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成長企業がなぜOKRを使うのか?

・OKRは社員の意識を変え、組織をドライブさせる上で有用なツール。決して評価ツールの一部ではない。企業における人材マネジメントの考え方を変えることを求められる。
O=「Object」 KR=「Key Result」
・ルーティンワークだけで回せば稼げる時代は終わった結果、日本企業は、過去の成功体験に縛られることなく、これまでと違うこと、誰もやっていないことにチャレンジしなくてはならなくなっています。「時間でなく成果で人を管理する」「組織の命令一本やりではなく、個人のアイデアや独創性を尊重する」など人材マネジメントのやり方自体をかえなくてはならない。これが日本企業の課題であり、これを解決する上で有効なのが「OKR]である。
・OKRは成果で人を管理するという側面よりも、働く人たちのモチベーションを高め、パフォーマンスを改善する側面は強い人材マネジメントである。
・OKR導入の目的は、「みんなでこの方向に、力を合わせて走っていこう」と目標を示し、全員の目線を合わせつつ意欲を高めること。
はるか彼方にある大きな目標を示し、それを実現するための行動を個々人が考え、実践することで、ブレイクスルーを生み出すのが、OKRを導入する大きな目的です。
・社長一人の能力で会社を引っ張っていくのであれば、「社長の能力の限界」がそのまま「会社の限界」になってしまう。
・必要なのは社員自らが大きな目標を掲げ、そこに向かって進んでいくという自発性と自律性。
Oには組織の各階層において、メンバーが認識し、目指すべきビジョンのようなものを設定しなくてはなりません。そのため、いわゆるビジョンがそうであるように、Oには必ずしも「数値で表せることができる=定量的なこと」は求められません。定性的なものがほとんど。
・Oの設定にあたっては、「具体性」「測定可能」「達成可能」「期限」という④つの要素を盛り込む
・ムーンショットとルーフショット、OKRではムーンショット
・KRは定めたOを達成した時に実現されるk状態を、具体的な指標(数値)で示したもの
・Oは目指すべき方向であり、ある程度、漠然としていても構わない。KRは具体的な状態を具体的な数字を設定する必要がある。
・「OKR]と「KPI」の違い KPIは目標に対する達成状況を測定・把握して人を管理する OKRは組織やチームの目標に向けてメンバー各自が自発的に目標を立てて、具体的なアクションを起こす
・「OKR]と「MBO」の違い OKR=目指すべきビジョンを明確にし、組織を活性化し、メンバーのコミットメントを引き出すこと MBO=何よりもまず個人の目標管理と人事評価 100%の達成が求められる
OKRは通常全社で共有されるのに対して、MBOは本人と上司、人事担当者にしか開示されない。
・OKR導入のポイント①トップ層からサポートを得る②導入メリットを組織に浸透させる③導入アプローチを明確化する④導入の牽引役を任命する⑤OKR設定のトレーニングを用意する⑥管理プロセスのシンプルさを保つ
・OKR導入のプロセス【3週間前】組織目標を設定し、全社員に共有【2週間前】チームで組織目標をどう実現するか議論【1週間前】チームが組織目標にどう貢献できるか、リーダーが全員に伝える【数日前】全社会議:全員のOKRを見える化し、完成させる
・OKR設定の注意点①会社、組織、個人のOKRは見える化されている②必要に応じてフィードバックしたりKR達成のために支援したりする③OKRはチーム間でもすり合わせる必要がある④チーム間やOKRすり合わせは、オーナーとコントリビューターが行う(ペアワークの場合にはオーナーを決める)
・OKRを設定するのは一般に、四半期に1回。OとKRの新鮮さを保ち、メンバーのモチベーション低下を防ぐため。必要に応じてOKRは期の途中で小刻みに修正しなくてはならない。
・すべてのOKRが常に組織内で共有され、チェックされているような仕組みづくりが必要。日々の業務のなかで常にOKRを振り返り、再確認できるようにしていく(一行日報のような仕組みが良いのでは?)
・OKR自信度=OKR目標に対して、自信を図る自己申告指標 自信度10=達成の自信が大いにある 自信度5=頑張れば達成できるかもしれない 自信度1=まったく歯が立たない
モチベーション維持のために達成可能性のレベルを見える化しておいたほうが良い。
・チェックインミーティング=メンバー各自が「今、自分が何をしているか/何をしようとしているか」などと簡単に報告し合う場である。開催の頻度は、週1回程度が目安
・チェックインミーティングで確認すること
①OKRの進捗状況=会社は個人のOKR達成を支援するプラットフォーム
②「うまくいっていること」と「うまくいかないこと」=実はうまくいっていない悪い報告の確認が最も重要
③「うまくいかない原因=ボトルネック」とその解決手段=「ボトルネック解消のために、可能な支援を議論し、問題点をクリアにする」
・「OKRと評価」の考え方 
①OKRは実績評価と切り離して運用すること、社内に制度が浸透した後に組み込むことも可能
②OKRによる実績評価には、目標の達成度や困難さ、業績への貢献、習得スキルなども組み込める
③個人の実績評価が難しければ、チーム単位での実績評価とOKRを連動させてもいい
他社の例)
【Google】OKR達成は評価と連動している 評価を受けた社員が、自分の行動を振り返るものとして機能
【メルカリ】人事評価はOKR(定量評価)とバリュー(定性評価)の二軸で実施
バリューは行動指針「Go Bold」「All for One」「Be Proffessional」が実践できたかで評価
四半期に一度の面談で見直し
・「RACI」設定における役割
Responsible(実行責任者)タスク達成の実行を担う。複数のタスクに責任を持つこともある
Accountable(説明責任者)タスクもしくはプロジェクトの全責任者。外部からの問い合わせに対応する
Consulted(協業先)意見を求められる者。双方向の対話が必要になる
Informed(報告先)進捗を常に把握する者。基本的に一方向の報告となる
・1on1は「メンバーが自らの課題をリーダーに相談する」ためのもの
・OKRと1on1を併用する効果①パフォーマンスが上がる(KRI達成に向けた課題について気づきを与える)②会社と個人が同じ方向に向かうOKRと方向を揃っているかを考えさせる)③業務効率が向上する(課題解決を支援することで業務を効率的に進められるようになる)④自己実現と成長につながる(課題を解決し、KRを達成することで成長する)
・1on1ではメンバーが「包み隠さず報告し、相談できる状態」が重要=「心理的安全性」が高い状態
・心理的安全性=社員が社内でネガティブなプレッシャーを受けず自分らしくいられると感じる状態。あるいは、同僚と互いに高め合い建設的な意見の対立が推奨される状態
・会社の目標の理解が社員満足度向上につながる
・ボトムライン=経営方針、人事評価、ワークライフバランス、給与、福利厚生などにおいて満足している状態。従業員満足度調査の指標
・ボトムラインの効果「経営方針に納得感がある」「きちんと評価されている」「きちんと休めている」「給与面で恵まれている」「福利厚生が恵まれている」→『従業員満足』が『顧客満足』につながる
・エンゲージメント=「組織に対して愛着、誇り、帰属意識を持つこと。例えば、友人や親戚に当社で働くことを自ら積極的に勧められるなど
・エンゲージメント「経営方針に納得感がある」「自己実現の場である」「自分が自分らしくいられる」「成果が会社やメンバーへの貢献につながる」→「エンゲージメント」が従業員との関係構築につながる
・エンゲージメントとOKRの関係
①OKRでは、ボトムの発想を拾い上げてチームや会社の目標とすり合わせるため、仕事や職場に誇りを持つようになる
②「仕事を通じて何を得たいのか」を考えることは、仕事に対する意識を変える
③「前期や前年の仕事が現在の仕事にどうつながっているか」を理解すると、自らの成長が理解でき、働きがいにもつながる

