RTAを始めたいあなたへ② ~実践編~

はじめに

 またお会いしましたね。きせあきと申します。
我こそは日本RTA術の行く末を真に憂う者である。というわけでもないです、例によって。
 この記事は去年書いた拙作、RTAを始めたいあなたへと題して初歩的なRTAの始め方を書き連ねたものの続きのようなものです。

 前回記事では配信のことや機材のことなど包括的に書いたのですが、今回はRTAのプレイ部分にフォーカスを当てて書いていきます。

 例によって本記事の内容は個人の意見に基づくものであり、ここから発生する不利益その他に対し一切の責任を負いません
 もちろんながら記事として正確であること、有用であることに努めますが誤りやよりよい方法、違った意見などもあるかとは思います。そういったお話もぜひお寄せくださいね。

 さて今回ですが、主にお読みいただきたいターゲットは
RTAを始めてみたいけど何したらいいのか何にもわかんないよ!!
って方です。そのためにかなり細かく段階分けして書いてみました。
 ですので、必ずしもこの通りにやる必要はないです。
習うより慣れろな人はその5くらいからザっと斜め読みしたらさっさとゲーム起動して練習始めてください。


その0 普通に楽しんで遊ぶ

 まずは、このゲームでRTAを走りたい!というゲームを一周普通に遊びましょう。普段から何週もしてるならそれでよいのですが、そういう人なかなかいないと思うのでデータを消して初めから遊んでみてください。
 新規データでちゃんと一から遊んでみると意外と忘れている仕様やステージなどがあったりします。

 ちなみにこの工程意外と大事です。私は実際普通プレイしてみて「あっ、このゲーム乱数キツすぎて自分には無理だわ」ってなったことがあります。
 ゲーム愛だけで万難を排して走れるならそれが一番なのですが、無理なくRTAやりたいですよね。ちゃんとゲームを理解してあげるためにもぜひまずは普通プレイから。

 もっというと、RTA候補は2~3本用意しておいて、一番手を付けやすそうなタイトルから進めてみましょう。複数選定しておくと1本目のRTAが思ったより無理だってなったときに2本目、3本目にチャレンジできるのでモチベが途切れにくいです。

その1 先行研究を探す

  さて、その0でRTAを走りたいタイトルの選定が終わったら、とりあえず先駆者を探し出しましょう
ここで望ましいのは以下の順
・同タイトルを走っている現役走者がいる
・同タイトルを走ったことがある現役走者(今は別げー走ってる)がいる
・現役走者はいないが解説動画がある
・海外の現役走者がいる
・そもそも誰も走っていない

あなたが英語など外国語話者なら海外走者がいるのはかなりアドとみてよいですが、概ねこんな感じ。
 できれば現役走者のいるゲームから手を付けることができるとRTAの習熟だけでなく配信の面で見てもなにかとメリットが多いので結構おすすめ。

 大体の走者は聞けばいろいろ教えてくれるのでチャートのこととか、走り方や練習の仕方などいろいろ聞いてみましょう。
 先駆者がいない場合「(ゲームタイトル) RTA 解説」とか調べてみるか、Speedrun.com(以下SRC)で記録動画を探してみましょう。

 ちなみにRTA初心者のうちから誰も走ってないRTA走ったら俺が世界王者や!って隙間産業やるのおすすめしないです。何の情報もないところからゼロベースでチャート組むのかなりしんどいし、走者がいない=注目度が低いので人からも認知してもらいにくいところもあります。
 それでもあなたがこのゲーム大好きだから意地でもゲーム愛で走ってやる!というスタンスならそれは良いと思います。美学だなァ!龍堂君!

その2 走るカテゴリを決める

 さて、走るゲームを決めて走者や解説動画を見つけたらカテゴリについて考えていきましょう。
SRCでゲームのページを見てみるとゲームごとにいろいろとカテゴリがあるのがわかります。区分やルールなどは各ゲームごとに違っているのでそれぞれのページをご参照いただきたいのですが、大まかに抜粋するとこういうのがあります。
・Any%(最速でたどり着けるエンディングまで走る。収集要素の完成率などは問わない)
・100%(収集要素などをすべて集める。隠し要素や図鑑など含め、どの範囲までやるかは各ゲームによる)
・特定のエンディング系(TrueEndやGoodEndなどのエンディング指定。かなしいかなマルチエンディングのAnyは基本BadEndが多め)

さらに副条件などが付くこともあります。
・Glitchless(Glitch≒バグ技使用禁止)
・NMG(=No Major Glitches 主要なバグ技の使用禁止。何を禁止するかはゲームによって違う)
・No OoB(Out of Bounds=領域外 への進入禁止。壁や地形を抜けることを禁ずる)
などはよく見かけるものですね。

