新月の宵に

へへへっ
と、軽く笑ってみせるくせに
眼だけは笑ってなかったよね

それほど大事な想い出だったのなら
教えてくれなくてもよかったのにさ

新月の宵
ボクたちは、戯れにヒトの姿で
ヒトのふりをして街に繰り出す

いつまでも、お酒の味には慣れな
いけれど
それでもだんだん、上手く誤魔化
す事が出来るようにはなれたね

鼻の下をてれたようにこすって

へへへっ

胸の内に重く淀んでいた
願いや
怒りや
どうでもいいことなんかを
ヒトのふりをして吐き出すのは

そんなに悪い気分でもなかったよね

だけど

大事な思い出だったのなら
笑い飛ばしちゃ
きっと
だめだったはずだから

次の新月の宵には
もう少し上手く

笑えるといいね