小山怜央アマ、竜王戦6組でベスト4進出

 本日は第3期竜王戦6組準々決勝、西山朋佳三段対小山怜央アマの対戦が行われ、149手で小山アマが勝利、ベスト4に進出しました。竜王戦6組でアマチュアがベスト4に進出したのは第4期の天野高志さん以来の快挙。また、当時は3勝でベスト4入りできたのですが、今回はここまでプロ・奨励会員相手に4勝をあげており、こちらも記録です。特に今日は女性として初めての四段昇段を目指して戦いを続けている西山三段が相手と言うことで、恐らく当日に至るまでは相当なプレッシャーもあったことでしょう。(勿論、それはお互い様だったかも知れません。西山三段の方もこの場面でアマチュアと対戦することには色々考えてしまう部分もあったと思います。本当に勝負の世界は残酷です。切ないです。相手が小山さんでなければきっと西山三段を全力応援していたと思います。)

 しかし将棋の内容は全くそういったプレッシャーを感じさせない大熱戦。途中、終盤の入り口あたりは西山三段がペースをつかんだようにも思うのですが、小山さんも最強の粘りをみせ逆転。最後は着実に寄せきったという将棋でした。詳しくはここでは語れないので(著作権の関係があると思いますので)、後日、読売新聞等に掲載される観戦記をご覧いただければと思います。(執筆ご担当は小暮克洋さんと聞いています。小暮さんは学生名人の先輩ですね。この観戦記は実に楽しみです。)

 あまりこういう語られ方をするのをご本人は望まないかもしれませんが、震災から10年という節目の年にあたっては何かしら期するものがあったのではないかと拝察します。折しも、田中将大投手が古巣の楽天に戻るきっかけの一つとして震災10年に言及していました。県内の棋界関係者は小山さんやご家族が3.11の後どんなに苦労していたかをよく知っています。将棋など、とても指せないような避難所生活の中から、1つ1つ積み重ねて、ついには学生名人、そしてアマ名人の高みにまで上り詰めた姿をリアルタイムで目の当たりにしてきました。その姿を知っている我々としては、震災からのこの節目の年に、しかもアマチュア棋戦が少なくなって活躍の場も狭まる中、数少ないチャンスを小山さんがしっかりと形にして着実に歩みを進めていることは単なる偶然ではないように感じるのです。

 ここまででも既に十分素晴らしい活躍です。記録にも記憶にも残ります。しかし、外野は欲張りなもので、ここまでくれば・・・という勝手な思いも頭をもたげてきます。岩手の将棋ファンは恐らく皆同じような思いで小山さんの挑戦を見守っていると思います。

 ファンとしてはここから先は余禄の部分です。これまで本当に楽しい時間を過ごすことができました。その余禄が後1局ある、まずそれだけで素晴らしいです。この素晴らしい時間をもしかしたら後数局楽しめるかもしれない、そうしたワクワク感を持ちながら、小山さんのこの後の活躍を見守りたいと思います。あえて「頑張って」とはいいません。とにかく、我々は1戦1戦を楽しもうと思っています。

改めまして、小山さん、ベスト4進出おめでとうございます!

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