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おでことおやつ

         吉川葉子

公園のシーソーであそんでいた
小学五年生のまきちゃんとわたし
まきちゃんが突然バランスをくずして
上からすべり落ちてきた
わぁーと叫んだまきちゃんの前歯が
そのままわたしのおでこにささった
まきちゃんは前歯を痛がるし
わたしのおでこからは血が出るし
とにかくわたしの家に二人で行くと
┉┉┉あらあら  まぁまぁ
母はちょっとわらいながら
二人になにかそれなりの手当てをして
それから  おやつの包みを二つ作ってくれた
白い紙をきゅっとひねったそれを持って
わたしたちはまた公園に出かけ
まず包みをほどいて
ビスケットやチョコレートのおやつを食べた
すっかりおわると
もうどこも痛くはなくなって
それから
また遊び続けたのだった

わたしのおでこはしっこには
今もうっすら小さな傷あとがのこっている
そっとさわると
あの日がほのぼのと  なつかしい

※詩誌「爪」146号

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