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だがそれでいい。

稀代のうつけ者or天下人

人生三十云年生きてきて、一つ分かったことがある。
私は「思いついたらすぐ行動する」のではない
「思いついたらすぐ忘れるから忘れる前に行動する」のだ。

今は体が疲れているせいか上手く寝れないが十年前はいくらでも眠れたし、その分寝坊や寝ブッチが多かった。その上アラームが好きじゃ無いとのたまって当たり前のようにアラームなしで寝ている。(これは今も)
寝ていて忘れていたことなんて沢山ある。
大学の一限、チケットの発売日時、友人との約束、その他諸々。
なんとなく「こんな生活してると生きているうちでたくさんの機会損失をしてるな~……?」と気づき初めてやっと腕時計を身につけるようになったし、30分前行動が出来るようになったのはアラがサーしたころだった。

そこでやっと私は、せっかちだののんびりだの、人様の時間感覚というものを学び始める。そして私の脳内にある膨大な情報量を処理するためには「人に与えられた時間で人の倍動かないと無理」だという事実にたどり着くのだ。

マイペース、といわれるとゆっくりしたイメージを持たれがちだがわたしは真逆。一つの記憶の抜け落ちもないように息を止めてマラソンをしているので正直人と一緒に買い物……となると急にテンパってしまう。(休憩時間やお手洗いのこと、ご飯のことをすぐに忘れる)

元から興味関心が移り変わりやすい我が身ではあれど、更に加齢が加わった。「アレだよほらアレ」「わかる、わかるよ、アレでしょ」という最低の会話が食卓を飛び交っている。
これはひどい。ひどすぎる。

思いついたらすぐに動くようになったのは元来の+加齢による加速度的な物忘れがトリガーだ。
やらないのはやらないんじゃくて、「忘れる」のだ。当たり前に。全部我が身から出てきたあんなにやりたかったことなのに!

できっこないをやらなくちゃ。

「(髪巻くって宣言したもんな~……)」
教室内で自分で言っておいて軽くスルーしようとしていた問題、ヘアアレンジを学ぶ30日チャレンジについて私は途方に暮れていた。
正直巻き髪には憧れがある。と、いうのも地元にいたときよくしてくれた美容師さんが「ヘアアレンジが出来るようになると楽しいよ」と自分が経営するもう一つのサロン(どちらかというと衣装・メイク寄り)を案内してくれて、そこでコテを使ったヘアアレンジを教えて貰ったのだが。
優しいお姉さんに優しく言われた一言が今も胸のどっかに残っている。
「おだまきさんは無理しないほうがいいかもしれない……」

そんなんわたしがいちばんしってらあ!!!

左右盲ではないし立体認知も得意なのだが鏡越しで何か動きを確認することにいつも変な違和感がある。(オタクなので振りを覚えたりするのだが鏡で覚えられた試しがまずない)鏡の「奥行き」が認知できないといった方が正しいのか。
と言うか日常的に手先が不器用なのだ。手の力の入れ方が未だによく分かってないから毎晩ヤクルト1000の蓋に負けている。
そこに加えてアッツアツのコテを渡されて教えて貰ったとおりの動きをしろだなんて、頭がテンパって真っ白になってわんわん泣きそうにもなろうて。

そう、そこでわたしは諦めをつけたはずだった。
「巻きたいならパーマを巻け」
「ヘアアレンジは諦めろ」
「生まれつきのストレートヘアを生かしてやれ」

これが私の鉄の掟だった。
はず。

なのに何故私は混雑している電車内でヘアアイロンのことを考えているのか?ヘアアレンジが出来るようになったらどんなにたのしいか何故考えているのだ?

まず一つ目、最近かけたはずのパーマがダメージケア優先にした結果速攻で落ちた。
二つ目、数週間に一回はツーブロック部分を剃ることをきっかけにして、髪が整ってないことがなんとなく気になるようになった。
三つ目、圧倒的に他アイテムに対して髪が素のまま勝負すぎる。

「(てか、やりたいことなんでしょ?やりゃいいじゃん。そのうちまたすぐ忘れるよ、ほら今のうち)」

電車の揺れがけしかける。
分かったよ人が少なくなったあたりでやるから……と前から興味のあったかいまりさんの講座の申し込みをしようと記事を開く。申し込みの流れを読んだらあとは一瞬。LINEを送って申し込み完了。ここまではよし。

「まずは人に教えを請うてちゃんとやろう、やってみよう。やってみてだめだったらまた考えよう」
そう思えるようになっただけでも十分な成長だ。なんせ昔の私は0/100思考で失敗したら人生終わりだと思っていたのだ。しかし図太く未だに生きている自分という実例を見るとちょっとした失敗なんて死ぬきっかけにすらならない。

そこで私はスマホに向かって心の中で声を上げた。

\\教えて!自問自答ガールズ!!//

はい、ここのリプ欄には人類智の結晶があります。
まず私はコテとアイロンも区別がついていなかったし(1ダメージ)
続いてボブはコテが向いてないことも知らなかったし(2ダメージ)
皆様のオススメメーカーも沢山あるし(3ダメージでターンエンド)
わ~~~となっているところでめちゃくちゃ参考になったのがsayさんのご紹介でした!

「伊勢丹を使ってやればいいじゃない」発想、しびれました。確かにそうです何のために私は日々おいせまいりをしているのか!!
とは言え今日の仕事ももうすぐ開始ーーと考えてはたと気付いてすぐに検索したら思わずにやっとしてしまいました。

銀座三越も同じエリアあるじゃな~~~い!!

