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Webとマーケティング 授業資料(4)

5.ソーシャルリサーチとペルソナ

ソーシャルメディアを使って、マーケテイングのためのリサーチをしましょう。

ここでやることを整理します。

グルーピング

・人々のグルーピング

前も述べましたが、マーケティングやメディア、広告の世界では、視聴者、消費者、生活者などを、グルーピングして行きます。それは、例えば買う人が少ない女子大に缶コーヒーを置くことを避けるためです。

そのグルーピングには、普通、性別と年齢の2つの軸が使われます。
男性(Male)、女性(Female)、そして子供(Child)、10代(Teen)、1(20~34歳)、2(~60歳)、3(それ以上)という区分ですが、そこには、性別や年齢で、嗜好や価値観などが大きく異なっているという仮定が存在しています。

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ここで、用語を理解してください。
「デモグラフィック変数」と「サイコグラフィック変数」という、マーケティングでの概念です。

デモグラフィック変数

「デモグラフィック変数」とは、人口統計で集計されるような属性のことを意味します。
具体的には、大きく性別、年齢・世代、家族構成など、個人の基本データの他に、学歴や職歴など社会的要素、国や民族、居住地域など、ジオグラフィックな要素、そして血液型その他の、フィジカルな要素などが含まれます。
簡単に言えば、その人に対する、客観的・外面的な特性という説明でわかりますか?
変数とは、値が変わって行くものを意味しています。年齢は毎年変わりますよね。

「サイコグラフィック変数」とは、価値観、ライフスタイル、信条、好み、性的指向など、内面的な心理的特性を示すものですが、現実では余り表に出てきません。
ジャニーズファンで、食べ物はオムライスが好き、ゲームオタクで、いつもアニソンを聴いている、なんていうことは、少なくとも外面ではわかりません。

デモグラフィック変数2

マーケティングの領域では、もちろん商品、サービスを人々に売るわけですから、その販売するモノに対して嗜好を持っているのが前提です。
好まないものは売れません。ですので、そのサイコグラフィック変数に基づき、人々をグルーピングしたいわけです。

しかしサイコグラフィック変数は、心の中のことですので、客観化することはできません。
そこで、デモグラフィック変数を使って、メディアの場合は、年齢と性別ですね、人をグループ化します。
そこには、同じデモグラフィック変数を持つ人々は、同じようなサイコグラフィック変数を持つ、要するに同じ世代や性別を持つ人々は、嗜好も同じだろうという仮定です。
まさにそれは「ステレオタイプ」を作り上げていることにもなるわけです。

・ペルソナ

ペルソナ

先ほど、「あなたは女子大生の代表ではありません」と言いました。
どんなに同じような外見をしていても、全てが同じ人は存在しないでしょうし、特定のデモグラフィック属性を持った人、例えば女子大生を完全に代表するような人は、一人もいないでしょう。同じように見えてしまう女子大生でも大学教授でも、一人一人は個性をもっているはずです。

マーケティングの世界では、そうした違いを前提に、その層に属する人々に共通するような特性を集めて、その層を端的に表すような、仮想の消費者を設定して、商品の企画をしたり販売戦略を立てることがあります。
要するに、顧客の具体的な像を作って考えていくわけです。

そのために作られた顧客の仮想的な人格、プロフィールを、「ペルソナ」と言います。そのペルソナが、実際に実在しているかのように考えることで、リアリティのあるビジネスプランを立てることができます。

ここでは、皆さんと「2020年の女子大生」のペルソナを作ります。

提起2

ペルソナ設定の決まり切った手法はありません。基本的には、多くのデータを集めてペルソナ像を絞って行くわけですが、特に重要なことを指摘しておきます。

ペルソナは、「典型的な顧客モデル」です。
「代表的な顧客」ではないということに注意してください。

代表的と典型的の違いはわかりますか?

代表

「典型的」とは、ある種類に属するもの全体の特徴、性格などを表していることを意味します。しかし、「代表的」は、ある全体から最も優れているものとして、選ばれたモノのことです。

かつて日本の代表的アイドルグループだった、AKB48が、AKB48選抜総選挙をやっていたのを覚えていると思います。
ちなみに、AKB48は「日本の典型的アイドルグループ」かと言うと、何か違うと思いませんか?

ペルソナ3

図は、2010年の第二回総選挙の結果です。初代神セブンが揃った黄金時代でしたが、この年は大島優子さんが1位になりました。大島優子さんと、2位の前田敦子さんは、AKB48を代表するアイドルと言っていいですよね。
ではこの2人で、AKB48の個性、特徴を表していると言っていいでしょうか。

詳しいことは知りませんが、AKB48のメンバーは100名強ほどいるようです。その100名がそれぞれ集まって、AKB48というグループが作られているわけで、決して誰かによって表されるわけではありません。
ですので、典型的なAKB48メンバーは、実際には存在しません。多くのメンバーが共通して持っている要素やAKB48として譲れない何かなど、それらの集合体がAKB48の典型で、それに近い人はいるかもしれませんが。

ペルソナは、典型例と言っていいと思います。それを見れば、その集団が把握できるような存在です。
マーケティングでは、その商品やサービスを提供する対象のペルソナ、すなわち典型を使って、プランニングをしていくわけです。

さてここでは、2020年の女子大生というグループのペルソナを作って行きます。
2020年時点で大学生ですから、年齢は18歳から22歳ですが、社会人大学生や学び直しの人など様々にいると思います。しかし典型例としては、TからF1の境目にいる年齢でしょう。
これは数的に多数ということだけではなく、大学という教育システムが、元々その年齢を想定しているということです。
その他にも、様々なデモグラフィック変数が考えられますのでそれらを設定して行きます。

目的は、そのペルソナをマーケティングに使うことです。つまり購買層としての「2020年の女子大生」の姿を明らかにしたい。

特にペルソナづくりで重要なのは、ある一定のデモグラフィック属性を持った人々が、どういうサイコグラフィックを持っているか、どういう嗜好や感性を持っているかということを見極めていくことになります。

そのためにソーシャルメディアを使っていきます。ソーシャルメディアからデータを得て、2020年の女子大生のペルソナを作るのが、最初の課題です。

では、次にリサーチに使うソーシャルメディアについて考えてみましょう。


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