ゲームブック『終末の惑星』(1)プロローグから商業の町

プロローグ

「へっへっへ、あの村だな……」男がにやにやと笑いながらつぶやいた。
 三頭の馬に乗った凶悪な顔の男たちが、小さな村に向かって馬を走らせていた。
 三人はそれぞれ薄笑いを浮かべる。

「火だ! 家が燃えてるぞ!!」
 村人のひとりが叫んだ。ふり向く村人たちの口から怒号と悲鳴がほとばしる。
「急げ!! みんなで消すんだ!」
 だが、かけ出す人々の足が止まった。彼らの前に三人の男がふいに現れたのだ。
 馬に乗ったその男たちは、北の民族だ。着ている毛皮の服でそれとわかる。
「聞け! 今日から三日の後にわが軍団と族長ゴワワさまがこの村にやってくる!! お前らは俺たちの奴隷となって服従するのだ!」
「なんだとぉ!!」血の気の多い村人が、男たちに向かって走り出した。
「おろかものめ」北の民族のひとりが弓に炎の燃えさかる矢をつがい、大きく引きしぼる。矢は音を立てて放たれた。
「ぐはあっ!!」走り出した村人の左胸に矢が突き刺さる。「あなたっ!」その男の妻が悲鳴を上げる。しかし、男は体を火に包まれてのたうちまわり、動かなくなった。男の妻の叫び声が村中に深くこだまする。
「俺たちに逆らうヤツは、みんなこうだ」弓を持った男は高らかに笑った。
「俺たちの力がわかったか! 無駄なことはやめたほうがいい。まあ、残された三日間だけでも楽しくすごすんだな。はっはっはっ……」男たちはそう言い残すと、去っていった。

「アル、やめるんじゃ」おじいちゃんの手がボクの腕をとらえた。
「おじいちゃん、でも…」
「おまえひとりで立ち向かってもどうにもならんよ。ここはガマンするんじゃ」
 ボクは剣を抜きかけた右手をだらりいとたらした。
 武器さえあれば! ボクは思った。最終戦争によって世界が滅びた今、人々は武器を恐れ、手に持とうとさえしない。
 しかし、ボクはまだ武器がたくさんある所を知っている。
 村の西にそびえるデュラン山。そのさらに向こうに、世界を隔てる巨大な壁がある。『世界の壁』と呼ばれるその壁の向こうには、まだ戦争前の超文明が残っているという。
 ボクはおきてで禁じられたその壁に向かうことを決心した。⇒1へ


1
 もうだいじょうぶかな……。リルルはすっかり眠っているようだ。ボクは薄目を開き、闇に沈んだ部屋を見回した。
 そおーっと、音を立てないように起き上がる。
「おにーちゃん、どっこ行くのよー」
 あわてて唇に人差し指をあてる。
「おまえ狸寝入りしてやがったなー」
 ベッドから上半身を起こしたリルルは、ボクのあわてぶりがおかしいのか、笑いを必死でこらえている。
「ずるいわ、おにいちゃん。あたしも連れてって!」
 リルルはそう言ってベッドから軽やかにおり立った。
●連れてゆく……⇒81へ
●連れてゆかない……⇒177へ


3
 ボクは商業の町を出た。
 次はどこへ向かうか? このまま北の民族の本隊へ向かってもいいし、ほかの町へ行ってもいい。
●北に向かい、北の民族の本隊へ⇒376へ
●北西の洞窟の町へ⇒441へ
●南西の賭博の町へ⇒182へ
●南東の機械の街へ⇒340へ


7
 ボクは店の人ごみを逃れて通りに出た(時間ポイント・マイナス1)。
 外もあいかわらず人でごった返している。
 武器屋か防具屋のどちらかに入るか? それともどちらにも入らずにこの町を出るか?
●武器屋に入る⇒395へ
●防具屋に入る⇒455へ
●町を出る⇒3へ


11
 ボクはホバギーのホバー出力を上げて高く浮かび上がり、剣を抜いてリゲルの背の上に飛び乗った。ヤツの背はまるで鎧のように硬い。暴れ回るリゲルに片手でしがみつきながら、ボクは剣を間接部分に突き刺した。
 ----戦闘。トランプをめくる。
 ----リゲル 戦闘P=7 体力P=5 攻撃P=3
 284ページの下段にある数式にしたがって、戦闘の手順を繰り返す。どちらかの体力ポイントが0になったら戦闘終了(キミのポイントが0になった場合はここでEND)。
●リゲルに勝ったら⇒138へ

