自分ルールと執着

もうずっと、肌の確認行為がやめられない。悪化している気すらする。

鏡を見たい(もしくは見るのが怖い)っていう気持ちや、肌を触らないと不安という状態は、強迫性障害の要素を含んでいる気がするし、
外見への執着という意味では醜形恐怖症みたいな側面もあって、
気になる部分を引っかいたりして血を出してしまうのは、以前有村あいりちゃんが公言していた皮膚むしり症みたいだなと思う。

どうしてこんなになってしまったかを日々考えていて、そういえば高校時代は髪に対して似たように執着していたなと思い出す。
ある日クラスの男子が、私の髪をとてもきれいだとしきりに褒めてくれたことがあって、「LUXのCMみたいな髪にしてよ!」と言われたのがきっかけだと思う。※特に意中の相手だったわけでもないのに、不本意だ。
それまではなんとなくで買っていたシャンプーにこだわり始めて、アットコスメの口コミを見まくり、成分表示の見方を学んで、ボトルの裏を見ては「これには○○が入っているからだめ」と棚に戻していた。

正直、シャンプーを変えただけで大きな差はなかったと今考えると思うわけだけど、当時は手櫛を通して少しでも引っかかると、「このシャンプーはだめだ!」と、まだ空けて間もないのに母にそのまま押し付けたりした。
サロン専売品にも手を出し始め、あーでもないこーでもないと買いまくっていたことを覚えている。
例の男子は影響力が強いほうだったので、しばらくすると他のクラスメイトも私の髪をほめてくれるようになった。今思えば、承認欲求が満たされていたんだろうし、周りのかわいい女の子に引け目を感じて、自分には髪の綺麗さがあるとアイデンティティくらいに思っていたのかなと想像できる。
明らかに無駄遣いをしていたとはいえ、当初はシャンプーマニアになったつもりで楽しんでいた。なんなら自由研究で友達とシャンプーを作った記憶すらある。(今急に思い出した、やばすぎる)
凝り性というか、完璧主義なところが良くも悪くも原因な気がする。本当に飽きることなく毎日アットコスメを徘徊し、学校終わりにシャンプーを見に行っていた。

当たり前だけどCMのような髪にはならない。どんなシャンプーを使っても目覚ましい変化がなくストレスを感じ始めていた。ただ不思議なのは、(学生でお金がなかったということもあるが)サロンで行うトリートメントや髪質改善など、そういうものに手を出すことをかなり拒んでいた。
当時その自覚はなかったけど、「セルフケアだけで髪を満足いく綺麗さにする」という目標設定をしてしまっていて、この誰に言われたわけでもない自分ルールに縛られていたのかと思う。
最初は楽しかったヘアケアも、だんだん神経質になっていった。
髪には摩擦がよくないと学び、マフラーを巻かないよう徹底した。
傷んでいる髪を見つけると許せず、「抜いてしまえばいいんだ!」と気が付いた。それがさらなる切れ毛を招くことも知らず、暇さえあれば傷んだ髪を探して軽快に抜いていた。するとどうなるか?そう、髪が薄くなる。
何せ私の興味は髪にしか向いていないので、頭皮のことはさっぱり気が付かなかった。カフェで友達と向かい合って勉強していたら、どんな言い方をされたか覚えてないが、その子が優しく指摘してくれた。そこで初めて、髪を抜いたらやばいかもと気が付く。ただこの行為は傷んだ髪を排除する唯一の方法だったので、やめたほうがいいとわかりつつもなかなかやめられなかった。
髪を抜いて更地になったところからは新しく髪が生えてくるので、気が付けば私の生え際には短い毛が増えていった。今でいうアホ毛のような感じ。
見た目もあまりよくなく、そのころには髪をほめてくれていた男子の声も止んでいた気がする。

数年経った今、髪へのこだわりはかなり減った。シャンプーの口コミを見ることもないし、ドライヤーをかけるまでだらだら過ごすこともある。手櫛が引っかかってもそこで気落ちしない。
髪を抜く癖はかなり苦戦したけどだいぶよくなった。傷んでいる髪を見るよりも、アホ毛の処理のほうがストレスだったから。
たまに良いトリートメントをして、さらさらになった~とご機嫌になる程度の健常さを取り戻した。

最近、20年以上治らなかった爪を噛む癖が治ったことで少しだけ自信がついた。一生治らないと思ってたから。
でもここ2年悩んでいる肌への執着は、同じように治るイメージが持てない。
爪を噛むのは、決して爪の形が気になったから噛んでいたのではなく、ストレス発散の一環だった。なので、爪を噛むこと自体には意味がなく、たまたま手近なストレス発散方法がこれだったというだけ。
一方で肌については、
少しの肌荒れも気になって仕方がない→排除するために抉る
という流れで、肌自体がストレスになっているから厄介なのだ。

別に肌が荒れてても、それをとやかくいう人は周りにいないし、何が困るんだろう?私は何をこんなに心配してるのかわからない。
考えるとやっぱり、いつかの私が、私の肌はいつも綺麗じゃないといけないというルールを決めちゃったんだろうなと思う。
友達や彼氏や親が、私の肌を褒めてくれたことがあって、髪の時の同じように、そこに自分の価値を見出しちゃったのかもしれない。
でももうそれを目指すのがしんどいよ〜でもその希望を手放すのも怖いよ〜誰か助けて‼️よ‼️

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