男5人箱根の旅館で毎年やってる「1年振り返り会」が有益なのでやってみてほしい
実はもう10年以上、同じメンバーで「1年振り返り会」というものをやっています。
最初は大学時代の友だち数人と「年末に旅行しながら1年の振り返りみたいなのをやろうか」というノリで始まったのですが、「40人のビジネスパーソンが絶賛した1年の振り返り完全マニュアル」という記事を読んでからは、このフォーマットに沿ってやることにしました。
この振り返り会のおかげで僕自身も、会社も、そして参加している友だちも成長できている気がするので、今日はこれをオススメしたいと思っています。
【「1年振り返り会」の基本的なやり方】
詳しくは記事を読んでもらうのがいちばんなのですが、記事で紹介されているやり方を簡単に紹介します。
①振り返り会は4人1組で行なう(僕らは5人ですが)
②1人1時間ずつ「1年の振り返り」をする
③聞いている3人はそれに対して質問や投げかけを行なう
これをやる場所について、記事には「喫茶店などのリラックスできる場所」とあるのですが、僕らはよりテンションが上がるように箱根の旅館に泊まり込みでやっています。
「振り返り会」をやると何がいいのか?
来年の抱負を考える機会はありますが、今年の振り返りをやる人は少ないと思います。僕も、この「振り返り会」がなかったら絶対にやってなかったと思いますが、やってみるといろんなメリットがあることに気づきました。
ざっとご紹介します。
①この1年を肯定できる
自分の1年を整理して他人に話すという過程を経ることで、いろんなことに気づける効果があります。やってみると今年前半のことって意外に忘れてたりします。「ああ、今年はこんな学びがあったな」とか「けっこう前進しているし、1年がんばったんだな!」と肯定できたりもします。
②PDCAを回せる
PDCAを回せる、というのもメリットです。
1年を振り返ることで「ここでもう少しこうやってできたかもな」とか「ここはこうやってうまくいったから、今後同じようなことがあったら参考にできるな」と気づけたりもします。
振り返ることで「自分の思考のクセ」「行動のクセ」みたいなものに気づいて修正したり、将来起こることへのヒントを得ることができるんです。
ちなみに僕で言うと、だいたい2年に1回くらい組織のことで悩んでいるので「そろそろ何か起こるかもな。前倒しで対策をしておかないとな」と思えたりします。
③「同じことで悩んでるな」と気づける
何年も振り返り会を続けていると、自分が同じようなことで悩んでることに気づきます。すると「同じことに悩んでいるのがイヤだな」と思って、がんばれるようになるという効果があります。
「次のステップに行きたいな」「来年も同じことを言うのがイヤだな」と暗にプレッシャーがかかるんです。振り返り会があるからこそ「がんばろう」と思える。失敗してもいいからチャレンジしてみようと思えるようになる。
振り返りを発表するので、友だちから「去年も同じこと言ってたよね?」みたいに言われるのはちょっと恥ずかしいんです。「進歩してない感」が恥ずかしい。毎年ちょっとずつ進歩してることを示したいから、結果1年がんばれるという効果はある気がします。
④客観的な視点が得られる
振り返りを他人に話す、という部分もポイントです。
自分の1年を他人に話すことで別の解釈をされたりすることもあります。「今年1年ぜんぜんダメだったな」と思っていても、客観的に見ている友だちからは「めちゃくちゃ前に進んでるね」と言ってもらえたりもする。そこでも気づきがあります。
⑤つらいこともネタになる
「すごくつらい1年だったな」と思っているときも、他人に話すことで心が軽くなるという効果もあります。
30代のときはずっとマイナスの話しかできない年もありました。でも、客観的に聞いてもらうと「え? 大した悩みでもないんじゃない?」と言ってもらえて、心が軽くなったりする。
不思議なのが、調子がいい年の話は聞いていて面白くないんです(笑)。大変な1年の話のほうが面白い。「いやあ、お前大変だったね!」とか「なんでそうなったの?」「どう切り抜けたの?」と聞くのが面白い。
その点で「今年はぜんぜんダメだったわ」と言える関係性のメンバーでやるといいかもしれません。僕らは何年もやっているので「そういう年もあるよね」とお互いに思えます。
