「奇奇怪怪明解事典」最近ハマってしまったポッドキャスト
「これからは聴くメディアだ」なんて、情報誌でも取り上げられるくらい盛り上がりを見せるラジオですが、2020年にAppleMusicからSpotifyに乗り換えた私も言わずもがなハマってしまったPodcast。
K/E/M/I/Oでかち込むギャルセンスを発揮するkemioや、「タナソー」こと田中宗一郎と三原勇希がホストとなっていまのカルチャーを縦横無尽に語りつくす「POP LIFE: The Podcast」なんかがブームの最前線で語られていたりするが、ふとしたきっかけでハマってしまった番組がもうひとつ。
【奇奇怪怪明解事典】である。
毎週土曜日の夜10時の更新がもはや1週間のピークになっている私がその番組を知ったのは、MONO NO AWAREというバンドのボーカルである玉置周啓氏のInstagramのストーリーがきっかけだったと思う。
コロナ禍で生活習慣が超夜型から朝型へと大きく変化を遂げつつあった私は、習慣的にしっかりと本を読む時間を意識的に作るようになり、たまたま神保町の本屋で買っていた『わかりやすさの罪』という武田砂鉄さんの本を読んでいた。
たまたま名前に惹かれるようにして知ったその番組のワンコーナー「言のソノリティ」で、その本を紹介していたのがDos MonosというグループのTai-Tan氏だった。
それ以降、自然と毎週聴くようになったその番組に関して、どこがどう面白いのか語ろうかとも思ったが、それは野暮なことだと、いま明け方の洗濯機の上に置いたノートパソコンを前にして思う。なので以降は、私が「おすすめ」なんてものではなく、私が私の好きを表明するべく、勝手に書いていきます。
玉置周啓とTai-Tanがふたりで、中学生の休み時間のようなノリで、日常で起こる奇妙な現象に勝手に名前を付けたり、最近読んだ本や漫画の話をしているその番組。
番組開始当初は、「リスナー聞いてるのかこれ」とか悩んでいた二人だったが、最新エピソードでは、Tai-Tanは紹介したマンガを片手にゲラゲラひとりで笑い始め、玉置が「ボリボリ...」となにか食べている。しばらくすると「あ、ここ使う?完全に気抜いて骨食ってたわ」と言い出す始末。
骨、食っていたそうです。
昼休みになると、ふたりでベランダにだらだらと出ていき、校庭で遊びまくるサッカー部を見ながら何かを話して、ケラケラしている二人の世界。日常で起こる奇妙な現象に名前を付けていく「命名」だけでなく、そこで語られる彼らの日常がまた面白い。
私はこのポッドキャスト番組で紹介された本のほぼ全部を読み、またすべてのバックナンバーをすでに3回以上は聞いているので、ヘビーリスナーと言ってもいいと思うのだが、彼らの語る言葉の多くの断片は日常に溢れている。こんなことを言ってしまった、何とも言えない気持ちになった、そんなワンシーンはいつもこの日常に散らばっていることを思い知らされる。
きっとこんな風に取り上げられることすら嫌がりそうな、仲がいいんだかどうなんだかよくわからない二人の内緒話のようなこの場所が大好きだ。
きっとこんな風に取り上げられることすら嫌がりそうな、仲がいいんだかどうなんだかよくわからない二人の内緒話のようなこの場所が大好きだ。
ところで、この番組のリスナーは「編纂員」と呼ばれ、日常のふとした現象をTwitterのDMなどで彼らに送るのであるが、ある時から堰を切ったように”名前のついていないあの現象”をTwitter上で投稿しまくるようになった名物編纂員も生まれている。この言葉、もういらないんじゃないかという言葉をふたりが埋葬する【焚語】の依頼を私も近いうちにしてみようと思う。
番組内で自身の音楽活動に関してはあまり語らない二人だが、私はMONO NO AWAREもDos Monosも好きだ。だからこそ、という訳ではないのだが、1、2か月ほど前に配信されたDos MonosとALIのコラボ楽曲「Better Days」のなかでTai-Tan氏が「ビーチフラッグ」とか「焚語」とか使っているバースにグッとくる。
そもそもこの歌はサビで「Better days coming soon」と歌っているのだから、コロナの真ん中で生まれたこの楽曲自体、閉塞感のある自粛期間やその中での出会いや出来事を歌詞に入れ込んでいるのは当然と言えば当然だが、これからどうなるのか誰にも分からない世界で、時々ポケモンの鳴き声のような音がノイズで入り込むZOOMを家でひとりでニヤニヤしながら聞いていた日々を思い返し、「奇奇怪怪明解辞典」との出会いもこんな中で生まれたのだと、ひとり噛みしめる。
より良い日々は、もうやって来ているのかもしれない。
奇奇怪怪な日々を生きて生きて、これからも今日は今日の出来事をへらへらと笑ったり、畜生と時々怒ってみたりしていこうと思う。
良かったら「奇奇怪怪明解辞典」聞いてみてください。
番組のリンクはこちらから
MONO NO AWARE
Dos Monos
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