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震源地別「東京都23区」で起きた地震まとめ

【はじめに】
今回は、過去「東京都23区」を震源(震央)として起きた地震を纏めます。

※2021年11月20日午前9時前、広範囲で震度3を観測する、やや深めな地震が発生しました。速報段階では「東京都23区」を震央とするとされていましたが、その後の解析で震央は「東京都多摩東部」に変更されました。

なお、元にしたのは、気象庁の「震度データベース」のデータです。

1.震央:現23区は、約100年で約100回

まずは、「震央地名:東京都23区」で調べられる全期間を対象に検索してみました。それがこちらの図です。

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※厳密には、現在の23区制度になったのは1947年で、明治・大正時代は東京市15区、1932年には東京市35区、1943年に東京都となりましたが、それらは一切加味せず、現在の東京都23区の範囲、名称を踏襲することとします。

1919年からの約100年で、約100回の大小の地震が起きていることが分かります。黄色が30~50km、黄緑が50~75km、緑が75~100kmぐらいですので、殆どが「やや浅い~やや深い」ぐらいの震源の深さとなりましょうか。

南関東に広く言える事ですが、「浅い地震」が他の地域に比べると少なく、局所的に大きな被害が出る地震というより、「やや深い地震」のため、広範囲に揺れが伝わって影響が出るパターンが多いように思います。

そして、それが人口密度の高い「首都圏」で起きると、支障が出る人数の桁が変わってきてしまいます。(2021年10月7日に隣県の千葉県北西部で起きた地震が記憶に新しい所かと思います。)

ならすことに意味があるのかはさておき、単純に見れば、約100年で約100回ですから、震央を東京都23区とする地震は「年に1回」程度となります。
これは震度1以上すべてを対象とした回数としては、比較的少ない方の部類ではないかと思います。ただ、地震が全く起きない訳ではなく、時々地震が起きるという事実を再認識していただく必要性はあるかと思います。

2.M4.5以上の地震は過去100年で5回

それでは、もう少し限定して、規模の少し大きめな地震で再検索してみましょう。M4.5以上にするとどうでしょうか。

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過去100年で、M4.5以上の地震は「5回」という結果になりました。直近が1992年(平成4年)ですから、約30年に渡って起きていないということになります。

(1)1926/08/03 57km M6.3 強震

関東大震災から3年足らずの1926年8月3日が1例目です。時代は大正時代の最後(大正15年)で「日本放送協会」が設立される3日前とのことです。

震央位置は、現在でいう「大田区」のあたりで、震源の深さは57km、マグニチュードは6.3と、東京都23区内で起きた地震では過去100年で最大のものとなります。

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この地震では、東京で「強震(震度5)」を観測したほか、福島・千葉・神奈川・山梨で「中震(震度4)」が記録されていますが、関東大震災の後で揺れの経験値が高まっていることや、震度観測点が少なかった頃であることを考慮すれば……もし今起きたら大パニックになっていたことと思います。

(2)1944/03/19 37km M5.3 弱震

それから18年後の1944年に起きた地震も、最大震度は3(弱震)となっていますが、M5を超える中規模地震で、深さも東京都内では浅めの37kmです。

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もし令和の今に起きたら、最大震度5弱以上となっていた可能性はありますし、恐らく「緊急地震速報」も発表され、首都圏が混乱したことでしょう。

(3)1983/01/27 57km M4.6 弱震

実に39年ぶりとなる事例はM4.6と規模は小さめですが、今回とほぼ同じ規模ということもあり、南関東一円に揺れが伝わったものと想像されます。

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(4)1988/03/18 96km M5.8 中震

そして、1988年(昭和最後の年)の3月に起きた地震は、深さ約100kmで、世田谷区付近が震央という地震でした。その規模は「M5.8」という破壊力のある値で、イメージ的には2021年10月に起きた地震とほぼ同じインパクトがあったものと想像されます。

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東京・横浜の震度は「弱震(震度3)」で他と変わりませんが、その周辺(宇都宮・熊谷・千葉・館山・河口湖)という、震央からは離れた地点で「中震(震度4)」を観測しているのも、やや深い地震の特徴でしょう。

東京都心の足元の深くでも、M6クラスの地震が起きているという事実は、「首都直下型地震」だけでなく、広く知らしめていくべき物事ですよね。

(5)1992/04/10 89km M4.8 弱震

元号を跨いで続いた小~中規模地震は、練馬~杉並~世田谷といった辺りで発生していました。

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1992年のこの地震も、深さが89kmと深めだったため、東京・横浜に加えて、栃木県日光、静岡県網代、山梨県甲府・河口湖で「弱震(震度3)」を観測しています。

(参考)2021/11/20 99km M4.6 震度3

2021年の地震は、最大震度こそ現階級の「震度3」でしたが、その観測点はかなり広範囲に及びました。なお、気象官署で震度3を観測したのは、埼玉県の「秩父」のみで、東京・横浜などでは震度2でした。

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当初、この地震は「東京都23区」を震源とすると推定されていましたが、その後の解析で「東京都多摩東部」が震源と変更になっています。そのため、参考として掲載しました。

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