VRChatとwikiと私

-はじめに

2018/08/07から2019/12/22まで一年ちょっとの短い間ですが「yagura Lab.(VRChatのための記事集wiki)」を公開していました。

wikiの公開終了に際して、VRChatとの出会いからのだいたい一年ほどを、私が見てきた範囲ではありますが振り返ってみることにしました。


-VRChatとの出会い

VRChatとの出会いの前に、2017年の年末にtwitterを通じて「男性が狐娘の3Dモデルを使って男声のままYoutuberの真似事をする動画」との出会いがありました。
ゲームプレイの配信スタイルとして、Facerigを使ったアニメ調の女性キャラクターをはじっこに挿し込んで、配信者である男性の声を載せるという手法は過去に見たことがありましたが、それはあくまで添え物としての女性キャラクターでした。
しかし、この動画はそうではなく、女性キャラクターの3Dモデルから演者の男性の声がそのまま発せられており、生身のYoutuberがそうであるように、演者自身が前面に押し出され、コンテンツそのものになっているという動画でした。

この動画の投稿者こそ、当時「バーチャルのじゃロリ狐娘Youtuberおじさん」を名乗っていたねこます氏でした。それまで、自分はYoutuber等の動画を積極的に見たことはなく、軽い興味本位で見始めたのですが、彼の作る動画は、決してただの出オチなどではなくどれも見ごたえのあるものだったので、一度見た動画を何度も繰り返し見たり、新しい動画の投稿を心待ちにしていた覚えがあります。

そして、彼の動画を追っていくうちに第七回の動画でVRChatが紹介されます。その動画で、VRChatプレイヤー達が各々自由な見た目のアバターを纏い、身体を動かしつつコミュニケーションをとっている様子を目の当たりにし、これはとんでもない世界が…いや、ちょっと先の未来が、手の届くところに存在するんだと打ち震えました。

当時は、VirtualYoutuberという新しいスタイルの動画とともにVRが注目され始め、幾度目かのVR元年とも言われていた時期であり、ねこます氏の動画でなくても、ほかのVirtualYoutuberによる動画でVRChatとの出会いを果たした人たちも多かったと思います。あるいは、海外のVRChatプレイヤーがYoutubeで公開していた、2人組の櫻歌ミコちゃんがイチャイチャする動画を見て興味を持った人も多いのではないでしょうか。

また、自分は以前からモデリングというものに興味があったのですが、それまでとっかかりが掴めず手をだしあぐねていました。VRChatの世界で使うアバターに関して、当時は販売アバターも無く、自分の望んだ姿は自分でモデリングすることで手に入れる、というのがあたりまえの認識でした。モデリングに挑戦する機会とその成果物を活用する機会が同時にやってきた、というこの千載一遇のチャンスに乗らない理由はありませんでした。


-やらなければはじまらない

動画で自らネタにしていたように、当時はコンビニ店員だったねこます氏が、ITエンジニアへの転職を勝ち取るためのポートフォリオのひとつとして自ら出演する一連の動画を作っていた、というのは普通に考えたら狂気の沙汰なのですが、この時まさにエンタメとしてのVR、VirtualYoutuberに耳目が集まっていたこともあり、結果、彼は見事就職を勝ち取ることになりました。ねこますさんが無事に就職できて俺も鼻が高いよ!と思ったファンは多いでしょう。
もちろん、最終的には彼の人柄や意欲、造詣、実行力などなど彼のポテンシャルが評価されたのだと思いますが、時流が完全に彼に対しては追い風になり、チャンスをつかむことが出来たのだということは、自分を含めて多くの人に勇気を与えてくれたことだと思います。


-そしてVRChatへ

手が届きそうなちょっと先の未来、人々が任意の見た目で交流できるあの世界にどうやったら入ることができるのだろうか…とわけのわからぬ熱気のようなものに押されて、私はすぐにGoogle検索で情報収集を始めました。
日本wikiは当時からありましたが、まだまだ情報量が非常に少なく、必要なVR機材、PCのスペック、導入すべきソフトウェアの数々…等がイマイチわかりませんでした。

