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私の仕事は「あかりや」です。(RE:シン・コンセプト)

どうにも着心地の悪い。

お正月に立ち上げたシンコンセプト。
『煌めきをカラスの羽ペンで書き残す吟遊詩人』
仙台弁で言うなら「たごまる」という感じでこの一ヶ月どうにも着こなせずにいました。

自分で決めたはずなのに……自縄自縛といった具合でどうにも前進できずに、自分は何がしたいんだろう?としばし考える日々。
(同時に寒さから来る気鬱にやられて各種SNSを閉じて自問自答もおやすみする羽目に!)

徐々に徐々に回復を待ちながら、もう一度自分のコンセプトを見つめ直して職業から立ち上げることにしてみました。

彼らは誰かと問われたら。

私の仕事を一言で言うなら「あかりや」です。
提灯とか売り歩いている訳ではありません。
舞台照明を担当している人のことを、私の所属していた劇団界隈では「あかりや」と呼んでました。
「照明さん」が圧倒的多数ですけど「あかりや」の方が親しみがあって好きです。

「あかりや」の生態はざっとこんな感じです。

・21時に劇場に集まってくる
・深夜に照明を劇場に吊って調整をする
・夜中の2時、閉店ギリギリにラーメン屋に駆け込み500ml缶のコーラとハーゲンダッツという当時1000円ちょうどで楽しめるエンタメをエンジョイできる若い胃袋の持ち主達
・高いところが大好き
・目的の照明を吊すためにはとんでもなくアクロバティックなことをやらかす
・好きなゼラ(照明に色をつけるフィルター)だけで軽く2時間議論できる
・場面の切り替えでは0コンマ1秒の精度にこだわる
・劇場に行くとかならずまずは天井を見る

上げていけばキリが無いですが、なんともまあ面白い集団の中で過ごさせて貰った青春は、未だにきらきらと輝いています。照明だけに。てっとり早く言わせて貰えれば、私はやっぱり「あかりや」だった頃の私が好きなのです。

雑然とした部室で、隣のサークルがパスタをゆでてる湯気が流れ混んできてぶつくさ文句を言いながら照明プランを書いている自分が、今ではうらやましいぐらいです。

空の青さを知る人よ

劇場は基本的な日の光が入らないようになっていて、照明で表せる世界は無限大です。
高校から演劇に親しんでいた「あかりや」の友人は部活の帰りに目に鮮やかな夕日を見た時に、演劇部の顧問の先生から「さてみなさんはこの空を何色のゼラを使ってどんな風に表現しますか」と聞かれたことが未だに忘れられないと言っています。
何もかもが表現できるからこそ、もどかしく、戸惑う。

そんなときは私は舞台セットの絵を見ながら劇場の客席の中心に立った自分を考えます。

ーーあのシーンでは夕方、二人でベンチに座るシーンがある。
二人がいる位置は下手。影はーー下手に斜めに伸ばしたい。
つまり西日が差す方向は舞台面から見て右手から左手にかけて、
つまりは朝のシーンは日の差し込み方を逆にーー。

するとあっという間に劇場の中に天球が見えて、空が見え始めます。

ここまで来ればもう大丈夫、全部のシーンが作れると私は思ってるのですがまあこのあたりは人それぞれですよね。
私は劇場の中の東西南北の感覚がわかると作りやすいタイプ。

何もない真っ黒な劇場にぱあっと空が広がった瞬間、世界の全てを把握できたような気がしてどこかホッとします。
あとはどんな空にしたいかを考えるだけ。

月は輝き、鳥は飛び交い、花が咲く

私の持ち物の中に鳥のモチーフが多くなってきていることに気がついたのは、つい最近のことでそのきっかけになったのは数年前の誕生日にもらったこの腕時計がきっかけでした。
星が瞬く月夜、静かに揺れる花の咲いた枝に停まる鳥たち。

パールを加えたツバメが飛ぶネックレスも、ジャングルの中でひっそりと夜を迎えている鳥たちのポーチも、ウィリアム・モリスのいちご泥棒柄のカチューシャも。

どこかに「夜空」があり「花」が咲いて「鳥」がいます。

私が好きな物

花が咲き鳥たちがねぐらに集う夜の空

……あら、なんだか急にナショナルジオグラフィック的になってきましたわ。
密やかに生命が息づいていることが分かる夜空を表現できたとしたら……どんな風に照明を作るだろうと考えるだけでワクワクします。

つまり私のRE:シン・コンセプトとは

今までの語ってきた要素をミキサーにぶちこんでぶいーんとまわします。

\テッテレー/

「花と鳥が息づく夜空を生み出すあかりや」

ということでまとまりました。わーいぱちぱち。

教室で立ち上げた「空の青さに憧れる照明アーティスト」に近いのですが私は青空を作るよりも表現としては今は夜空が好きなんだなということ
「照明アーティスト」よりももうすこし親しげで幻想的な存在になりたいこと。
何より生命を感じるモチーフを取り入れていきたいこと。

なによりシン・コンセプトは自分で生み出しておきながらまっっっっっったくしっくりとこなくて早く何か再戦したかったのですが、昨日うつらうつらとしながら考えついた「あかりや」という言葉がもう一度導き直してくれました。

「アーティストだからモード系を着よう」
「裏方スタッフだから黒にまみれよう」
という意識はありましたが春物が近づくにつれて目に留まるのは花柄の服……。
「吟遊詩人、花柄の服を着るか?」
「いやそもそも吟遊詩人はモード服を着るのか?」
という定かではない状態でふよふよと自問自答する中でこのシンコンセプトは一挙両得ごっつぁんですが出来そうな気が、気が、しませんかね。どうですかね。

とりあえず今新しいコンセプトを生み出せてふいいい~~とため息をついています。大満足です。立春前に立て直せましたね!よかったよかった。

とりあえずわたしはこうなったら
黒も着るけど花柄も着るし極彩色だって着るからね!!の気概でやってまいります!

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