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※このゲームブックは戦闘がルールに従ってプレイヤー自身が自身で処理を行うシステムです。これを取り入れたのは当時の私自身の本格的なゲームブックへの憧れがあったわけですが、双葉社ゲームブックでは導入前例がなく、当初反対されました。小学生の読者が多いレーベル的に難しいという理由です。

私自身の感覚としては、高学年なら問題ないだろうと思っていたことや、実際には好きな人以外はルールに従って遊ばないのではないかと思ってました。編プロや編集部的には「まあいいだろ」的な感じで許可をもらいましたが、オリジナルでそれほど売れないでしょうから許可されたんでしょうね。

一応、本格ゲームブックと比べて単純化したりルールを易しくしているつもりでしたが、その分単調だった気もします。戦闘をチャートで細分化して文章的にも描写していく従来の双葉のようなスタイルも好きでしたが、物語・ゲームの内容量との兼ね合いがあって十分遊べるものを目指してました。


25
 商業の町の入口に来た。
 ところで、今日は何日目か?
●2日目⇒5へ
●1日目か3日目⇒50へ


37
 武器屋を出た(時間ポイント・マイナス1)。
 次は防具屋か食堂に入るか? それともこのまま町を出るか?
●防具屋に入る⇒455へ
●食堂に入る⇒156へ
●町を出る⇒3へ


39
 心配することはなかった。見張り番はすぐに居眠りを始めたのだ。扉についている小さな窓からそれを確認し反対側にある小窓の下にそうっとベッドを寄せる。その窓から、ボクは簡単に牢屋を抜け出したのだ(時間ポイント・マイナス1)。⇒430へ

40
 今までの戦いの経験により、機知ポイントが5ポイント増えた(チェックシートのポイントを書き換える)。それが終わったら、⇒メモしてある項目にもどる


46
 赤や緑や茶色のおかゆが連続で出てきた。ひと口ずつすすってみると、サラダやスープや肉料理の味が、口の中に広がった(ゴールド・マイナス15。体力ポイント・プラス35)。⇒348へ

50
 ボクは商業の町に入った。
 チェックシートの時間チェックを見て、今、昼か夜かを調べよう。
●昼だったら⇒117へ
●夜だったら⇒158へ


53
「ほかには買わんかね?」
 おやじはさらに何か売りつけようとする。どうやらこの店は以上に不景気らしい。
 ほかに買うか?
●エンダーを買う⇒322へ
●肩パットを買う⇒392へ
●ひざ当てを買う⇒464へ
●どれも買わない⇒195へ

※どれを買ったとしてもこの項目に来るような構造になってるので、肩パットを今買ったところなのにまた肩パットを買うになってしまうわけですね^^
前の選択肢の時に書いた通り、どれも買えないので、「どれも買わない」に進みます。
行数不足で省略したけど、「どれも買わず店を出る」にすべきでしたね。

武器屋のおやじは親切なように見えて、子供に高い商品も次々勧めてくるあたり、がめついというよりは品揃え自慢をしたい高齢の店主像な感じかな。当時はそこまで考えてなかったと思うけどw


58
「うちは一晩10ゴールドですけど、お泊まりになりますか?」
 町の中央にある宿屋に入ると、眠そうな目をこすりながら女将が言った。
 答えないでいると、早く寝たいらしい女将はイライラいながらもう一度聞いてくる。
「どうなんですか? 泊まるんですか?」
●YES⇒319へ
●NO⇒94へ

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※唐突なYES/NO選択肢も『イース』っぽい感じですねw
町チャート全体が『イース』模倣なので、相互に行ける形になっている部分はちょっとうざく感じられるところですね。ここで宿屋に入るかどうかを選択するのは、翌日まで休んで体力を回復し、昼間の店で買い物をするかの選択なわけです。
そういえば昼夜要素もドラクエIIIというより『イース』から来てるのか。影響強いなあ……


64

「でもあたしだって行きたいもん!」
 わがままを言い続けるリルルを説得できたのは、かなり時間が過ぎてからのことだった(時間ポイント・マイナス2)。
「わかったわよ。おにーちゃんのバカッ!」リルルは最後にそう言うと、ふとんに潜った。
 ボクは「ついてくるなよ」と言い残して部屋を出た。⇒320へ