調べなければならないことが非常に多かったので、逐一資料を書き残しながら、SteamとUnityとVRChatのアカウントを取得し、それぞれをインストール、CPUをアップグレード、ビデオカードを買ったらケースに入らなかったので買い直し、HTC VIVEを注文し…2017年の年の瀬にちょろっとデスクトップで試しにインした後、2018年1月5日には無事VRでVRChatに降り立つことが出来ました。

当時はトラストシステムが無かったので、最初からワールドとアバターをアップロードすることが出来ました。この時は、まだアバターの自作には着手していなかったので、ねこます氏の「配られる狐」ことみここちゃんの姿を借り、テクスチャの色替えをしたものをセットアップし、自作アバター完成まではこの姿でVRChatを楽しむことにしました。

また、当時はHomeワールドがなく、ログインするとPublicのHubワールドから始まる仕組みだったので、利便性のためにマイワールドをとりあえず作っておくのも有用でした。このカンタンワールドをセットアップするためのチュートリアル動画(現在は削除されています)もねこます氏の手によるもので、彼のVRChatを知ってほしいという情熱には大いに影響を受けました。

twitterでフレンド募集をしていたこともあり、自分のフレンド登録第一号はねこます氏なのですが、実はまだお会いしたことがありません。単純に人が多いところが苦手なのと、始めた当時は自分のPCも古かったのでCPUの能力が若干足らず、VRChat側も今ほど最適化されていなかったので、10人以上いるインスタンスは物理的に厳しかったという事情もあります。


-ゲームの世界に入れるという体験

ねこます氏の動画で見たあの世界に足を踏み入れたい、という強い衝動に突き動かされ、いざHMDを装着しVRChatに飛び込んでみると、そこに広がっていたのはまさしく想像した通りの世界でした。それは、自分がゲームの中に入り、あたかも自分がその世界の住人になったのような、今まで経験したことのない出来事でした。そして同時に、この面白さは体験してもらわないとわからないだろうな、ということも感じました。

VRChatでは、アバターを通じてリアルタイムに、場所と見た目を超越したコミュニケーションをとることが出来るということ、そして、そういった体験をもたらしてくれるVRの可能性を、もっと多くの人に体験して欲しいという気持ちも同時に沸き起こって来たのです。


-日本wikiへの寄稿

VRChatのために勢い機材を揃えて自前のアバターを導入し、各種基本的な操作を一通り理解するところまでやってみると、これは思っていた以上にハードルが高いな…と感じました。なにしろ知らなければならないことが非常に多く、たとえばVR機材、モデリングやUnityはそれぞれ別の分野ですし、専門性が高いので身の回りには相談できる相手もいませんでした。

もちろんそれ以前の、wikiすらなく、日本人もほとんどおらず、オンラインのプレイヤーはだいたい見たことある人達だったという時期であっても、強い情熱をもって自力でたどり着くことが出来た人たちも当然居るわけです。
そして、自分は彼らが残してくれたノウハウによって助けられた側の人間です。しかしながら、VRChatは人ありきの世界なので、自分より後からVRChatに興味をもった人たちが、途中で挫折してしまうことや、あれこれ独自に調べている時間が、もったいないと考えるようになりました。

そこで、検索上位に出てくるもののまだ記事も少なかった日本wikiに目をつけました。日本wikiは編集権限が開放されているうえ、アクティブな編集者も居ないようなだったので、まずはそれまで自分が手元に書き留めていた内容を元に「よくある質問」を整備しました。

そして、1月からblenderを触り始めたので、その時に集めた資料を中心に「アバター作成 自作編」を整備しました。Humanoidボーンもこの時期から配布していました。この二本を中心に、2018年の4月ごろまであれこれ加筆修正していたように思います。


-wikiとは

詳細は他に譲りますが、大雑把にはweb上で記事の共同編集ができるwebページ生成システムのことです。Wikipediaは皆さんご存知だと思いますが、あれこそ最も有名かつ大規模なwikiシステムを使った事例で、wiki+cyclopedia(百科事典)でWikipediaです。
wikiは、一般的なブログやウェブサイトに比べ、誰でも編集に参加できるという点で優れていて、日々情報が散逸していく問題を解決するためのひとつの答えだと思っています。そして、個人的にはマークダウン記法によって、表示指定をメモ帳で下書きをしている段階から簡単にできる点も気に入っています。

