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【備前焼といえば】新しく担当となったアイドルのふるさとを旅した話【藤原肇ちゃん】

【なぜ伊部に行こうと思ったのか】
 突然出てきた「伊部」という地名ですが、なぜそこへ旅することになったのか。
 私はデレマスの担当アイドルのふるさとを訪れることにしています。例えば塩見周子ちゃんだと京都、綾瀬穂乃香ちゃんだと宮城になります。このたび、新たに藤原肇ちゃんを担当アイドルとしたので、岡山を訪れる機会をうかがっていました。
 さて、肇ちゃんはふるさとにある備前焼に誇りを持っているのですが、備前焼はその名の通り、備前市にあります。でも、岡山城に行くために岡山に行くのと、備前焼の産地に行くために備前に行くのは少しワケが違っています。目的地にたどり着くためのキーワードとして「伊部(いんべ)」という地名を知っている必要があるのです。
 備前焼のふるさとは伊部にあり、と知っている人は少ないのではないでしょうか。

【伊部へ行くために】
 伊部へはJRで行くことが出来ますが、複数のルートがありますが、今回は岡山駅からJR赤穂線で伊部へ向かいました。

岡山側から見たJRの路線図。姫路から相生を経由するルートもありますが、播州赤穂で乗り換えが発生するようなので岡山から直接伊部に行くのが楽だなぁと感じました。

 途中の駅には学校が隣接しているところもあり、学生さんの姿が多く見受けられます。とはいえ、今の運行ダイヤだと伊部へは1時間に1本のペースですので、余裕を持ったスケジュールを確保して伊部を楽しみましょう。

ちなみに、新幹線で岡山に向かう途中。よーく見ると、「備前焼の里」と書いてある看板が。

【伊部の街を歩いてみた】
 伊部に到着すると、そこがやきものの里であることがすぐに分かりました。駅の中にある備前焼伝統産業会館に、隣には備前焼ミュージアム。モノだけならばそれらで事足りそうですが、大切なのは思い出なので、自らの足で稼ぐことに。

伊部の地図。旅するには歩くのにちょうどよい広さです。分れ道も迷いにくい構造。


伊部に行ったことがあるかどうか。それは、「伊部」の読みを問えば良いのではないでしょうか。


土から備前焼と姿を変えるのに欠かせないアカマツの薪。

 工房はとても分かりやすく、煙突や薪、窯があるのが目印です。備前焼を販売している店舗と一体化しているものもあります。

伊部の街の中にある「ときわ旅館」。Y字型に伸びる奥行きが画になります。

 備前焼の歴史の始まりは平安時代と古く、みなさんが持つイメージである「芸術作品」とはかけ離れた「日用品」、例えばすり鉢など、当時の庶民に必要不可欠な存在として生まれたそうです。
 しかし長い歴史を生き残るには姿形を変える必要があります。最初は税金代わりとして納めつつも日用品の役割を果たしていたものが、戦国時代になって千利休などが愛する茶器となりました。さらに、平和になった江戸時代では藩、現在でいうなら岡山県に保護されることになります。
 だけど、焼き物には土、薪など、自然の存在が必要不可欠です。大量生産を続けていては、いつか枯れ果ててしまいます。山に向かって歩くと木々や地面から、その様子がうかがえる気がしました。やがて、窯は共同のものから、個人それぞれで持つことになります。
 おまけに、備前焼は釉薬(うわぐすり)といった装飾は使わず、素朴な焼き加減で色彩を表現するようです。時代は、屋根の瓦などを備前焼に求めたり、日用品はステンレスなど新しい存在に取って代わられるなど、その存在意義が常に問われ続けている印象でした。
 そして、備前焼の名工が人間国宝に選ばれるなど、世の中に再び認知されていくなか、平成令和の時代に、アイドルマスターシンデレラガールズという、大規模なソーシャルゲームに備前焼の名前が登場します。
 それも、備前焼の歴史の中で生まれ育ち、自らの器に悩んでアイドルになった、藤原肇ちゃんと一緒に、です。

一陽窯」。ぴにゃこら太の備前焼=備にゃこら太の監修をなさっています。
御存じ備前の地から生まれたアイドル、藤原肇ちゃん。備前焼小町にも就任しました。

 貴族、茶人、大名とそれぞれの時代と対峙して生き残った備前焼が、今度はプロデューサーさんと出会ったわけです。だけど、プロデューサーさんは、アイドルを信じるもの。肇ちゃんの場合は、備前焼を知ることにつながるでしょう。
 今回、備前焼を購入した「一陽窯」さんには、オススメの焼き物やポストカードのサービス、更には備前焼を作り出す登り窯の見学まで大変お世話になりました。
 印象的だったのは、最近あった寒波で窯の温度が急に下がり、備前焼が割れないか心配だった、ということでした。たくさんの薪で熱を保ちつつも、完成させるために絶妙なタイミングで温度を調整していく。私たちのプロデュースにも通じるものがあった気がします。

備前焼ミュージアム。駅の隣にあって、歴史から作品まで余すことなく楽しめます。

 また、備前焼ミュージアムの企画展では「可愛いもの」をテーマにした展示がありました。さすがにぴにゃこら太はいませんでしたが、ある意味で何か大きな存在に引っ張られることなく自由に表現できる良さを感じましたね。
 それから、人間国宝のひとりである藤原啓さんの歴史も興味深かったです。生まれた時から備前焼の職人だったわけではなく、若いときは詩集を発表したり、初窯を焚いたのが40歳とイメージとは異なる年齢でした。

UDOさんにて、備前焼ミュージアムとのコラボ、備前焼の器に乗ったショートケーキに、満たされたコーヒー。

 最後に美味しく頂いたのは、駅の中にある「軽食喫茶UDO」さんで、備前焼の器と一緒の、ショートケーキとコーヒー。これまで私は、焼き物は何かを乗せたり満たすことなく、ただ焼き物その物を楽しむことと思っていましたが、備前焼が庶民の日用品から始まったように、何かと一緒に費やしてこそ、その大切さや楽しさが分かるのだと学びました。

【担当アイドルのふるさとを訪れるということ】
 旅はふるさとに帰るためにするもの、と周子ちゃんは言っていましたが、私は担当アイドルのルーツを知るためにそれぞれのふるさとを旅しています。だけどもうひとつ、私自身が抱いている「硬いイメージ」を改める、という目的もあると感じました。
 本や映像で知っていても、実際に自分の脚で立って、五感で触れて初めて知ることもある。またひとつ、楽しむことが出来ました。

一期一会の備前焼を、大切に使っていきます。

 なお、私は藤原肇ちゃんの担当プロデューサーになって日が浅いので、より深く伊部を楽しみたい方は、同じ肇ちゃんPさんの夕凪さんの記事を読んでみてくださいね。


 ここまで読んでいただいたみなさん、ありがとうございました。みなさんが楽しめるものを、気軽に楽しめますように。

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