81
 ボクが答えを渋っていると、リルルは切り札を出してきた。
「連れてってくれないとおじいちゃんに告げ口しちゃうから!」
「わかった。わかったよ。もう……しょうがないなあ」
 ボクはそう言い捨てると、部屋を出た。
「おにーちゃん、まってよ!」
「……ったく。早く来い!」
 ボクは振り返り、リルルが追いつくのを待った。
 もう村はずれまでやってきている。----そのとき。
「キャアッ」⇒144へ


94
「やっぱりいいです」
 ボクがそう言うと、女将はイヤな顔をして奥のほうにもどっていった。ボクは宿屋の外に出た(時間ポイント・マイナス1)。
 食堂に入るか? 寄らないでそのまま町の外へ出るか?
●食堂に入る⇒198へ
●町を出る⇒3へ


100
 町の入り口までやってくると、突如として黒い影がボクのゆくえをふさいだ。ボクはあわてて急ブレーキをかける。砂煙をうけてこちらに牙を向けたのは、最終戦争によって突然変異を起こした動物----恐竜の一種、リゲルだった。
 リゲルは、トリケラトプスという太古の恐竜に似た、剣のような角を持った恐竜だ。
 リゲルと戦うか? それとも逃げるか?
●戦う⇒11へ
●逃げる⇒179へ
●ドラグーンに乗っている場合は、無視して⇒25へ


107
「これ、もらっちゃっていいのかい?」お兄さんがびっくりしてボクに聞いた。
「うん。いい剣を買われてもらったからね」
「そうか。なんだか悪いなあ。どうもありがとう」
 ボクは振り返って笑うと、店を出た。⇒37へ


116
 今までの戦いの経験により、機知ポイントが4ポイント増えた(チェックシートのポンとを書き換える)。それが終わったら、⇒メモしてある項目にもどる

117
 町の通りは、大勢の人でごった返している。
 ボクは通りを進み、必要な店を探し求めた。
 武器屋と、防具屋と、食堂がある。どの店に入ろうか?
●武器屋⇒395へ
●防具屋⇒455へ
●食堂⇒156へ


119
 それは、何とも形容しがたい味だった。ボクは最後に水を一杯飲んで口の中の味を洗い流した(ゴールド・マイナス5。体力ポイント・プラス10)。 ⇒348へ


127
 しかし、村人たちはボクの話など聞いてはくれなかった。
 ボクは、禁を犯した罪で村の外れにある小さな牢屋に閉じ込められてしまったのだ。
「このままじゃリルルを助け出せない」ボクは粗末なベッドに腰掛けてうめいた。早くここを抜け出してとにかく村を出るんだ! しかし、扉は厚く、その向こうには村人のひとりが見張りとして立っている。どうしたらいいのだろうか。
 ----運試し。トランプを1枚めくり、出た種類通りに進め。
●スペードかハートかダイヤが出た場合⇒39へ
●クラブが出た場合⇒460へ

※「運試し」と書かれている通り、3/4対1/4で結果が分かれるというわけです。どっちが「正解」なのかを予想して選んでください^^ 実本をお持ちの方は確認しても構いません。プレーンテキストではスートマークが使えないため、スート名表記にしました。


138
 鎧のような膚の透き間を縫ってボクは剣を貫いた。空中に停止させていたホバギーに飛び乗り、ホバーをふかす。リゲルは痛みに暴れ回っている。ボクは、それに巻き込まれないよう急いで上昇した。
 やがてリゲルは大きく跳ね、そのまま横倒しに倒れた。ボクはしばらく動かなくなったリゲルの様子を見てから、着地した。完全にリゲルは死んでいる。ボクは背中に登って剣を抜き取った(EXP・プラス3。ゴールド・プラス20)。
●今のEXPでレベルが上がった場合は、ここの項目番号をメモして進む⇒362へ
●レベルが上がらなかった場合、またはもどってきている場合、次の項目へ⇒25へ

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※この「ここの項目番号をメモして」レベルアップ処理を終えたら戻ってくる……というシステムはコンピュータRPG的な処理を、プレイヤー自身にやってもらう感覚で入れてますね。

EXPがモヒカン男と比べて低いのはなんででしょうね。
モヒカン男を倒してもゴールドがもらえないのは、殺した上(そもそも殺しちゃうのがどうかと思うけど)に金も奪うような表現にしたくなかったからですかねえ。当時の思考は思い出せないけど^^