しかし、wikiは複数の編集者全員の善意によって記事の整備がなされることが前提の仕組みなので、一部編集者によって恣意的な編集がなされることもあり、規模や内容によっては慎重な運用が求められることもあります。例えば、Wikipediaのように実際に記事を編集するまえに話し合いの場を設けているタイプのwikiもあります。また、悪い例として良く知られているのは、新作ゲームが出るたびに攻略を標榜し設立されるも編集は他人任せの作りっぱなしで乱立されるwiki群であり、あれらはすべて滅ぼされるべき忌まわしい存在です。


-BlenderとMagicaVoxel

アバターを自作するにあたっては、まず、モデリングソフトを選択する必要があります。いろいろな選択肢があるのですが、自分は書籍やチュートリアル動画など日本語の情報が充実していて、しかも無料で使えるBlenderを使って作ることにしました。本を何冊か買って、ネットでも調べたりしながら自作モデルづくりに励んでいたのですが、なんだかんだ人前に出せるようになるまでに二か月ほどかかりました。
そう、キャラクターのモデリングには非常に時間がかかるのです。そこで、Blenderのようなモデリングソフトを使う場合であっても、最初はカップなどの無機物を作ってアバターとして使うというアイデアも良く言われていました。かくいう自分も、一番最初に用意した自作モデルは湯呑でした。

それとは別に、VRChatを初めてすぐ位に、MagicaVoxelというモデリングソフトがあると聞きました。まるでレゴブロックを積みあげるかのように、簡単に3Dモデルを作ることが出来るソフトで、仕上がりにはドット絵のような美しさがあります。操作もシンプルで分かりやすく、モデリング初心者でも短期間で自作アバターを用意できるようになるので、非常に良い選択肢だと感じ、すぐに日本wikiに紹介記事を書きました。もともとは自作編の一部だったのですが、現在は「アバター作成 ボクセル編」として独立しています。


-後半

ここまでは、全体的だったり、テーマに沿った振り返りでしたが、ここからは、時系列に沿って当時を振り返っていきます。


-2018年1月17日 Fantasy Shukai jouの一時閉鎖

当初、自分の活動範囲は主にAvatar testing、Presentation room、Fantasy Shukai jouのみっつで、PCスペックの都合でだいたい10人前後のPublicインスタンスを覗いて混ざれそうなら混ざっていく遊び方をしていました。Avatar testingにはピックアップオブジェクトが多数配置されていて、無言勢でも遊べるようになっていましたし、Presentation roomには綺麗に同期するペンが置いてあり、これもコミュニケーションを助けてくれるアイテムでした。Fantasy Shukai jouは作者が日本人であったこともあって日本人には良く知られたワールドで、日本人と遊びたい海外プレイヤーも多かったと思います。

当時はあいてる時間を全部つぎ込む勢いでインしていたので、時間帯によってプレイヤーの国籍に偏りがあり、世界の広さと時差を感じられたりして面白かったです。しかし、ある時からハックツールの存在が取り沙汰されるようになり、Fantasy Shukai jouはハックツールの難を逃れるべく1月17日から一時閉鎖(~2月28日まで)されてしまったため、しばらくPublicインスタンスにおける日本人の居場所が不安定になってしまいました。


-2018年2月08日 Japan Shrineの公開

それまで公開されていた色々なワールドの水準を超えた、圧倒的なクオリティのこのワールドの登場に衝撃をうけた人は多かったと思います。自分もJapan Shrineにほれ込み、公開されてから3月末ぐらいの間、Publicで遊ぶ時はここに入り浸っていました。公開されてから、日々ワールド内に滞在する人数が増えていったので、このワールドに関するツイート等を見てVRChatに興味を持った人もそれなりに居たのかもしれません。
また、モチーフが完全に日本の神社で完成度も非常に高かったので、日本や日本のものに興味を持っている海外プレイヤーと容易に交流できたというのも良い環境だったと思います。

