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そうだったのか!脳振盪。

こんにちはアスレティックトレーナーとして活動しているコンディショニングセラピストの早坂優一です。

皆さま脳振盪についてどのくらいご存知でしょうか?
最近のスポーツ業界ではかなり問題になってきています。様々なスポーツが脳振盪対策を行っていて、ルールの変更や道具の改善など様々な再発予防や悪化をしない為の対策などが行われています。
ラグビーではルールによって脳振盪の評価をしている間、他の選手が出場できることになっております。
最近ではサッカーJリーグでもこのルールを取り入れるとニュースがありましたね。

今回は、スポーツ愛好家やスポーツに関わるご両親、これからトレーナーになる方にも知って欲しい脳振盪の知識についてシェアさせて頂きます。

見やすくて簡単な資料がありますので下記のページからダウンロードをお願い致します。

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そもそも脳振盪とは?

脳の機能に障害をもたらす外傷性の脳損傷のことであり
一般的には頭痛、めまい、記憶障害、バランス障害などがあり、病院でのCTなどの画像所見は正常である。
ノックアウトされたような意識消失は脳振盪の中でも10%以下とも言われていて、意識が飛んだから脳振盪と診断されるわけではない。

主な原因
対人対物で他の選手の体の一部にあったたり、地面やフェンスにぶつかるなど直接脳に衝撃が伝わる物と後ろからの衝撃により頚部が耐え切れず、頭が振られて頭蓋骨内部で脳が壁にぶつかり損傷するような間接的な衝撃があります。

また、小児や少年アスリートの方が大人より脳振盪になりやすく(頚部などの筋肉が未発達のため)より重症化しやすいと言われている。神経機能の低下や記憶障害が起こりやすく、治りにくいのも特徴です。
しっかりと専門の医師の診察を受けるべきです。

脳振盪の症状とは?

沢山ありますのでよく確認してみてください。

頭痛
頭が締め付けられる
頚部痛
吐き気やめまい
ぼやけて見える
足元がふらつく
光に敏感
音に敏感
動作が遅く感じる
霧の中にいる感じ
何かがおかしい
うまく集中できない
うまく思い出せない
疲れている、やる気が出ない
混乱している
眠気がある
いつもより感情的になる
イライラする
悲しくなる
心配になる
睡眠障害がある


こんなに多くの様々な症状が出る可能性があります。
それも一つだけでなく脳のダメージの場所によって様々な症状となります。
もちろん意識消失を伴うこともあります。
これらの症状が早ければ直後から、また数日、数週間続くこともあります。

脳振盪の評価

では脳振盪をどう評価するか。一般の方はこちらをご覧ください。
CRT5(concussion recognition tool)脳振盪認識ツール

CRT5 脳振盪のコピー

このような物であればポケットに入れたり持ち運びも便利です。
脳振盪疑いという状態もございますので注意が必要です。
これらに該当した場合は専門家へ


またスポーツ現場で活用されている
SCAT5(sports Concussion Assessment Tool)というツールもあります。(日本語版はSCAT3までです)
こちらはスポーツ現場で起こった際の評価をするツールです。

SCAT3におけるレッドフラッグサイン〉
・首の痛み,圧痛
・複視(ものが2つに見える)
・四肢の脱力感,燃えるような感覚
・重度,あるいは増大する頭痛
・痙攣
・意識消失
・意識状態の悪化
・嘔吐
・心的変化(落ち着きのなさ,いらだち,戦闘的な心理状態)

この様に上記の症状があれば迅速に対応しなければいけません。
ラグビー協会が主宰している有資格者ヘルスケア専門家という資格があり(早坂も取得しました)脳振盪後の復帰に関して介入する事ができます。

SCAT5では大きく分けてフィールドでの評価とフィールド外での評価を行います。


フィールド内の評価のステップ
ステップ1:レッドフラッグ
ステップ2:微候の観察
ステップ3:記憶の評価(マドックススコア、グラスゴーコーマスケール)
      頚部の評価(痛み、可動域、痺れの有無)
フィールド外の評価のステップ
ステップ1:選手の背景
ステップ2:自覚症状の評価
ステップ3:認知機能評価(見当識、即時記憶、集中力)
ステップ4:神経学的検査(指鼻テスト、タンデム歩行、BESSテスト)

このような順番でドクターまたはアスレティックトレーナーが評価します。

また、IRB(International Rugby Board,国際ラグビー評議会)が出している脳震盪ガイドラインでは下記症状が見られる場合は「脳震盪疑いとみなし,プレーまたはトレーニングを中止しなければならない」としていますのでご確認ください。

〈目に見える脳震盪の手がかり―プレーヤーに認められるもの〉
以下のうちの1つ,または,それ以上の目に見える手がかりがあれば,脳震盪の可能性がある
• 放心状態、ぼんやりする、または、表情がうつろ
• 地面に横たわって動かない / 起き上がるのに時間がかかる
• 足元がふらつく / バランス障害または転倒/協調運動障害(失調)
• 意識消失、または、無反応
• 混乱 / プレーや起きたことを認識していない
• 頭をかかえる / つかむ
• 発作(痙攣)
• より感情的になる / ふだんよりイライラしている
〈脳震盪の症状―プレーヤーから訴えられるもの〉
以下のうちの1つ,または,それ以上の兆候や症状があれば,脳震盪の可能性がある
• 頭痛
• めまい
• 意識混濁、混乱、または、動きが鈍くなったような感じがする
• 視覚障害
• 吐き気、または、嘔吐感
• 疲労
• 眠気 / “霧の中”にいる感じ / 集中できない
• “頭が圧迫される感覚”
• 光や音に過敏
〈質問―プレーヤーへ質問すること〉
以下の質問のいずれかの回答に誤りがあれば,脳震盪の可能性がある
• 「今日の試合会場は、どこですか?」
• 「今は前半ですか? 後半ですか?」
• 「この試合で最後に得点したのは誰?」
• 「先週/前回の試合の対戦相手は?」
• 「前回の試合は勝ちましたか?」

脳振盪から安全に復帰するために

さて、脳振盪から安全に復帰するのがとても大切になりますが、どのようにして復帰すべきなのでしょうか?

段階的復帰プログラム(Graduated Return-to-play)という物があり以下のように段階的に復帰するための条件などが示されています。

○脳振盪の諸症状がおさまった後に段階的に競技復帰まで進めていく
○全6段階のプログラム(6段階目が競技復帰)
○GRTPは最低限の安静期間を経て、かつ安静時での症状が消失してから開始すること
○各段階で24〜48時間事に症状が発生、残存、悪化していない場合に限り、次の段階へ進めます
○特に中学生以下は必ず48時間以上経過しなければ次の段階に進む事ができない。
○症状が発生、残存、悪化していたら一つ前の段階に戻る

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そして下記の表がショートトラックはどうしたら良いかとドクターと相談し作成させて頂きました。球技やコンタクトスポーツと少し違うので考えるのも苦労しました。

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第一段階では子供は勉強やスマホなども制限する事推奨されています。
脳への刺激を減らしましょうという事ですね。

今回は難しい話になってしまいましたが、脳振盪を取り巻く環境が少しづつスポーツ界のルールなども変わってきています。
先日大相撲で物議をかもし出しましたが、後遺症などが残らない社会になるといいですね。
ささっとまとめただけなので少しづつ改善していきます。







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