「アニソン総選挙2020」年代別に並べてみた(その2)【1990~2000年代 編】
【はじめに】
この記事では、2020年9月6日にテレビ朝日系列で放送された特別番組の『国民13万人がガチ投票! アニメソング総選挙』(以下、アニソン総選挙)について、年代別に並べ替えてみようという趣旨の企画です。
2000年代に何度も放送された、テレビ朝日系列、爆笑問題司会のランキング番組ということで、大変楽しみにしていて、個人的には満足したのですが、やはり20年近く経って、こうした番組の楽しみ方を理解できていない視聴者層による苦言のコメントが(予想以上に)多かったなという印象でした。
前回の記事では、おおよそ昭和時代と合致する1960~80年代を見ましたが、今回は1990~2000年代という括りで見てくことにします。(これでも少し対象期間の最初と最後で空気感が違うのですが、全体の構成上、これが一番分かりやすいと思ったので、ご了承下さい。)
それでは10位から見ていきましょう。
10位:2006年『ハレ晴レユカイ』/平野綾・茅原実里・後藤邑子
前回の記事には殆ど登場しなかった、声優陣が歌うテーマソング(ED曲)が早速登場してきました。京都アニメーションによる『涼宮ハルヒの憂鬱』のEDテーマとして、2000年代後半のアニソン業界を席巻しました。
楽曲発表から15年経た、2020年には声優陣によってダンス動画が投稿され、作品人気の根強さを感じました。
9位:1990年『おどるポンポコリン』/B.B.クィーンズ
アニメ業界から社会現象になった10位に続いて、平成の初め、アニメソングとして初めてオリコン年間1位に輝くなど、アニメ主題歌を枠を超えた楽曲となったのが『おどるポンポコリン』でしょう。累計164.4万枚。
EPレコードからカセットテープの売上が伸びず、しばらくミリオンヒットが無かった1980年代後半、ナンセンス気味なコミックソングが話題を呼ぶ流れが出来つつあり、この楽曲のミリオンヒットが、1990年代の「CDバブル」に火を付けたのではないかと感じます。
8位:2008年『曇天』/DOES
全体20位から発表された地上波版「アニソン総選挙」、一発目のランクイン曲がこの『曇天』でした。平成のアニソンファンならば馴染み深いですが、流石にTop20入りは予想しづらかった(私見)だけに、意外性もありつつ、どういうチャートになるのか想像も付かない! との感想を覚える幕開け。
『銀魂』ファン中心に、『楽曲』のファンも根強く居る楽曲であることが、Top20入りの決め手になったものと思います。
組織票は言い過ぎでも、やや歌手に偏って票が集まった楽曲が目立つ中で、この『曇天』は、楽曲ありきでTop20入りを果たしたものと好意的に捉えることに私はしています。
7位:2009年『君の知らない物語』/supercell
2009年夏のRxアニソンチャートで1位を独占した『君の知らない物語』は、『ニコニコ動画』などの文化や、『あれがデネブ、アルタイル、ベガ』などの象徴的な歌詞、supercell(nagiさん)のメロディー・歌声、作品の人気が全て組み合わさり、7位(全体15位)にランクインしたものと思います。
ボカロや動画サイトなどといった平成後半の文化の空気感が凝縮された楽曲であり、もはや平成後期のアニソンのスタンダード・ナンバーでしょう。
6位:1994年『世界が終るまでは…』/WANDS
2020年に新ボーカルを迎え復活した「(第5期)WANDS」。未だにボーカルが変わったことに対するコメントが飛び交いますが、スタジオライブで、同楽曲の完成度の高さを再認識させられました。
Beingブームが色濃く残る1994年、ミリオンヒットとなった同曲は、投票分布にもあった通り、特定の世代の男性を中心に(WANDSの楽曲の中でも)屈指の知名度と人気を誇ります。
5位:1992年『ムーンライト伝説』/DALI
思春期の男子の心を擽った「世界が終るまでは…」に続いて、5位は幼少期の女の子達を憧れさせた『美少女戦士セーラームーン』から。
改めて全体ランキングを振り返っても、『少女向けアニメ』にカテゴライズされる楽曲としては、この曲が最上位に来ています。
1992年の楽曲ではありますが案外、裾野は広くて、1980年代から、この楽曲とほぼ同世代の平成1桁生まれにも色濃く影響を残していますね。
4位:2006年『God knows…』/涼宮ハルヒ(平野綾)
この曲、(2000年代生まれの)10代にも人気なの!? と投票分布を見て驚いたのですが、すぐさまSNSで『バンドリ』カバーの影響も大きいとの意見を聞き、なるほどと合点が行きました。
『幻の楽曲』的に番組内では取り上げられていて、「いやいや、挿入歌なんだから普通1回しか流れないでしょww 何言ってんのww」とか思いましたが、ランキングを振り返ると、複数回流れない「挿入歌」でTop30にランクインしたのは本曲含め2曲ですから、まあそうなるのかなとも思ったり。
京都アニメーションが"本気”を出したと言える作画と映像。確かに1回しか流れない1シーン、1番のみの演奏に魂と命が籠もっている点においては、2006年当時においては斬新で新鮮だったのは間違いないでしょう。
平成後半のアニソンシーン、ひいてはアニメシーン全体にも影響を及ぼしたライブ(演奏)シーンとして、令和の時代にも語り継がれていきそうです。
11~30位:
11位:『プラチナ』
12位:『ターンAターン』
13位:『DAN DAN 心魅かれてく』
14位:『カサブタ』
15位:『ウィーアー!』
16位:『ライオン』
17位:『走れ正直者』
18位:『心絵 -ココロエ-』
19位:『鳥の詩』
20位:『Give a reason』
1位候補にも挙がっていた『ウィーアー!』が15位だったのは驚きましたが、これも時代の流れなのでしょうか?いずれにしても、20年近く前の楽曲が惜しくもTop10(全体Top30)圏外となりました。しかしいずれも名曲。
19位にゲーソンだった『鳥の詩』や、20位に声優・林原めぐみの『Give a reason』がランクインしたり、12位と17位で西城秀樹さんが2曲ランクインしていたり、ニヤニヤしてしまいそうです。
21位:『ゆずれない願い』
22位:『君が好きだと叫びたい』
23位:『微笑みの爆弾』
24位:『メリッサ』
25位:『ETERNAL BLAZE』
26位:『おジャ魔女カーニバル!!』
27位:『ハッピー・ジャムジャム』
28位:『魂のルフラン』
29位:『そばかす』
30位:『GO!!!』
ここでもヘビー級楽曲がランクインしていて、むしろ27位の「しまじろう」が浮いてしまう程、オタク定番曲がラインナップされている印象です。
アニソンの楽曲が大幅に増えたこともあり、Top30入りするだけでも大変。
さあ、そして残るは3曲。平成で言うと、1桁台、10年代、20年代から1曲ずつ選ばれました。まずは3位からの発表です!