この時期、日本人はハックツールが怖くてPrivateに引きこもっていると評する向きもありました。しかし、自分の場合はハックツールの影響というよりは、誰かが作ったワールドやギミックを見たり見せたりという交流が活発化していたので、Publicでの活動がだんだん減っていった時期でもありました。おそらく自分と同じぐらいの、年末年始ぐらいに始めた日本のプレイヤー達も同様に顔見知りが増えてきて、ワールド作りにチャレンジする人が現れていったために、自前のワールドを中心とした活動に軸足を移していったのではないかと考えています。ある種の部活動のようなグループを標榜する集団も続々現れ始めていたので、それもその状況を補強していたのではないかと考えています。


-2018年2月17日 空飛ぶ箒の公開

空飛ぶ箒システムは、日計さんのアイデアを元に、ブタジエンさんがワールドギミックとして実装したものです。これまでワールド内を歩くことしかできなかったVRChatにおいて突然、空を飛ぶことができるようになったという革新的なギミックでした。本項では触れませんが、これはその後長らく続く同期との戦いの始まりでもありました。


-2018年2月22日 自作アバターの進捗

前述の通り、ここまでくるのに2か月ほどかかりました。自作アバターでVRChatに行くぞ!という強い情熱なくしては、ここまでたどり着くことはできなかったでしょう。実は、どうせ素体のモデリングには時間がかかるだろうと踏んで、服のデザインは決めずに作り始め、このツイートの数日前に確定させたのでした。その後、ウェイト調整を施し、リップシンクを実装して、ひとまずの完成としました。


-2018年2月26日 イワシの胎動

技術勢イワシ派として知られる自立さんイワシの出会いです。当初からいろいろなギミックを研究、実装してはフレンドを集めてテストを繰り返していました。イワシはとても優秀な素材だったので、捨てるところはありませんでした。何事も試行錯誤の繰り返しで育まれていったのです。


-2018年3月3日 VRChat 技術メモ帳の公開

1月末ぐらいから、自分の周りでは自前ワールドを媒介にした交流が活発化していきました。VRchatはUnityベースではあるものの、スクリプトは使えないので、ありもので何ができるのか手探りでVRchatと向き合っている人たちがいて、彼らは技術勢と呼ばれるようになりました。そのうち、彼らは海外の技術勢とも交流するようになり、その先進的なノウハウを取り入れ、ギミック開発を加速させていきました。

そんな彼らと交流していくなかで、色々なノウハウがtwitterやDiscordで流れていってしまうことに対する危機感が、共通認識として高まっていました。VRChat SDKのコンポーネントについては、naqtnさんブログにかなりまとまってはいましたが、それ以外の情報も一か所にまとめる場所が欲しいと考えるようになりました。そこで私が提案したのがwikiです。wikiならば参加者それぞれが掴んだノウハウを書き込んでいくだけで、全体として底上げができるし検索する時間や車輪の再発明のような無駄も省けるだろうと考えました。

日本wikiはこれからVRChatを始めたい人たちに対する窓口としての役割があるので、込み入った内容、ワールド制作に関しては敷居が高いのでは分けたほうが良いだろうということで、新たに立ち上がったのが技術メモ帳です。これは堕電さんが用意してくれました。

技術メモ帳は、主にワールドギミックについてのノウハウを集積する場所として誕生しました。性質上、若干とっつきにくい内容ではあるのですが、多数の編集者が参加してくれており、ワールドに関する色々なギミックやノウハウが集積されています。自分は、空飛ぶ箒システムの解説、ワールド作成入門、ワールド作成ヒント集あたりを主に執筆しました。


-2018年3月27日 シェーダー芸の到来

スクリプトが使えないはずのVRChatのコンテンツ制作において、唯一コードを書ける場所、それがシェーダーです。当時、自分の周りにもシェーダーの可能性に注目していた人たちは居ましたが、手がかりが少なく習熟に難儀しているようでした。そんな中、3月末(?)にphi16さんがその完成品を持って現れました。

ライフゲームを組み込んだ壁紙、かんたんなゲーム機、傾きに水面が追従するグラス、変化する背景、形状が変化するろくろ回し機、プログラミングのような知育玩具など、多彩なアイデアに圧倒され、また同時にシェーダーの可能性をつきつけられ、衝撃をうけました。その後、phi16さんは、技術メモ帳にシェーダー芸入門を書いてくれました。