他人の視点が入るというのは、思った以上に効果があるんです。
⑥相談できる
振り返りの発表の延長で、相談のようになることもあります。これも貴重なんですよね。
社長とか管理職になると、部下の前で弱音を吐けなかったり、孤独だったりもします。そんな中で飾ったり格好つけたりせずに、素直に悩みを相談できる場所は非常に貴重です。
あと、他人の1年の話を聞くことで学びがある、というのもメリットです。同じような悩みを抱えている人がどうやって乗り越えたか、といった話を聞くといろんな気付きがあります。
⑦踏んばり時にみんなの顔が浮かぶ
しんどくてサボりたいなと思っちゃったときに、振り返り会のメンバーの顔が浮かんで「踏ん張らなきゃ!」と思うこともあります。
年末が近づいてくると「そろそろ振り返り会だな。そういえば、目標まで後少しだな」と思って、ラストスパートがかかったりもする。「最後がんばろう」と思えるんです。
振り返り会という「区切り」があること。そして「他人に見てもらうこと」が大切なんだと思います。
しかも僕らは、お互いに負けたくないし、一緒に高みを目指そうという向上心を持ったメンバーとやっています。だから余計に「がんばろう」と思えるし、日々の仕事にハリが出るんです。
「振り返り会」はこうすればうまくいく
振り返り会のメリットをいろいろ語ってきました。ここからは具体的なやり方とうまくいかせるコツ、続けるコツについてご紹介します。
①メンバー選び
振り返り会は「メンバー選び」が肝だったりします。
冒頭の記事では「メンバーが満たすべき条件」として
とあります。
僕は大学時代から仲のよい5人で始めました。ポイントは同じような価値観、視座を持った友だち、知り合いを集めることです。「年末に1年を振り返る会」というのは、人によっては恥ずかしいし、なんか意識高い系っぽくて嫌だな感じる人かもしれません。僕らはそこで恥ずかしがったり、茶化したりしないメンバーでやってます。
できれば年は近いほうがいいと思います。やっぱり20代の若手と40代中盤の管理職とかだとフェーズが違う。できれば同じぐらいのフェーズの人とやったほうが面白いんじゃないかなと、10年やってみて思います。
業界や立場は違うほうが面白いと思います。僕らの参加メンバーでいうと、戦略コンサル、メディア、投資家、公認会計士、スタートアップとバラバラです。
みんな業界が違うと「他の業界はこんな感じになってるんだな」と知ることができます。たとえば僕は大企業にいたことがないので「大企業ってそんな感じで出世していくんだ」というようなことを知れたりして勉強になります。
②「振り返りシート」を書く
振り返り会の当日までに「振り返りシート」を書いておきます。シートを埋めるのは1時間くらいでしょうか。
(先ほどの記事からシートがダウンロードできますのでぜひ。)
シートにはこんなことを書いていきます。
「振り返り」は、このシートを書くときから始まっています。
僕はシートをちょっとだけカスタマイズしています。最初は記事で紹介されていたフォーマットどおりにやっていたのですが、来年の目標を書く欄がないので追加しました。
ちなみに僕の2022年の振り返りシートはこんな感じです。
「記号」というのは、3ヶ月のクオーターを自分なりに一言でまとめたものです。僕だと「1月から3月」のところには「焦燥」と書いていますね。資金調達環境の悪化を受けて、不安や焦りを感じている様子が見て取れます。
「人物」はその期間でキーパーソンだった人を書きます。お世話になった人や気づきをくれた人、プロジェクトのキーマンなどを書いています。
こちらのシートは、口頭でストーリーを語る上で指針的な役割なので、あまり書き込みすぎずに軽くキーワードを記載するくらいで良いかなと思います。
シートは当初は紙に書いてやっていましたが、数年前からグーグルスライドに変えました。話すときに共有できれば、どちらでもいいと思います。数年分を見返すと、この時期は何に悩んでいたかが一目でわかり有益です。
③30分かけて語り、30分かけて質問を受ける
「振り返り会」当日は、ランチなんかをしながら順番にひとりずつ発表していきます。
だいたい1人の枠が1時間くらい。前半30分は発表者がシートをもとに1年間のことをしゃべって、後半30分はみんなから質問してもらいます。
