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書評とは如何に興味を持ってもらうかだ

【珈琲のすべて エイ出版】
「この豆は何処へいくの?」
朝も明けきらぬうちから自分の体重ほどもあろうかと言う麻袋をその小さな肩にギシギシ食い込ませていたカルロスは目の前の薄暗闇に問いかけた。小さい身体に染み込む焙煎前の豆の香り。未だ見ぬ珈琲の薫りはバイーアの汗なのか南米の混沌が生む涙なのか。父親のハメスは答える「ソレを考えるのは白人(グリンゴ)だ。俺たちは爪が剥がれようが血吐を吐こうがただただ繰り返すだけさ。そう、200年前からな!」カルロスは父の瞳の奥に微かに燃える焔を感じた。その時、背中の麻袋が得体の知れない化け物のように思えてきた。
「こ、珈琲..」
カルロスはまだ見ぬ化け物に珈琲と名を付けた。彼がそれまで口にしてきたものは渇望と血の味だけだった。

エイ出版「珈琲のすべて」
絶賛発売中でーす(*´ω`*)


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