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・OKRと「オンボーディング」を連動させる
事前に設計した定期的なコミュニケーションにより、新メンバーと既存メンバーの統合を図りつつ、継続的なトレーニングで早期離職を食い止める。早い段階で新メンバーの生産性を向上させる
・ワークショップを開催し、OKRを組織に浸透させる
ワークショップを開催したほうがいいとき
①OKR導入の目的が組織にきちんと伝わっていない
②KPIやMBOと同様に、目標設定・管理ツールとして運用されている
③1on1が形だけのものとなり、リーダーが一方的に話して終わってしまう(メンバーがミーティングを敬遠したり、密室で行われているとき)

なぜいま、日本企業にOKRが求められているのか?

【人材を活用できない要因】
①日本の大企業には、社内ミッションやビジョンが浸透していないことです。戦後、日本の大企業では、「経営者がミッションやビジョンを強く語る」ということが行われてきませんでした。逆に、経営のビジョン、ミッションを社内の誰でも語れる日本の企業は、スタートアップです。つまり、ミッション、ビジョンの浸透が大きな差を生んでいるように思えます。

②中間管理職の力不足です。日本人の管理職の多くは残念ながら人材マネジメントの経験やスキル、そしてマインドセットに欠けています。これは個人の素質や経験だけでなく、組織運営の仕組みに起因する問題ともいえるでしょう。多くの企業において経営層は、「社員には自分からイニシアチブを取って積極的に動いてほしいが、なかなかそうならない」と言いますが、中間管理職に人をモチベートさせたり、育てたりする経験やスキルがなければ、それは難しいでしょう。

・OKRでは、「会社が掲げるミッションを実現するために、あなたはどのように貢献したいか」「あなたは仕事を通じて何をやり、どのように成長したいのか」を自ら語らせます。これは、競技スポーツ選手の優れたコーチが選手自らに自分の目標を設定させるのと同様です。「やりたいこと=自分の目標」を自ら設定することが、人材を活用する上での原動力となるのです。

※チームスポーツに置き換えると考えやすい。
野球で高校生が「甲子園出場」という目標(Object)を設定した場合、その目標に対して自分はどのように貢献していくか、これは監督から「お前はこの役割をやれ」と命令された時と、自分でどのように貢献できるかを考える時とでは、モチベーションは大きく異なる。また、その貢献ができる存在になるためのプロセスを自ら考えることが本当はとても楽しかったりする。そして、少しづつでも成長したり、フィードバックを受けて自分の成長を実感できたりすれば、とても自信につながっていくだろう。
また、思うようにいかない時も誰にも話せず、一人で考えこむよりも、コーチは上級生などに自分の状況を伝えることで、改善となるヒントが得られるかもしれない。(あくまでも考え行動するのは自分)


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