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23/12/23 「NEW CLASSICS 2023」ありがとうございました

ギャラリーハウスMAYA+MAYA2での企画展「NEW CLASSICS 2023」、
12/20(水)に終了いたしました。
みなさま、ありがとうございました。

見応えたっぷり、刺激たっぷりの展覧会でした!
「古典」へのアプローチもそれぞれで、作家さんそれぞれの、作品やモチーフへの思い入れ、好きな気持ちが感じられ、時代やあこがれを深掘りしていく力ってやはり熱いものだなと思いました。
素敵な作品ばかり、参加作家は大活躍の素晴らしい方々ばかりで、末席に加えていただき幸甚でございました。

自分の作品は、「唐子遊群仙図」と題をつけました。
「古典」のテーマをいただいたときに、やはりあこがれの古典画題に挑戦したいと思いました。相変わらず、あこがれの絵師たちと同じものを描けるようになりたい、というミーハー心が抜けないのです。
そして古典画題を扱うなら、その画題に馴染みのある人もない人も楽しめるような、ちょっと振り向いてもらえるような作品にしたいと思いました。いつもそう思っています。それは、自分にとってのあこがれの作家たちや作品たちがそうだからです。いや同じ境地に立てるなんて思いませんが……
キャプションに、見立てについての詳細を書こうか迷って書かなかったのは、そういう理由もありました。ついでに言うと、群仙をそのままおじさん多めで描くか、唐子にして見立てで描くかも迷いました。結果、「唐子」も古典的なモチーフだし、「見立て」も日本美術の古典的手法、ということにしました。

MAYAでは1991年に「NEW CLASSICS」のタイトルで企画展を開催していて、それ以来ということでしたが、
そのように時代の積み重なった展覧会にお声かけいただいたことを、しみじみと嬉しく思います。
前回の「NEW CLASSICS」で大学時代の先生が寄せた文章が、今回の会場に置いてありましたが、久しぶりに先生の言葉遣いを感じて、それが記憶とあまり違わなくて沁みました。まだまだ勉強だなあと思います。
素晴らしい機会をいただき、誠にありがとうございました。

***

とはいえ画題について全く言及がないと物足りない、のは絵をみる方より自分の方なんですが、そんなわけで以下仙人見立て(元ネタ)について書こうと思うので、ご興味あればどうぞ。左から順。
(自分の言葉でラフにまとめているだけなので、詳しく知りたい方はもっとしっかりした情報をご覧ください…)

・呂洞賓(りょどうひん)
龍に乗った場面を描いた雪村の絵が有名で、自分もそのイメージで取りかかったのですが、検索したら実は呂洞賓と龍はそんなに関係がないらしい。雪村!
しかし剣を持つのがポイントってことで、衣を剣っぽい模様にしたので、やはり呂洞賓ということにしておきます。
納得できない方は馬師皇(ばしこう)(元々馬の医者で、龍を治した話がある)あたりを思い浮かべていただければ……。

・琴高(きんこう)
鯉と一緒に描かれる。龍をつかまえてくる、と言って水に入り、後日2匹の鯉に乗って水中から現れた、という伝説から。

・藍采和(らんさいか)
藍色の衣を着て、片足は裸足、片足に穴のあいた靴を履き、腰から板や糸に通した銭をぶら下げていたという。歌って踊って歩き回っていたとか。少年のような青年のような女性のような、性別がはっきりしない仙人(女性説も多い)。

・蝦蟇仙人(がませんにん)
3本足の白いガマを連れているので蝦蟇仙人。ほんとの名前は劉海蟾(りゅうかいせん)というらしい。昔の絵の中のガマはだいたい巨大ですが、今回はリアルガマサイズ。
どうでもいいけど制作中に「蝦蟇」の字が書けるようになった。この歳で新しい漢字を書けるようになるとは思わなかった。でもまたすぐ忘れそう。どうでもいい。

・郝大通(かくだいつう)
座っていると子どもたちがやってきて頭に石を乗せ始め、石を崩してはいけない、動いてはいけないと言われ、そのまま6年動かないうちに仙人になったという。

・李鉄拐(りてっかい)
息をぷーっと吹くと自分の魂を吹き出して、自由に飛び回ることができる。鉄の杖を持った姿で多く描かれる。

・黄初平(こうしょへい)
羊と一緒に描かれる。石を羊に変えたエピソードで知られるため。
ちなみに近世までの日本には羊がみられなかったので、日本の昔の絵の羊はとても山羊っぽい。

・西王母(せいおうぼ)
桃の実や桃の木と一緒に描かれる仙女。西王母の桃の木に実る仙桃は、食べると不老不死になると言われている。

・東方朔(とうぼうさく)
この人は元々仙人というより文人なのだが、西王母の仙桃を盗んで不老不死になり仙術を身につけた、という伝説がある。


以上。ざっくりです。
これまでみてきた中で印象的だった方々、描きたかった方々を選んでいるので、選出に特に法則はありません。八仙に入っていたりいなかったり。
また、絵には描き込んでいない特徴や、エピソードもあります。先人たちの素敵な作例がたくさんあるので、よかったら色々見てみてください。日本の絵も中国の絵も良いです。

一人の仙人や単独の画題ではなく、たくさん集めて群仙図にしようというのは、福田美術館で海北友松の禅画を貼り交ぜた屏風をみていたら思いつきました。ありがとう海北友松。

画題については、基本的にビジュアルから入る(絵をみて知る)ことばかりなので、いろいろ調べると、知らないことがたくさんあります。勉強。
まだまだ知らない画題も描きたい画題もたくさんあります。
面白がりながらやっていけるといいなと思います。