# シェーダーの表現力ではオブジェクトの位置などは変えられませんが、見た目を変えるという一点だけでもこれだけの表現の幅がもたらされるという素晴らしい作品群でした


-2018年4月3日 物理演算で飛ぶミサイルの開発

やまとじさんの作品ですが、大質量のミサイルを物理演算で飛ばすという試みです。このノウハウを応用して作られたのが、「J2M Raiden TestAirfield」(2019年4月2日公開)で、戦闘機に実際に乗って飛べる、フライトシムのようなワールドに仕上げられているのが特徴です。


-2018年4月8日 ボクセル仙狐さん

4月10日の仙狐さんの1巻発売に合わせて作ったファンアートです。ボクセルなので丸1日で完成させることができました。ボクセルの手軽さはとても良い物です。この時はまだ、まさか仙狐さんがアニメ化するとは露ほども思っていませんでしたが…仙狐さんが人気で俺も鼻が高いよ!


-2018年4月15日 toyboxの伝来

技術勢の交流の成果のひとつとして、Jason Lim氏から「toybox」がもたらされました。これは、StandardAssetsからVRChatで使える機能を組み合わせて新たな機能を生み出したり、VRChatで動くように調整したものの詰め合わせで、主にhatsucaさんが技術メモ帳に解説を書いてくれました。残念ながら、自分はtoybox未履修なので詳しいことはわかりません。

もともと何かをつくること自体は好きなので、toyboxに興味がないわけではなかったのですが、やはりアバター作りに専念したかったのと、ワールドギミックの深堀はこれ以上難しいなと感じ始めていた時期だったことと、新しい人たちが参入してきていたこともあって、この頃から段々技術勢とは疎遠になっていきました。


-2018年4月29日 VerticalRidingの公開

2018年2月後半から、一部界隈で空飛ぶ箒システムが盛り上がり、いくつかのワールドが作られました。公開されているものの中では、synqark氏が作った「TwinDrive Testrun」で遊んだことがある人も多いと思います。そこに置かれた乗り物TwinDriveは若干VR酔いしやすい部分もありますが、ワールド全体の雰囲気、ギミックの安定感などとても完成度が高いワールドです。Prefabが配布されたようで、同じタイプの乗り物がおかれたワールドもいくつか見かけました。

また、VoxelKeiさんが作った日本列島を上から眺めることができる「Japanland sky、Japanland nightsky」も良く知られていると思います。そこに置かれた乗り物ハンディスカイは、酔いにくさに重点が置かれた設定がされているので安心して乗れるのが特徴です。

そういった、皆さんの作品から刺激をうけて、ハンディスカイのリミッターを解除したら面白いのではないかというアイデアからスタートして、自分も4月末に空飛ぶ乗り物を軸にしたワールドを作るに至りました。

「VerticalRiding」は、両手にリモコンを握り縦に飛んでいく乗り物がメインのワールドで、いろいろ自分が好きなモチーフを盛り込み、土日の48時間をフルに使って一気に作り上げたワールドです。
とはいえ、初回アップロード時点では色々見落としがあったため、完成とするには何度かアップデートが必要でした。自分も何かワールドを作ってみたい、という思いはこれで達成されることになったので、その後はアバターいじりに軸足を移すことにしました。


-2018年5月ごろ

どうやら韓国でJapanShrineが登場する配信がバズったらしく、VRChatに韓国ユーザーが続々参入してきたようです。この時期になると、自分はすでにPublicインスタンスからは完全に遠ざかっていたので、どういう空気だったのかは分かりませんが、伝え聞くところによると、海外プレイヤー同志が日本語で交流するという奇妙な状況が、この時期から生まれてきたようです。


-2018年5月15日 自分用wikiの設置

それまで、日々twitterで流れてくるノウハウや自分で調べた内容等を手元のメモ帳に書き込み、必要に応じて日本wikiと技術メモ帳に転記していたのですが、両wikiのコンセプトに当てはまらない内容も増えてきたうえ、更には目的の情報にたどり着くのに時間がかかるようになり、ただのメモ帳で管理するのがいよいよ難しくなってきました。
さてどうしたものかと考えみたところ、それまで自分以外に日本wikiに参加する人がほとんど現れなかったので、これなら自前でやってても同じだと思い至り、自分用にwikiを立ち上げることにしました。