伊勢丹新宿店に出来て銀座三越にできないことはあるか、いや、ない。はず。たぶん。

つまり!この四店でじっくり吟味すりゃいいってわけですね~!なるほど理解しました~!と納得したところで私は朝から晩までお仕事へ……(お礼の返事遅くなってしまいすみませんでしたコメント下さった皆様に大変感謝しております)(合間合間の時間でかいまりさんの講座受講日も決まりました!やったぜ!)

臆病者、髪を巻く。

仕事帰りで駆け込むギンミツのよさよ……とマスクの下でにやけながら私は速攻で美容家電コーナーに駆け込みます。
「はじめてアレンジをしたくてヘアアイロンを探してまして!」というとどの店員さんも「ここの並びに沢山あるから各店じっくり試して下さい!」という度量の深さ、ありがとうございます!マジで今夜だけでも勉強になりました!

まずはヤーマン。巻きやすいし使い方もわかりやすいし癖もしっかりつく。
(その分最初に大失敗した外ハネがずっと残ってた)
続いてダイソン。店員さんがめっちゃ教えてくれる。私の過去のトラウマから恐る恐る変な箇所を持っているところをたしなめて持ち方から外ハネの癖の付け方、アイロンの抜き方、外内ミックスのやり方まで……えっこれ普通にヘアレッスンじゃないですか?あと仕上がりが綺麗。
ヘアビューロンもめちゃくちゃ魅力でしたがでかい&でかい……。出張のことを考えると少し躊躇してしまいます。ヘアアイロンは充電式なので飛行機NGと言われてそれは~……と断念。めちゃくちゃよくしてもらったのにすみません……。
パナソニックビューティ。可も無く不可も無く……!小型で軽いのは楽そう。あとナノイー。
リファ。「あっこれっすわ」と即断しそうになるのを慌てて止める。
ちょうど店員さんが他のお客様の対応をしてる間使い放題だったのでこの間に学んだ事をフル活用してとりあえず全体的に仕上げてみた。よい!
軽さと御しやすさがちょうどいい、前髪のアレンジも臆せずイケる。サイズもいいし旅行でも可なのはいい……。勿論仕上がりもいい。

「少し考えます~~~」
と言ったし確かに少し考えたけど過去の私が積み上げたポイントのおかげで明日にでもお迎えに行けそうです。やったね💜

自分がアレンジをしてみた髪で街を歩いてみると、街を歩く皆の髪が綺麗にカールして揺れていて世の中の人はこんな美意識の中で生きていたのかと舌を巻いてしまいます。
別に「それがいい」というわけじゃないのです。ヘアスタイリングが出来るのがいい、絶対!というわけではないと思います。
でも!だが!わたしは「やれたことがなかったことを試してみたかった」のですからそれでいいんです!
これでついでにヘアスタイリングも上手くなれば超超超いい感じってだけなんです!

これはーーー!私の積年の夢を叶えている作業だからーーー!全部おっけーーーー!!

有楽町に差し掛かる数寄屋橋の四つ辻で私は心の中で目一杯叫びました。
満足したので家に帰ります。
帰ってきて早速配偶者に自慢をします。
「はあい」
「あら美人(なにかあったわねの顔)」
「今日ヘアアイロン見てきたの」
「そうなの」
「これ私が全部スタイリングしたのよ」
「え!!!!うっっそめっちゃ進化したじゃん!!!」
(配偶者は毎夜不器用な私が負けたヤクルト1000の蓋を開けるという任務を与えられている)
「そう、今度ね、ヘアアイロンを使ったレッスンも受けることにして」
「それは絶対に受けて!!!!!!」
(配偶者は私が何度もとちってやけどや怪我をしたことをあることをこの十数年間つぶさに観測している)

今夜は不思議な満足感に包まれています。
人間、いくつになってもやってやれないことはないのです。
この一夜は人類にとってはありふれた一夜だったかもしれませんが私にとっては髪が巻けるようになったという偉大な一夜なのです。

銀四のあきやさん。

髪を巻けた大いなる気持ちでついでに三越内をぷらぷら歩いてたのですが。「なんか今日三階の気分ちゃうなあ!」と思って帰ろうとした瞬間、ふと声がしたのです。

「はい!おだまきさん!では今度は四階に行ってみましょう!!」
(各自脳内あきやさんボイスで再生下さい)


「えっあっあきやさん?はい?……いってみます」
四階は確かにそんなに覗いてないなあとぷらぷら歩いてたらジルサンダーがあってそういえばあきやさんにオススメされたと思い出して入店してみます。鞄……靴……と眺めているうちにとんでもないブツと出逢いました。
淡水パールが好きで集めている私の理想の淡水パールネックレスがありました。これはもう、もはや淡水パールの親分です。
しかも店員さんが色んな付け方を提案してくれました。
普通につけたらネックレス、短くつけたら後ろにパールが覗くチョーカー、ぐるぐる巻いたらゆるめのブレスレッド。
「えっもうこれあれば何もいらんやん」という万能選手です。
なのに淡水パールの癖はしっかりある!最高!

はい妄想クローゼット行き~と決定したのですがソワリーで見つけて妄想クローゼット入りしている淡水パールの片耳の長いピアスと最高に合うのでは?淡水パールの片耳イヤーカフと最高に合うのでは?

わたしこそ淡水パールなのでは?!?!

(多分違う)

それにしてもなぜこんなに淡水パールに惹かれるのか……よくわからないですが(店員さんにもパールだらけであることに驚かれました)これも後々の深掘り課題にしたいと思います。

と、いう話をなんとなくTwitterで呟いたらあきやさんからのリプが。

……あなたのうしろにも、ほら、あきやさんがいるかもしれませんよ……?
(大丈夫です心の中のあきやさんはいつだって新しい扉に飛び込むための手助けをしてくれる良い存在なので……)(ジモンジトウコワクナイヨ)

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