141
「そうか、ならばいいんじゃ。ダブル・アームズじゃったら盾は持てないだろうからねえ。ところで、盾は買うかね?」おやじは眼鏡を下にさげて、上目づかいでボクを見た。
●盾を買う⇒192へ
●買わない⇒163へ


144
 悲鳴と共に、リルルの小さな体が宙にふわりと浮かんだ。
「リルルーっ!」まるで熊のような大男が、ニヤニヤ笑いを浮かべたまま、その顔をこちらに向けた。両わきに太い角の生えたカブトをかぶり、素肌に巨大熊の毛皮を巻つけたその姿は、まぎれもなく北の民族だ。
 今日の昼にやってきた北の民族の先鋒隊はそのまま村はずれに野営していたのだろう。
「おにいちゃーん! 助けて!」そう言って泣き叫ぶリルル。
「このやろー! リルルを返せ!」ボクは腰に差していた長剣を抜いて男に飛びかかった。
「待て小僧。おまえの相手はこの俺だぁ!」ボクは体に大きな衝撃を感じ、ガクリとひざをついた。口の中に湧き上がる温かい血をひとかたまり吐き出し、振り向く。
「どうした小僧、かかってこないのか?」横から飛び出してきたモヒカン刈りの男がそう言って挑発する。リルルを抱えた男はそのすきに闇の中へ消えていった。
「待てっ!」ボクは剣を握り変えると、モヒカン刈りの男に突っ込んだ。
 ----戦闘。(モヒカン男の)戦闘P=6 体力P=4 攻撃P=2
 まずトランプを一枚めくり、その数を自分の機知ポイントに足す。もう一枚トランプをめくり、敵、モヒカン男の戦闘ポイント6と足す。ふたつのポイントを比べ、自分のほうが高かったら、モヒカン男の体力5から自分の攻撃ポイントをマイナスする。モヒカン男のポイントが高かったら、モヒカン男の攻撃ポイント=2から自分の防御ポイントをマイナスし、出た数字を自分の体力ポイントからマイナスする。どちらかの体力ポイントが0になるまでこれをくり返す。
●モヒカン男を倒したら⇒334へ

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※最初の戦闘ということで戦闘説明も含めましたが、双葉社では「ユーザーに遊んでもらう」戦闘システムは基本なかったので、出版社側からも入れてと言われていたと思います。基本ページが足りない状態だったので、長い文が続くところが見にくくなってしまうんですよね……
台詞の「」の後に地の文を続けるのは、まあないわけではないのですが、多いとそれはそれで読みにくくなります。この項目なんかは校正時に行数減らしのために台詞の後に地の文が多くなってます。


146
 ボクはいったん北方向に進んだ。村から直接商業の町へ向かうのなら、あけやみの森は迂回したほうが得策だ。森の中で迷ったら迂回するよりも時間がかかってしまうに違いない。
 森の北端まで出ると、日暮の荒野と呼ばれる草一本生えていない荒れ地に出る。
 方向転換してしばらく進むと、商業の町が見えてきた(時間ポイント・マイナス3)。⇒100へ


156
 食堂内は、おかゆのようなものをすする客でごった返してした。
 彼らが一様に食べているおかゆのようなものは、戦争後、食料と名のつくものが少なくなったために作り出された合成食糧で、油臭さを香料でゴマ化したとんでもない代物だ。それでも栄養補給だけはできる。
 この店のメニューは次の通り。
■ラーメン(風味のおかゆ) 5ゴールド 体力ポイント・10回復
■カレー(風味のおかゆ) 10ゴールド 体力ポイント・20回復
■フランス料理フルコース(もちろん、それぞれの風味のおかゆが数種類出るだけ) 15ゴールド 体力ポイント35回復
(食事をして体力を回復したければ、3つのうちのどれかを選び、お金をマイナスしてからその料理分の体力を回復させる)
 ボクらはその食堂を後にした。⇒7へ

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※おかゆの設定は自分でも気に入っていたと思いますが、成立には父親に聞いた戦後日本の話があったからです。私の父親は小学生くらいの頃に兄弟だけで戦後の時代を生きたので、苦労話をよく聞きました。その記憶と、SF好きな自分の志向が結びついた感じですね^^


