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鰭展

森美術館へ向かう道すがら、ばったり発見した小さな展示「読む水族館 鰭展」。東京六本木の本屋「文喫」と札幌の水族館「AOAO SAPPORO」がコラボレーションした企画展だそうだ。

私は魚が好きだ。水族館に行くと、色とりどりの魚たちが水槽の中で泳ぐ姿に見とれてしまう。魚は見た目だけでなく、生き方や習性も多種多様で、その奥深さに惹かれるのだ。

そんな私にとって、六本木の本屋「文喫」で開催されている企画展「鰭展 読む水族館」は、まさに天国のような場所だった。この展示は、魚の鰭(ウオヒレ)をテーマにしたもので、寿司屋の女将でウオヒレコレクターのウオヒレウロ子さんのコレクションや、鰭に関する本が展示されているのだ。

「文喫 六本木」は本屋だが入場料を必要とする。なんとも珍しい。毎回、六本木に来たらここの本屋をのぞいているが、そんな私は1回も奥まで入ったことがない。この本屋はエントランスまでは無料で入場できる。この「鰭展」もエントランスでひっそりと開催されていた。


ウオヒレは、魚の体の一部でありながら、それぞれに個性や特徴を持っている。ウオヒレウロ子さんのコレクションは、干して樹脂でコーティングしたウオヒレが、美術品のように飾られている。その数は約20種類で、イズカサゴやキチジ、サザナミヤッコ、スジアラなど、さまざまな形や色のウオヒレが並んでいる。

それぞれのウオヒレは2枚のラップのような柔軟性のある素材で挟まれているため、触れることができる。その凹凸や硬さを改めてというより「意識的に」知る。触ることで、自分ごとになったのだ。ウオヒレを見るだけでなく、読むことで、その魚のことをより深く知ることができるのだ。

展示されている本も、鰭に関するものが100点以上ある。図鑑や文学作品、絵本など、ジャンルや対象年齢はさまざまだが、すべて鰭に関係するものだ。鰭から派生する18のテーマに沿って選書されており、例えば「翼」や「服飾」、「威嚇」、「骨格」などだ。

Story13に孔雀・極楽鳥!?と驚きつつ、その幅の広さに肝を抜かれる。

本を手に取ってみると、鰭の多様性や魅力が伝わってくる。鰭は、魚にとっては泳ぐためやバランスをとるための必要な器官であると同時に、狩りや防御、コミュニケーションや繁殖などにも重要な役割を果たしている。鰭は、魚の生き方や個性を表現するものでもあるのだ。

私は、この展示を見て、魚のことをもっと知りたいと思った。魚は、私たち人間とは異なる環境で、異なる方法で生きている。その違いや共通点を知ることで、私たちは魚に対する理解や共感を深めることができるのではないだろうか。

本に囲まれながら、パワーワードを並べている。

「鰭展 読む水族館」は、魚の鰭を通して、魚と本の魅力に出会える展示だ。魚に興味がある人も、そうでない人も、ぜひ足を運んでみてほしい。魚の世界に触れることで、新しい発見や感動があるかもしれない。私は、この展示を見て、魚がもっと好きになった。

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