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悩めるオトナこそ読んでほしい本〜ミライの授業

この夏休みにおすすめの一冊はありますか? と中学生や高校生に聞かれたら、「ミライの授業(瀧本哲史、講談社 2016)」は、私が真っ先に挙げるタイトルのひとつです。

投資家、経営コンサルタントの肩書を持つ著者が、全国の中学校をまわって講演をした際のエッセンスをまとめたもの。

いろんなことがうまくいかない今の世の中。だから変えなければならないことがあまりにも多くあるのだけれど、でもその変化がうまくいかない。ではどうすればよいのかということを、先人たちがやってきたことを例に挙げながら解き明かしていきます。

なぜ投資家が中学生に?とも思うかもしれませんが、みなさんはこれからの自分にどう投資をしていきたい?と解釈すれば、それはとても親和性のあるお話。

先日久しぶりに読み返してみて、改めてその思いを強くしたと同時に、あれ?これはオトナが読んでもいいな、と思いました。特に会社や上司にめぐまれない(と感じている)若い人たちが、です。

あんまりネタバレになってもいけないのですが、最後の方に非常に印象深い一文があります。

みなさんが世界を変えようとするとき、自分の夢をかなえようとするとき、周囲の大人たちが応援してくれると思ったら大間違いです。大人たちが応援するのは、自分の地位を脅かさない若者だけ。つまり、「世界を変えない若者」だけです。大人たちからすれば、みなさんの手で世界を変えられることは、大迷惑なのです。

ミライは「逆風」の向こうにある/ミライの授業(瀧本哲史)

中学生にこれを言うか、と最初は思いましたが、でも現実はそう。変わらなきゃと言っているオトナの本心には「でも私以外のところでね」があるというのは、早めに気がついたほうが良いかもしれません。

この本の興味深いのは、世界を変えた人だけではなくて、半ばで変えられなかった人たちのことに言及していることです。

著者は、彼らをこう評します。

能力が足りず世界を変えられなかったのではない。自分を変えることができず、結果として世界を変えるに至らなかったのだ。

ミライのきみたちへ/ミライの授業(瀧本哲史)

心理学では(近自然学でもですが)、「他人を変えることはできない、変えられるのは自分のみ」と説きます。だいたい結論が見えてきたかもしれません。そう、自分をどう変えるためにどう自分に投資をするのか。

ここで言及している「世界」とは、何もワールドワイドな政治・経済の話だけではありません。会社や地域社会、町内会、チーム、ひいては1対1の人間関係まで、ありとあらゆるところに「世界」はあるはず。

変えてはいけないことと、果敢にチャレンジしていくことと、その線引きは難しいところですが、パイオニアであり続けたいという性格の自分にとっては、とても元気づけられる1冊です。

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