158
 町は静まりかえっている。昼間は近隣の村から集まる人々で、ごった返すほどなのだが、いったん夜になると、この町からはきれいに人がいなくなってしまう。
 今開いている店は一軒しかない。それは24時間営業の食堂で、昼間はかなり繁盛する店だ。入ってみるか? また、食堂のほかに、この町にある宿屋に泊まることもできる。
●食堂に入る⇒198へ
●宿屋に泊まる⇒58へ
●町を出る⇒3へ


163
「ところで、こんなものはいかがかね?」
 おやじは、防具の山に顔を突っ込むようにしてなにやら取り出した。
「これはエンダーと言う名のヨロイじゃ。おぬしが使えそうな重さのヨロイでこれ以上強いものはこの店にはないぞ。値段は30ゴールド(これを買うとヨロイの防御ポイントが1プラスされる)」おやじは胸から腰までをカバーするヨロイを出してそう言うと、次に曲がった金属板を出した。
「これは肩パットじゃ。ヨロイの上からもつけることができる。10ゴールドのお買い得品じゃ(ただし肩パットでは防御ポイントは増えない)」
 おやじは最後に、ああ、これもあったのう、と言って小さくて丸い金属板を出した。
「これはひざ当てじゃ。まあ、ないよりはましという品物じゃな。30ゴールドじゃが……(ただしひざ当てでは防御ポイントは増えない)」
●エンダーを買う⇒322へ
●肩パットを買う⇒392へ
●ひざ当てを買う⇒464へ
●どれも買わない⇒195へ


177
「おまえはまだ子どもだからだめだ!」ボクはきっぱり、そう言った。
「なによ、おにーちゃんだって子どもじゃない!」リルルは大声でかみついてきた。
「よく聞けよ。今、この村は大変な状況に置かれてるんだ。ボクだけならまだしも、おまえまで村を出たら心配されるに決まってるじゃないか。それに、村の外には、こわーい恐竜がうじゃうじゃいるんだぞ」
 リルルも恐竜は怖いらしい。ボクの言葉を聞いてびくりと震えた。
 ----運試し。トランプを一枚めくり、出た種類の通りに進め。
●ハートかダイヤが出た場合⇒426へ
●スペードかクローバーが出た場合⇒64へ


179
 リゲルはダイノソアズの中でも小回りはきくほうだが、移動速度はとうていホバギーには勝てない。商業の町に入ることをあきらめれば、リゲルから逃げることはたやすい。
 このまま逃げるなら、向かう町を選択する。やはり戦って商業の町に入るなら、戦うへ。
●賭博の町へ⇒182へ
●洞窟の町へ⇒441へ
●機械の町へ⇒340へ
●戦う⇒11へ


186
「ほらほら、買わないんだったら出ていきな」
 店のお兄さんに急き立てられてボクは外に出た。⇒37へ


192
「そーか、買うか」
 おやじはそう言うと、防具の山をごろごろと崩して二種類の盾を取り出した。
「おぬしじゃったら、このあたりが使えるじゃろう。こっちがプレートという盾でな。軽くて持ちやすい一枚の金属板でできておる。値段は40ゴールド(これを買うと、防御ポイントが1プラスされる)。もうひとつのこれはな……」おやじは、もう一枚の丸い盾を重たそうに持ち上げた。
「グレードという盾じゃ。ちょっと重いが強い盾じゃぞ。値段は60ゴールド(これを買うと、防御ポイントが2プラスされる)。どちらを買うかね?
●プレートを買う⇒358へ
●グレードを買う⇒410へ
●どちらも買わない(お金がなくて買えない)⇒163へ


195
 せまい防具屋を出た。
 さて、武器屋か食堂に入るか? それともこのまま町を出るか?
●武器屋に入る⇒395へ
●食堂に入る⇒156へ
●町を出る⇒3へ


198
 この店は、最終戦争後にできた代表的な現代食の店で、おかゆのような食べ物を売っている。合成食糧に栄養素と香料を加えたものだ。いろいろな種類の香料があって、味もそれによって本物そっくりにできるのだ。
「いらっしゃいませ」店に入ると、店員がだるそうな声で迎えた。
「お客さん、悪いんですけど夜の間は二種類の料理しか出せないんです。今できるのはラーメン(風味のおかゆ)と、フランス料理フルコース(もちろんそれぞれ違う味付けのおかゆが数種類出てくるだけだが)。ラーメンが5ゴールド(体力ポイント10回復)、フランス料理フルコースが15ゴールド(体力ポイント35回復)です。どうしますか?」
●ラーメン(風味のおかゆ)を食べる⇒119へ
●フランス料理フルコース(風味のおかゆ)を食べる⇒46へ
●どちらも食べないことにして店を出る⇒317へ

