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19/01/17 デッサンの話

5年間つづけたデッサンの授業のお手伝いが終わった。
途中で授業が変わったり、いろいろあったけどなんとか5年。

写実っぽい絵を描いていないからどう思われるか知らないが、デッサンは好き。
特に鉛筆で、じっくり時間をかけて描くデッサンが好き。
人並みに使える画材が鉛筆くらいしかない、というのもあるんだけど。鉛筆はハイユニの、柔らかいB系が特に好き。
静物や小さなモチーフにぐいっと迫りがちで空間や風景は下手。要は視界がせまい。わかってはいる。わかってはいます。

デッサンについて考えることは、描くことや作ることそのものを考えることだった。
細部と全体を行ったり来たりしなきゃいけない。良くないと思ったら、恐れずに積み重ねてきたものをこわして、直さなきゃいけない。段取りや時間のことを考えなければいけない。時に手を動かすことに溺れてみてもいい。法則をある程度知り、理解しなければならない。でも法則だけでは描けない。ゴールをイメージしたほうがいい。でもゴールに向かってまっすぐ進めるわけではないことを知らなければいけない。未熟で下手な自分を認めなければならない。根気づよくつづけなければいけない。でもどこかで腹をくくらなければいけない。
何かとくそまじめに考え、思い知らされ、向けた言葉はぐるりと回って自分に突き刺さった。
そのくりかえしが、終わってしまったらと思うと、少し不安。ほんの少し。
でも5年たったのだから、染みついていると思いたい。

しずかで光がふんわりと入る教室に、鉛筆の描く音だけが響く時間が訪れるたびに、綺麗だなと思った。
鉛筆の音は綺麗だった。