcha john s. 「ドースと孤児レイチ」

絵画∶
 Thomas Benjamin Kennington - Orphans.jpg

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