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※ちょっとくどい感じもしますが、当時の自分のユーモアセンスはけっこう嫌いではありません(笑)。
毎日1項目では戦闘処理は行っていないので、料理を選ぶ必要はないのですが……


319
 ボクは女将に案内されてひとつの部屋に通された。壁はあちこちにヒビが入っているし、窓は割れていて冷たい風が吹き抜ける。ベッドのマットレスは薄く、寝ごこち悪そうだ。照明までも暗かった。
 しかし、これでもこの町では最高の宿屋なのだ。だいいち、最終戦争以降、宿屋を開いているというだけでもめずらしいのだ。
 ボクは湿ったベッドに体を横たえた。最初は気持ち悪かったが、疲れが溜っていたせいか、じきに意識がなくなった……。
 翌朝、早く目覚めた。外からは早くも喧騒が伝わってくる。ボクは女将に宿賃を払って外に出た(ゴールド・マイナス10。体力ポイント・最大値の60まで回復。時間・次の日の最初までマイナス)。
 もう店はみんな開いていた。
 武器屋か防具屋に入るか? それともこのまま町を出るか?
●武器屋に入る⇒395へ
●防具屋に入る⇒455へ
●町を出る⇒3へ


320
 ボクは玄関まで忍び足で進んだ。
 厳重にかけられたカギを外し、音を立てないように扉を閉める。
 そのまま夜の闇にまぎれて村はずれまで歩いた。ちょっとでも大きな音を立てると見つかってしまう。用心に用心を重ねて歩く。
「おにいちゃーん、待ってよー!」
 ボクは思わずびくりとはね上がった。闇の中からリルルが駆け寄ってきた。まったく、ついてくるなと言ったのに。
「なんできたんだ!」そう言ったときだ。思いがけない事態が発生した。
「キャアッ!」⇒144へ


322
「エンダーを買うか。うむ。いい判断じゃの、これは防御力が強いからの」
(ゴールド・マイナス30。防御ポイント・プラス1。今までヨロイを使ってるならば、それを消してエンダーと記入する)
 ボクはその場でエンダーを身につけた。おやじの言う通りそのヨロイは動きやすくてボクの体型にも合っていた。表面には竜の皮が張ってあり、強度もかなりある。⇒53へ


328
「サイド・アームズを買うのかい? そうだね、君なら軽い剣のほうが使いやすいだろう。それに、それだったら盾も持てるからね」
(ゴールド・マイナス80。攻撃ポイント・プラス2。今まで使っていた剣を消し、サイド・アームズと記入する)
 ボクは鞘から抜いて刃を見た。きらりと乾いた光を放つ刃は、刃こぼれひとつなく研ぎ澄まされていた。
 ボクは満足して鞘に収め、腰につけた。今までつけていた剣はその店に置いていく。⇒107へ


331
 村を出たが、これからどうしようか。このまま、北の民族の本隊に乗り込むべきか。しかし、今のボクは長剣一本しかもっていない。
 村から北東の方向には、商業の町がある。そこに行けば武器なども買えるだろう。
 反対に、南西の方向に行けば賭博の町がある。武器を買おうにも、今のボクが持っているお金では強力なものは買えない。そこに行けばお金を増やすことができるかも知れない。
 あとは、南東の方向には、あけやみの森という樹海とナン湖という巨大な湖に阻まれて、村の人もあまり行ったことのないという、機械の町がある。
 そして、北西には洞窟の中に外敵から隠れるように造られた洞窟の町がある。
 どこへ行くか?
●北の民族の本隊へ⇒68へ
●商業の町へ⇒146へ
●賭博の町へ⇒44へ
●機械の町へ⇒481へ
●洞窟の町へ⇒389へ