-2018年6月11日 アークトラス販売開始

それまでアバター向けモデルは自作するのが最適解だったのですが、あいんつ氏がVRChat向け3Dモデルとして「アークトラス」を1080円で販売開始したことで、アバター用モデルを購入するという選択肢が注目されるようになりました。すなわち、キャラクターモデルを製作して販売することにも、同時に脚光が当たるようになったということです。

# なお、アークトラスは現在、販売終了しているため手に入れることはできません。


-2018年8月5日 yagura Lab.の公開

自分用wikiを整備していくうち、寄稿した内容の取り込みも完了してしまったことと、たくさんの人にVRChatを楽しんでほしいという当初の願いもあったので、一般公開することにしました。


-2018年9月1日 VRC_Pickup ABCの公開

以前、技術メモ帳に寄稿した「ワールド作成ヒント集」にのせるサンプルワールドとしてざっくり作ったものをPrivate設定で公開していたものですが、身の回りでワールド制作を進めるにあたってPickupについて知りたいという需要があったので、Public公開用に整備しました。


-2018年10月27日 箱市の開催

当時、前述のボクセルモデルには多数の愛好者がおり、また、ボクセルモデルに絞った展示会がやりたいと考えたたましこさんの主催による「箱市」(当初はボクセルマーケットとして立案された)が開催されることになりました。ボクセルで作られた街並み、そこに立ち並ぶ出展社のブース達、それを見て回るボクセルアバターをまとった参加者…ハッシュタグ「#箱市」でtwitterを検索していただければ、会場の雰囲気を感じられると思います。


-2018年10月31日 フルトラ化

元々部屋にモノが多く、立位スケールでギリギリぐらいの環境だったのですが、8月ぐらいから身の回りの片づけを進めていって、ようやく自分の環境が整いフルトラ化できたのが10月末でした。日本wikiには4月ぐらいからフルトラの記事がありましたが、実体験を踏まえることでようやく自分の手でフルトラのための記事に着手することが出来ました。


-2018年12月20日 初心者向けガイダンスの拡充

引き続き新規プレイヤーが参入してくる気配があったので、初心者向けの記事を整備することにしました。


-その後、wiki公開終了まで

2018年、2019年とたくさんの人がVRChatにやってきました。何らかの事情でVRChatから離れてしまった人もいますが、それでもVRchatに関わり続けた人たちには相応にノウハウが蓄積され、相互扶助が可能な環境ができあがってきていると感じています。

VRChatプレイヤーが主催するイベントも多数あり、そういったユーザーイベントを告知するポスターが有志によって提供されていたり、なかでもマッスン氏が主宰するアバター自作交流会は2018年6月から継続的に開催されており、アバターを自作したい人、した人たちで毎度賑わっているようです。

また、交流の場としてたましこさんが公開しているチュートリアルワールドでは、VRChatを始めたばかりでVRChatを知りたい人たちと、初心者を出迎えたい経験者達が交流できる環境が出来上がっています。

交流のステージはVRChatだけにとどまらず、twitterでも「#VRChat始めました」タグでフレンド募集をしたり、作業上の質問をすれば返事が返ってくるのを見かけます。また、個人Discordサーバーが立ち上がっているのを見かけますので、そこでもまた、有意に交流がなされていることでしょう。

最近、実用的なブログ等を積極的に公開する人たちや、新たに日本wikiを編集する人たちも現れ、必死に検索して情報を集めなければならなかった2年前とはまったく状況が変わってきました。そういう盛り上がりを見ているうちに、迷子になってしまう人達を助けたいという使命感も薄らいできて、あぁ、自分の役目は終わったんだなと感じるようになりました。

VRChatと出会うことで、以前からチャレンジしたかったモデリングに一定の手ごたえを感じることができました。VR空間におけるアバターを通じたコミュニケーションには、大きな可能性を実感することができました。そして、VRChat以外のVRコミュニケーションツールもいくつか登場してきており、今後もVRは着実にその役割を与えられ、広く浸透していくことを確信しています。

自前のwikiの公開は終了しますが、今後もVRChatでの交流やモデリングを楽しんでいきたいと思っています。

最後までご高覧いただき、ありがとうございました。

また、VRChatでお会いしましょう!

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