見出し画像

佇むもの

だって、仕方がないじゃないか

と、
その声が、さりげなく、でも凛と
響いたときに私はそこにあの歌姫
の姿をみたような気がした。

あの歌姫の歌声に惹かれるものは
多かれ少なかれ、何らかの痛みを
知っているのだ。

だから、「声」に対して真っ直ぐに
立とうとし、そうして道を拓こう
とするのだ、と。

大したことなんかないさと、照れ
たような横顔。
でも、

そうだ、その瞳だ。

私こそ、何一つ成し遂げた事など
ない。
まだまだ、気が遠くなるほど、先
があるというのに。

その瞳の先にあるものが、キミに
更なる輝きをもたらしますように
と、不遜ながら、願わせてはくれ
ないだろうか。

語り部は、胸の内に言葉を秘した
まま、

喧騒のなかに
佇んでいた。

書物を購入させて頂きます