3位:2009年『only my railgun』/fripSide
3位(全体6位)には、恐らく一般層には知名度が低いであろう『only my railgun』がランクイン。ここに来るのか!と、正直、驚いてしまいました。
2009年は、各クール、代表的なアニソンが誕生しました。すなわち、
冬:『深愛』/水樹奈々
春:『Don't say "lazy"』・『Cagayake! GIRLS』/桜高軽音部
夏:『君の知らない物語』/supercell
秋:『only my railgun』/fripSide
今でこそ「fripSide」は不動の人気を保っていますが、この楽曲が発売された2009年当時は、1期・naoさんが脱退し、2期ボーカル南條愛乃さんが加入したばかり。それが作品人気、楽曲人気、歌手・アーティスト人気によって年々「大きな曲」に成長していったという印象です。
(ちなみにこの曲も「バンドリ!」カバー楽曲だったりするんですよね)
2位:1999年『Butter-Fly』/和田光司
『不死蝶のアニソンシンガー』として、既に亡くなった方としての側面ばかりがフィーチャーされましたが、20年以上経った今も人気の楽曲ですから、『生き続けているアニソン』であることは間違いないものと信じています。
「デジタル」というものをうまく取り込んだOP映像そして作品世界によって放送当時から人気のあった楽曲ですが、21世紀に入ってから、幅広い世代、そして世界にその楽曲の人気が伝播していきました。
(ちなみにこれも、Afterglowのバンドリ!カバー楽曲ですわな。)
ふと2004年の「外国人の選ぶ日本のアニメベスト100」で10位にランクイン(デジモン無印が)したことを非常に喜んだことを思い出しました。
( 追記 )
『Butter-Fly』で作詞・曲を担当された「千綿偉功(ちわた・ひでのり)」さんに、私のツイートが「いいね!」されました。嬉しいです、ありがとうございました!
ついに、2000年代には殆どランクインすることのなかった、「Butter-Fly」が日本人を中心とした投票で4位に入ったのだという感慨に浸りつつ、いよいよ「1990~2000年代」の年代別、そして全体1位楽曲の発表です!
1位:1995年『残酷な天使のテーゼ』/高橋洋子
放送時点でちょうど四半世紀(25年)が経過している楽曲がもはや殿堂入りとも言えるほどの圧倒的な人気を誇る凄さ。 『残酷な天使のテーゼ』は、平成を超えて令和の時代においても1位の座を明け渡しませんでした。
2019年(平成31年)の『平成アニソン大賞』では、最優秀賞:「平成アニソン大賞」に選ばれるなど『平成』を代表するアニソンとして名高い同曲は、発売当時から絶対的な人気を得、それを四半世紀の間、維持し続けている点で稀有な存在といえるでしょう。
【おわりに】
その1で紹介した1960~80年代のランクイン曲と比べて、インターネットの普及などもあってか、少しずつ、「オタクよりな楽曲」の占めるウェイトが高くなってきた様に感じます。それでは、1990~2000年代アニソンのTop10を振り返っていきましょう。
1位:1995年『残酷な天使のテーゼ』
2位:1999年『Butter-Fly』
3位:2009年『only my railgun』
4位:2006年『God knows…』
5位:1992年『ムーンライト伝説』
6位:1994年『世界が終るまでは…』
7位:2009年『君の知らない物語』
8位:2008年『曇天』
9位:1990年『おどるポンポコリン』
10位:2006年『ハレ晴レユカイ』
こうしてみると、2020年に投票したランキングということもあって、特に、『バンドリ!』が若い世代に与えた影響の大きさを感じましたね。
『おどるポンポコリン』と『only my railgun』では20年近くの差があって、楽曲的にもアニメ的にもほぼ対極にあるような印象を受けますが、1990・2000年代で5曲ずつバランス良く配置された、このベスト10は、令和の時代らしいラインナップかなとも思った次第です。
そしていよいよ直近(2010・2020年代)のランキング記事(その3)を迎えます。その1・2に紹介された様なアニソンしか知らないという方も含めてぜひ第3回の記事をお楽しみにして下さい!以上、Rxでした、ではまたっ!