ゲームごとにカテゴリがあったりなかったりしますが、人気のゲームほど細かく区分されていることが多いです。
いろいろ動画を見たり資料を見たりしつつ最初に走るカテゴリを決めましょう。

 基本的にはAny%だったりAny% No NMGあたりが走りやすいことが多いような気がしますね。短くて覚えることが少なかったり。
例によって現役走者がいたら入門にお勧めのカテゴリを聞いてみるのもあり。

 このゲームのTrueEndingが好きだからワイはそっちを走るんや!!って場合でも初めから長いカテゴリはしんどいことが多いので短めのカテゴリから初めて段階的にやれるといいかも。

その3 おおよその目標タイム設定

 ここからは便宜上数字を振ってますが順番はお好みでどうぞ。
とりあえず走ってみてから目標タイムを探してみてもいいし、タイムに沿ったチャートを探してからでもよいです。

 さて、まずはSRCのリーダーボードを眺めていきましょう。
初めから世界記録を見るとレベルが高すぎてマネできる気がしなくなるパターンが多いので、そういう場合はある程度中間~下の方の順位の記録動画などを見ていって「これくらいなら真似できそうかも」ってラインを見つけましょう。
で、やっぱり先駆者がいたら初心者向けの目標タイムを聞いちゃいましょう。

 ここで最初に目指す基準を決めておけるとモチベの維持や練習効率の向上につながります。最初からハードル上げすぎてもキツいだけなので緩めのところから段階的に上げていきましょうね。
目標がつらければ落とすのも全然あり。無理しないでいきましょう。

その4 チャートメモの作成

 アクションかRPGかによってもチャートメモの必要度は割と変わってきます。体で覚える派の人は飛ばしてもOK。
記録動画や、先駆者が公開しているチャート表などを見つつ、自分なりのメモを作ってみましょう。
アクションだとチャートとか作っても忙しくて見てる余裕がないなんてこともザラなんですけどね…。それでも自分の手で言語化してアウトプットすることで理解度が上がるので無駄にはならないはず。

 全部文字に起こせってわけじゃなく必要な部分を適宜メモしましょう。
アイテム購入、ステータス割り振りなどの数字が絡む部分やボスのハメ方など。
 私の走るソニアド2では宝探しステージの配置を片っ端から書いて覚えるなどをしていました。

<コラム> 先駆者のチャートって勝手にパクっていいの?
基本的に記録動画として公開されているものについては真似をしても問題はありません。
RTAは競技であり、走者同士はライバルともいえるのですがそれ以上に走者のコミュニティ内で知見や研究などを共有しあってより速いタイムを出せる方法をみんなで模索していく文化が根付いています。
大体の人は質問をしたら答えてくれますし、記録が出たら喜んでくれます。
そのため、チャートを真似することに問題はありません。ただ、せっかくなら走者に一声かけると新規走者の誕生に大いに喜んでくれるかもしれませんね。

その5 区間練習

 さて、ついに練習に入りましょう。
まあぶっちゃけ前段すっとばしてここからやっても全然いいんですけど、
多分ここから行けちゃう人は「RTA 始め方」とか調べないでゲーム起動して練習速攻で始めてる気がする。

 まずは目標タイムに近い記録動画や解説動画などを用意してお手本にして真似しながら操作してみましょう。入力表示があると◎。
 ステージごとに分かれているゲームなら各ステージ毎に、さらに各チェックポイント間で、など自分でやりやすいところで区切ってお手本を見ながらマネして繰り返し練習してみましょう。
 いくつかの区間を覚えたらつなげてみる。つなげて1ステージ走ってみる、2ステージ、3ステージと増やしていきましょう。
 もちろんゲームの最初からじゃなく、やりやすいところや好きなところから始めていくのも大いにありです。
 ソニアド2ではソニックステージだけを最初練習して、他のステージはソニックステージを覚えた後に練習しました。

その6 通し練習

 ある程区間練習ができたら通し練習をしてみましょう。
フルゲームじゃなくても、途中までやってみるでもOKです。
また、区間練習は途中までしかやれてないけど試しに後半は普通プレイでフルゲームやってみるっていうのもあり。
やりやすい方法でモチベを上げつつ走ってみましょう。