334
「ぐおおーっ!」
 ボクの長剣を胸に刺したまま、モヒカン男は獣のように吠えて腕を振り回した。だがその直後、ぴくりと大きく震え、動かなくなった(EXP・プラス5)。
 妹は、妹はどこだ!?
「リルルー!」ボクは叫ぶと同時にモヒカン男の胸から剣を抜いた。しかし、見回してもあのヘルメットの男はいない。その時----。
「どうしたんだー!」村人の声が聞こえてきた。今の騒ぎを聞きつけてきたに違いない。見つかったらつかまってしまうぞ。
●逃げる⇒430へ
●逃げないで事情を話す⇒127へ


348
「そういや知ってるかい? この町のすぐ南にあるあけやみの森のどこかに『ブレイザー』という伝説の剣が封印されてるって話だぜ」
「へえ、本当ですか?」ボクは店員の言葉に興味を覚えた。
「うん、どうやら本当のことらしいよ」
 ボクは店員から、くわしい話を聞いた後、店を出た。
 このまま町を出るか? それとも宿屋に行ってみるか?
●このまま町を出る⇒3へ
●宿屋に行ってみる⇒58へ

※チャート構造的に、『イース』の街を模倣してますね^^
当時『イース』は本当に好きだったんですが、『イース 戦慄の魔塔』をなんとしても担当したくて編集者に談判したのもわかるというものです(苦笑)
実際、ゲームブックの処理に『イース』の処理方法は適していたと思います。ドラクエの町を念頭に置いた考え方であればチャートはけっこう違う構造になっていたと思います。

戦闘が理論的には何度でも発生する構造にして、必要があれば街で食事や泊まることで回復する(ただし、時間は増えてしまう)というコンピュータRPGの基本構造をゲームブックで再現したかったわけですね^^


358
「そうかそうか。プレートを買うか」
 店のおやじは四回同じことを言わせてから言った。
「うん、おぬしじゃったらこちらのほうがいいかも知れんの。軽くて使いやすいからのう」
 ボクはその盾を受け取った。
(ゴールド・マイナス40。防御ポイント・プラス1。今まで盾を持っていればそれを消してプレートと記入する)
 その盾は、もう一枚の盾にくらべると確かに薄いが、よけいな飾りがない分だけ使いやすそうだった。⇒163へ


362
 レベルはいくつに上がったか?
●レベル1⇒40へ
●レベル2⇒116へ
●レベル3⇒439へ


392
「おお、肩パットを買うかね。すぐにつけてみるがいい。きっと似合うじゃろう」
 おやじはそう言って肩パットを渡してくれた。ボクは金属板を肩に置き、それを皮の紐で固定した(ゴールド・マイナス10)。
「おお、よく似合うのう。まるで歴戦の勇士のようじゃ」⇒53へ


395
「いらっしゃーい」
 ボクは元気のいい声で迎えられた。見れば、外の混雑にもかかわらずこの店内には客があまりいない。どうやらこの平和な商業の町では、攻撃用の武器など必要とされていないらしい。町の人々は、北の民族が南に向かって侵攻しているなどとは夢にも思っていないのだ。
「ボクでも使えるような剣はありますか?」ボクは店のお兄さんに声をかけた。
「きみでも使えそうな剣だったら、まず軽くて使いやすいサイド・アームズだな。これは80ゴールド(これを買うと、攻撃ポイントが2プラスされる)。あとは、ダブル・アームズという剣がある。これは130ゴールドだ(これを買うと、攻撃ポイントが3プラスされる)。どちらか買うかい?
●サイド・アームズを買う⇒328へ
●ダブル・アームズを買う⇒473へ
●両方とも買わない(お金がなくて買えない)⇒186へ


410
「ほう。グレードを買うのかね」
 おやじは、ボクが五回繰り返すとやっと聞き取って、そう言った。
「この盾は重いぞ。確かにプレートの倍の防御力は持っているがな」
 おやじは盾をボクによこした。それを受け取ったとたんに床に座り込みそうになる。本当に思い(ゴールド・マイナス60。防御ポイント・プラス2。今まで盾を持っていればそれを消してグレードと記入する)。
「これはその昔、ロケットという空を飛ぶ乗り物に使われていた金属なのだそうじゃ」
 おやじがひとことつけ加える。⇒163へ


426
「ふーん、わかったわよ」リルルはふてくされた声をあげてふとんに潜った。
「よしよし、わかればいいんだ。絶対についてくるなよ」ボクはそう言って部屋を出た(時間ポイント・マイナス1)。⇒320へ


