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火葬場の話。

わんあん。
ゆ。だよ。

今日は一緒にバイトをしているおっちゃんの話。

おっちゃん。
何歳なのか分からない。

私がわかっていることは、
15年間火葬場で働いていたことと、
長年ご両親の介護をしていたということ。

そのおっちゃんがいつもバイト帰りに教えてくれる火葬場勤務あるあるが面白すぎるので、ここに記録しておきたい。


①火葬場が賑やかだった日。

なんだか火葬場が賑やかな日があったそうだ。

まるで時代劇の天皇の危篤の時のような(伝われ!)人数のお坊さんが同時に読経を行い、
所謂強面のお兄ちゃんたちが苦しそうな顔で膝に手をついて中腰の体勢をとっていた。

誰の火葬かと思いきや……

そう、どこぞの組長

火葬場の職員を険しい顔で監視するように見ている幹部がいたそうで、職員にはヘマする訳にはいかないという緊張感が流れていた。

しかし、組長を本気で慕う構成員たちが温かく最期の姿を見届け、最後はとても平和的な雰囲気だったらしい。

今までで1番ドキドキする、思い出に残る仕事になったそうだ笑


②イエスvs仏

おっちゃんが勤めていた火葬場の火葬する前に遺族が集まって最後の姿を見送る場所は、パーテーションで仕切られていたらしい。

ある時、キリスト教の方と仏教の方が隣同士で火葬を待っていた。

牧師も住職もこだわる人はとことんこだわる。(完全に個人差がある)

たまたまその時の牧師と住職はかなりこだわってしっかりやるタイプの方だったらしく、
牧師は、讃美歌をかなりの声量で歌わせ始めた。
それに負けじと住職はかなりの声量で念仏を唱えた。

両者一歩とも譲らない状況は続き、デッドヒートとなったらしい笑


最終的に、両者の遺族からそれぞれうるさいのはどうにかならないのか?と苦情がきたらしい笑


③日蓮さんと学会

その日は厳格な日蓮宗の方と創価学会の方が隣同士で火葬を待っていた。

私は知らなかったのだが、創価学会は日蓮宗から派生した宗派だそうで、
カトリックとプロテスタントに確執があるように、日蓮宗と創価学会にもそんな様子があるらしい。

創価学会の方は、老若男女みな「南無妙法蓮華経」を唱えるらしいのだが、またそれもかなりの声量で唱えるらしい。

それを壁を隔てた向こう側から聞いた日蓮宗の住職は、1人でその声量に対抗し始めたらしい。

それを聞いた学会の方は、またそれに対抗して更に声量を上げ、これまたデッドヒートとなったそうだ。

火葬場の職員も、
「学会キターーー爆笑爆笑」
となっていたらしく、完全にパーテーションを隔てて小競り合いをしているような雰囲気だったらしい。


こちらも、最終的にはクレーム案件になったそうで、でも火葬場の職員が火葬の予定を調整することができる訳もないので、とにかく謝るしかなかったらしい。



日本は無宗教も含めて様々な信仰の形がある国だからこういうことが頻繁に起こるんだろうなぁ。

そして、どんなものを信仰していても必ず火葬される。
それって何となく不思議だよね。
どんなものを信仰していても最期は一緒なんだなぁ。

火葬場のお仕事って絶対体力的に大変だし、色んな死の形を見るって精神的にも大変そう。

でもおっちゃんはそれを15年間やってきて……
「やれば慣れるもんだよー」
って言っていたけど、本当にそういう仕事の人がいてくれることに対して有難いなぁと思う。


バイトって色んな人と出会えるから、その経験もとても貴重だし面白いよね。


ざいじえん。

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