 区間練習が完璧になるまで通し練習をしちゃいけないっていうわけでもないので、区間練習と通し練習をいい感じに切り替えながらやりましょうね。

 僕は区間練習だけだと飽きてしまったりするので、ざっと通す→覚えてなかったりうまくいかないところを区間練習でおさらい→通し練習 みたいな感じでサイクルして練習をしていました。
後々記録を詰めるときに、記録更新にこだわりすぎてリセットが増える結果通しで走れなくなりがちみたいになることもあるので、意識的に通し練習はしておきましょう。

その7 バグ技や難しいアプローチの練習

 RTAの華、大技の練習に移りましょう。
RTAをやるときに先駆者がいるRTAを選ぶといい理由はほぼここにあります。

 まず、こういうバグ技やアプローチは解説動画や資料があったりするので、まずは探してみて技そのもののやり方や理論を学びましょう。 
 そのうえで僕がやるのが、Youtubeに上がっている(重要)上位走者の入力表示付きの記録動画を探して見ます。
Youtubeにはフレーム単位のコマ送り機能があるので、コマ送りで入力と画面とを何度も繰り返し確認します。そのうえで入力通りに真似してプレイしてみて、ズレを直して…というのを延々と繰り返します。

 でも、それをやっていてもどうしても全然成功しないことも普通にあります。マジである。
そういう時には先駆者に頼りに行きましょう。
先駆者にプレイを見てもらってアドバイスをもらって何が悪いのかを教えてもらって、それをもとにまた練習をします。
 そうしてるうちにだんだんとやり方がつかめてくる…みたいな感じで毎度やってます。

 この手のバグ技とか、何が悪くて成功しないのかわからず練習してる時のモチベの維持ってめちゃくちゃ難しいんですよね…。
それでやっててもうまくいく気配がなくて萎えて辞めちゃう…みたいなことマジで多いので、助けてくれる人がいるのはそれだけでめちゃくちゃ大きいです。

その8 タイムを詰め続ける

 ここまできたら君も立派なRTAマスターだ!
実際ここからは青天井で、決まった道筋も簡単お手軽にうまくなっちゃう裏技☆とかも特になく、数字を詰め続けることになります。
 新しいテクニックの練習をして、できるようになったら区間練習に組み込んで、安定したら通し練習で記録を狙う。
ミスった技の反復練習と苦手な区間の反復練習をしてまた通す。
ある程度うまくいくようになったら目標タイムをさらに縮めて、達成に必要な新チャートやテクニックの導入を検討する。
 このサイクルを味がしなくなるまでず~~~っと続けているのがRTA走者です。

 ちなみに、新チャートや新テクニックをどのくらいうまくなったら導入するのかは人それぞれ。初めから全部やろうとすると普通に無理なことが多いので出来そうなものから導入していきましょう。

 私は、現在使っているチャート、技での通し安定率が7割くらいまで上がってくるまでは新しいものに手を出さずじっくりと練習。
安定してきたら、技が成功したらとりあえず記録出るというところからさらにタイムを詰めて、全部かみ合ってノーミスなら記録更新できるけどどこかミスったら記録出ないなってくらいまで詰めたら新技の導入を検討。
 というサイクルにしています。

 ついでにいうと、リセット連打で記録狙いすぎるとちょっとリセットかさんでくると萎えてきちゃうので通しで走りきることを楽しんでRTAをしています。ここは人の好みによるけど。
 難しくて成功率が低い技でも全部通せば記録が出るからかみ合うまでリセットしまくる!という人もいれば、全体の安定率を重視して通しでちゃんと走り切りたいという人もいます。
 
 ただ、傾向としては前者は世界記録狙いのような熟練者に多いです。初心者のうちはちゃんと通して全体の精度を上げた方がなんだかんだ習熟が早いことが多いです。特にイベントとか出てみたいなら一発通しの精度を上げるための通し練習はかなり大事。

終わりに

 とりあえずこういうのも需要あるかなって手を付けてみたはいいものの意外と書くことに悩みました。普段自分が当たり前にやっていたことを細かく分解して並べるのってなかなか難しいですね…。
 もうちょっと画像とかいろいろ差し込んだ方がいいんだろうか。でもどんな画像を差し込めば…?うまい文章の書き方がわかんない。助けて。

 これを読んだ初心者の方にはぜひこれを読んでも解消できなかった疑問とかをガンガンぶつけていただけないでしょうか?意外と慣れちゃうと初学者何がわかんないのかがわからないジレンマに陥りがち。
 ぜひ記事の精度を上げるためにご協力いただけると幸いです。

 とりあえず書きなぐりの文章で恐縮ですがいったん公開して後々ちゃんと整えようと思います。ついでに読んでためになったよって人は感想とかください!!!!!!!!!スキとかでもいいので!!!!!!!!!!!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?