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【小説】愛の稜線【連載まとめ】

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連載小説「愛の稜線」をまとめていきます。 記事を順次追加予定です。
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記事一覧

【小説】愛の稜線【第10回・最終回】#創作大賞2023

「ナ、ナオミちゃん? どしたん?」  電車の中で、「今から行く」とLINEした。「わかっ…

内藤えん
11か月前
29

【小説】愛の稜線【第9回】#創作大賞2023

 駅前のコインランドリーは薄暗く、ひどく居心地が悪い。ベンチに座って待つものの、ランドリ…

内藤えん
11か月前
7

【小説】愛の稜線【第8回】#創作大賞2023

 毛足の長いカーペットを歩くと、パンプスが沈み込むような感覚がする。マンションの五階分く…

内藤えん
11か月前
3

【小説】愛の稜線【第7回】#創作大賞2023

 土鍋が音を立てる。  十一月中旬になって、どうやら今シーズンはじめて出してきたらしいそ…

内藤えん
11か月前
7

【小説】愛の稜線【第6回】#創作大賞2023

 玄関の扉を開けて漂ってきたのは、夕飯の匂いではなく、人が揉めているときの不穏な空気だっ…

内藤えん
11か月前
4

【小説】愛の稜線【第5回】#創作大賞2023

 黄色い皮に包まれた焼売は、柔らかく、口の中でふわりと溶ける。  十月始め、金曜の夜の今…

内藤えん
11か月前
5

【小説】愛の稜線【第4回】#創作大賞2023

 雨の夢を見ていた。わたしめがけて、雨はずっと降り注ぐ。前後が見えなくなったわたしは、糸のように連なる雨の隙間で、呼吸する。少し息を吸い込みにくい。けれど、不快ではない感覚の中に、わたしはいた。  だから、それが現実の音だと気づくまでに、時間がかかった。まるで、譲さんが本物の雨を連れてきたかのようだった。  暗闇の中、床から天井まで続く窓は、雨に打たれて濡れながらも、夜の光を映している。  今は一体何時だろう。ベッドに横になったまま、わたしは、人影に、目だけを向けた。

【小説】愛の稜線【第3回】#創作大賞2023

 半分閉まっているシャッターをくぐるようにして、ダイヤモンドの扉を開ける。入ってすぐ、ゴ…

内藤えん
11か月前
5

【小説】愛の稜線【第2回】#創作大賞2023

 物見遊山といった気持ちだった。その表現が悪いのであれば、興味本位、あるいは冷やかしでも…

内藤えん
11か月前
6

【小説】愛の稜線【第1回】#創作大賞2023

 厚底ヒールのサンダルは、高さが十センチを越える。身長も伸びたように見えるから、百六十五…

内藤えん
11か月前
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