プレゼンは別に気負うことはなくて、普通にシートを見ながら「1月から3月はこんなことがあって、一言でいうとこういう時期だったね」というように時系列で話していきます。僕だったら「スタートアップ冬の時代に突入して、1月から3月の間は調達できるかめちゃくちゃ不安だったね」というように話しました。
自分の1年をストーリーとして、流れで語ることで思わぬ気づきがあったりもします。
思考や行動を深ぼりしていく
プレゼンが終わったら、質問をしてもらいます。
質問者は「発表者の思考や行動を深掘ってあげること」がポイントです。何かが起きたときの心理状況やそれに対するアクションを聞くわけです。「このタイミングでは何を考えたの?」とか「なんでそういう行動をとったのか?」みたいな感じですね。
もちろんシンプルな質問でも大丈夫です。他の業界の話を聞いて「なんでそういう慣習なの?」「なんでその施策をしたの?」と質問しても問題ないと思います。
僕自身、これによって見え方が変わることは毎年あります。「自分としてはこうやって解釈してたけど、そういう見え方もあるんだ」とか「たしかにここは転換点だったな」と気づくことはけっこうありました。これは誰かと一緒にやる醍醐味ですね。
「否定」ではなく「共感」を
普通に相談することもあります。
「こういう事業をやろうと思ってるけどどう思う?」とか「組織でこういう問題が起きてるんだけどどう思う?」と聞くと、別の視点からの意見が聞けるので参考になります。
メンバーの関係性にもよりますが、相談やアドバイスは振り返り会のメインではないので、あまり突っ込みすぎなくてもいいと思います。下手をすると上から目線で「こうするべきだよ」みたいになってしまいます。
ポイントは終始「共感」することだと思います。
「なるほどね」「わかるよ」という感じ。そうじゃないと、どんどん本当のことが言えなくなっていってしまいます。「またあいつに変なツッコミされるんじゃないかな」と思ったら本音が言えません。全員が安心して話せる場を作ることが大切です。
ちなみに僕らの場合、話すのは「振り返り会」のときだけではありません。
みんなで旅館に一泊するので、温泉に入るときとか、朝食のときに「あの話だけどさ」みたいに盛り上がることもあります。最後は箱根神社で祈祷してもらうのが恒例で、その道中とかでも話します。これも隠れた価値かもしれません。
続けるほど効果が大きくなっていく
僕らはなんだかんだ10年以上続いていますが、この「続ける」というのがけっこう重要な気がします。
続けていけばいくほど、価値が増していく。
10年やっていて思うのは「ずっと調子がいい人なんかいないんだな」ということです。みんな基本的には山あり谷ありです。
ある年は〇〇さんが調子良くて、△△さんは調子悪かった。でも、翌年は逆になっている。そんなことはざらです。だから、調子の悪い年も「まあ、こういう年もあるか」とポジティブになれたりもします。
1年の「締め」であり、次の1年の「スタート」
続けるためにも「楽しい」というのは大切だと思います。
僕らは「振り返り会」をやりつつ、温泉やサウナに入ったり、美味しいご飯を食べたりもします。これがすごく楽しいんです。
この年になると友だちと旅行なんてなかなかできません。「温泉旅行行こうよ」と言っても、それぞれ家族もいるし仕事もあるからなかなか合わない。
でも「1年に1回、振り返り会をしよう」と決めたら、自然と集まれます。30歳を超えてこういう旅行ができるのは普通に楽しい。奥さんも理解してくれています(笑)。ちなみに1年前に予約しているので、今年も行く日は決まっています。
これをやると毎年「今年も締まったな!」と思えます。箱根神社で祈祷もしてもらうので清められるのもいい感じです。
……というわけで、振り返り会がオススメですという話でした。
10年続けていたら、振り返り会のメンバーは、みんなそれなりにうまくいって、出世したりしています。ある種「負けたくない」という気持ちもあるし「あいつもがんばってるから俺もがんばろう」と思えたりもする。
自分のなかでは、これが1年のベースになっていて「締め」であり「スタート」になっている。いい区切りになっています。
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