430
 ボクは走った。闇に紛れていれば村人にも見つからずに逃げことができるだろう。もうすでに村はずれまでやってきている。出口はもうすぐだ。
 村を出た所に、どうやらボクが倒したモヒカン男のものらしいホバギーが置き去りにされていた。
 ホバギーとは、ホバークラフトのように、小さく浮上して進むオートバイのような乗り物だ。
 ボクは、バイクに巨大なプロペラをつけたようなその乗り物にまたがった。ホバギーの操縦方法は簡単だ。右手にあるアクセルとブレーキだけで操作することができる。左手はほとんど使うことはない。ギアはすべてオートマチックだ。
 ボクの操作ですぐに50センチほど浮き上がった。ホバギーは滑るように動き始めた。
「リルル、待ってろよ」ボクは思わずつぶやいていた。⇒331

--
※それにしても、「ホバギー」しれっと使ってますね^^ ザブングルでは「ホバークラフト」+「バギー」的な造語ネーミングでしょうが、「バイク」の意味は入ってないところがミソですねw 『仮面ライダーストロンガー』の1話もそうだけど、子供にとって夢のマシンでしたね^^


439
 今までの戦いの経験により、機知ポイントが3ポイント増えた(チェックシートのポイントを書き換える)。それが終わったら、⇒メモしてある項目にもどる


455
 防具屋に入ってみると、厚い眼鏡をかけたおやじが僕を迎えた。かなりの年寄りだ。狭い店内にはぎっしりと防具が積まれており、客がふたりも入れば店内は一杯になってしまいそうだった。
「おやじさん、ボクでも使える防具はありますか?」
 おやじは耳が遠いらしく、ボクは三回この言葉をくり返さねばならなかった。
「おぬしの持ってるその剣はもしかしたらダブル・アームズではないかね?」
 眼鏡を上げたり下げたりしながらおやじが聞いた。
●YES⇒163へ
●NO⇒141へ


460
 ボクは扉の反対側にある窓に目をつけた。充分に通り抜けられそうな大きさだ。
 ボクは窓によじ登ろうとベッドを動かした。しかし、ベッドは重い。ごとり、と大きな音を立ててしまう。
「何をやってるんだ!」見張り番が扉を開けた。とっさにベッドから転げ落ちたふうをよそおう。
「なんだ、ねぼけたのか」その男は軽く舌打ちすると、元通りカギをかけて出ていった。
「ふう」ボクは大きく息をついた。じっと外の様子をうかがう。しばらくたって、見張り番は、高いびきをたて始めた。子どもだと思って油断したのだろう。難なく脱出成功(時間ポイント・マイナス3)。⇒430へ


464
「いやー、よかった。これは実は売行きが悪くて困っていたんじゃよ。おぬしにはお礼に耳よりな情報を教えてやろう」
 ボクはお金を払い、ひざ当てを受け取った(ひざ当て入手。ゴールド・マイナス30)。
「ここよりもはるかに効率のよい武器を売っているところがあるんじゃ。と言っても、店ではなくてな、実は移動する行商隊なんじゃ。武装行商隊と呼ばれておる。今の季節ならこの近くにいるはずじゃ。毎年この時期になると、北西の洞窟の町から、この町を通って南東の機械の町まで、一日ごとに移動するのじゃ。その行商隊に出会えれば、これよりいい武器を買うことができるぞ」
「そうですか。どうもありがとうございます」
「いやいや、礼を言うのはわしのほうじゃよ」⇒53へ


473
「へえ、ダブル・アームズをかうのかい? これはちょっと重いよ。まあ、攻撃力は強いけど、君じゃあ両手で持たないとダメだな。盾は持てないよ」」
(ゴールド・マイナス130。攻撃ポイント・プラス3。今まで使っていた剣を消し、ダブル・アームズと記入する。すでに盾を買っている場合は、その盾を消し、防具ポイントもその分減らす)
 剣を鞘から抜いてみた。抜いたとたんにその刀身は乾いた輝きを発し、ボクの目を射抜いた。
 握りが太く、片手では振り回せない。また、その握りには竜を象った飾りが掘られていて、ちょっと持ちにくい。握りの下の部分で竜が宝石を咬んでいて、それがとてもきれいだ。
 ボクは鞘に収めて腰につけると、今までついていた剣をお兄さんにさし出した。⇒107へ

※ケンマホウさんのご指摘で、間違いを修正しました(2024.2.27)。

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